46 :超能力SS3:2008/07/15(火) 17:59:41 ID:933E/Xew0

 ここはいったい、どこなんだ。
 この建物は山の中にあるらしい。窓から外を見ても木しか見えない。玄関を出ると原っぱが有ったが、その彼方に見えるのはやはり山だった。
 外に出ても迷いそうだったから、脱出するのはやめた。
 腹も据わってきた。とことんつきあってやろうという気になったのだ。このおかしな出来事に。
 ロビーで椅子に腰かけて、この結論に闘志を燃やしていると、足音が聞こえた。
 二階の廊下を誰かが歩いていた。階段を降りてくる。
 俺は相当に身構えていたらしい。ロビーにあらわれるなりそいつは、へんな顔をした。
「なんで睨むんだよ。俺おまえになんかしたっけ。初対面だよな?」
 ああ、やっとマトモに、他人として、はじめての会話をしてもらえた気がする。
 深い安堵感を感じている俺に、そいつは言った。
「つまり、「最高にワケわかんなくてグッタリしてました。もうボクをいじめないで」ってカンジ?」
「あー。そんなところっス」
「ははっ。こんなんでビビってたら駄目だ。これからもっと酷いことになるんだから、身がもたねぇぞ」
 これ以上なにが起こるというんだ!?
 そいつは自分を双子と名乗った。俺の名前はやっぱり知ってた。俺の能力についてはこう言った。
「おまえの力も知ってる。いい能力じゃん。漫画みたいで」
「なんでみんな俺の名前とか、あんな力を持ってたこととか、知ってるんだよ」
「俺が読んだからさ。未来を」
「……マジで?」
「未来予知。プレコグニションともいう。いいだろ。便利だぜ」
 この言葉が本当であることを、どーやって確かめたらいいんだろ。
「今年の野球はどこが勝つんだ?」
 双子から、とあるチーム名を聞きつつ、俺は首をひねった。勝つか? あそこが?
 俺の予想は違うんだけど。

最終更新:2009年01月13日 00:30