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 水瓶は、ふーっと息をついた。
「その意見も納得はできるんだが、こういうことは多数決で決めるのがうちのルールだろう」
「だったらさっさと決めよう」
「今は無理だ。全員そろってないから。夜になると山羊が帰ってくる。それからだな」
 つまり、処刑するかどうか、で、揉めてるのか?
 マジか? 殺されかけたのは本当だが、こっちも殺ったりするのか?
 そもそも、敵ってなんなんだ。
 混乱する俺に、天秤が目をあわせてきた。落ち着いた目だ。場違いなほどに。
「きみも疲れてるね。制限も少しは出てるんだろう。休んだら?」
 それが良いかもしれない。俺はこの雰囲気についていけない。
 自分の部屋に戻り、ベッドにダイブした。
 頭の中は興奮してるのに、体は疲れきっていたので、眠りに落ちるのは早かったが、へんな夢をいっぱい見た。
 で、真夜中に叩き起こされて、俺は目をこすりながらロビーに下りたのだった。ねみー。
 ロビーではまた、新しい出会いがあった。山羊ってやつが帰ってきてた。いままで仕事で出張してたんだそうだ。
 山羊は、年下の俺に丁寧に頭を下げたあと、獅子に向かって言った。
「戦った相手を、生かして連れ帰るとは。珍しい」
 獅子は、眉をしかめた。
「牡羊のことか? 能力に目覚めてもらうためにハッタリをかましただけだ。本気の戦いじゃなかった」
「いや、この、敵らしき男のことだが」
「俺が戦ったんじゃないからな。俺ならそんな甘いことはしない。戦ったのは牡羊だ」
 山羊は驚いたように俺を見て、なぜか少し微笑んだ。
 すぐに笑みを消して、今度は視線を、ロビーの中央にもどす。
「それで、彼をどうする」
 ぐるぐるに縛られて椅子に座らされているのは、俺と戦った男だ。
 耳と口は自由にしてもらってたが、目隠しはあいかわらずしてて、いかにも「捕虜です」ってカンジになってた。