俺はふと考え込む。どうやって倒すんだ。なにを持ち上げて、どうぶつければいい?
 男が俺に気づく。金色の銃が光って目を刺す。
 俺はまた考える。俺が、なにかを持ち上げてぶつけても、あいつが放つ弾丸のほうが早いんじゃないか?
 男が片手で宙をつかむような仕草をした。その手を開くと、きらきらと何かがきらめいた。
 その、きらめくものを、男は銃にこめていった。ああ、新しい弾丸だ。
 俺は考えた。あのネオンを引き剥がしてぶつけてやろうかとか、鉄柵ひん曲げて刺してやろうかとか。
 ぜってぇ銃のほうが早い。
 男が銃を俺に向けた。
 俺は、考えるのをやめた。だって考えたってわかんねー!
 ってことで、正面から行く。
 銃声が鳴る。俺は歩き始める。歩き始めた俺の鼻先に、弾丸が静止している。
 また銃声が鳴る。俺は歩く。弾丸は俺の胸の前で静止させたが、完全には止めそこねた。先がちょっと刺さってる。痛い。
 今度は連続で銃声。せっかちなやつだ。俺は俺の腹や、ひたいや、のどのあたりで弾丸を停止させる。
 よし、いける。俺は走り出した。相手にたどり着くと同時に拳を繰り出す。
 相手は殴られながら、俺を蹴った。
 ぶっ飛ばされた。強い。こいつ強い。
 体勢を立て直して顔をあげると同時に、こめかみに何かが押し付けられた。
 ぞっとした。身をすくませながらも、その銃口に対して、俺は念じた。上がれ、と。
 急に構えをくずされた相手が、焦っているのが見えた。
 相手が片手を跳ね上げて、ガラあきにしている胴体を、俺は殴った。力いっぱい。

 ※※※

 力をピンポイントで使っていったのが良かったんだと思う。
 相手のみぞおちに思い切り頭突きをかまして、俺が疲労に負ける前に、敵を気絶させることができた。

最終更新:2009年01月13日 00:36