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 魚が困ったような顔をしつつ説明した。
「さっきから色々と聞いてるんだけどね。なにも答えてくれないんだよ。名前も教えてくれない」
 俺はなんとなく、捕虜が気の毒になってきた。
 ここの連中の力をフルで使えば、こいつの口を割らせるのは簡単なわけだから。無駄な抵抗なんだよな。
 みんな俺と同じことを考えていたらしく、お互いの顔をきょろきょろと見合ってた。
 まず、双子が片手をあげた。
「俺は無理っしょ。ゲロ吐かせられる力じゃねーし。パス」
 次に天秤も手をあげた。
「おなじく。説得ならいくらでもするけど、彼は頑固そうだから、時間がかかりそうな気がするよ」
 射手も手をあげた。
「脅せる。だけどいやだ。パス」
 獅子も手をあげる。
「お優しい手段なんぞ持っていない。パスだ」
 あと、俺も脅しになっちまう。魚はもとからそういう力じゃない。水瓶の力はリスクがでかすぎて、こういうことには向かない。
 ってことは、蠍か、乙女か、蟹? ……俺はまだ蟹の力を教えてもらってない。
 しかし予想とは違い、山羊が動いた。
「図々しいようだが、俺が適任だと思う。俺がやる」
 誰も反対しないってことは、それでいいんだろう。
 山羊は手袋をしてたんだが、それを脱いだ。彼は素手をいちど見つめたあと、指先を捕虜に近づけ、肩に触れた。
 どういう力なのか。俺は固唾を飲んで見守った。
 山羊は黙っていた。ずっとずっと黙って、とつぜん身をすくめた。
「……誰かが殺されている」
 映像が見えるのか。乙女の力と似たようなものか?
 山羊はまた黙って、それから言葉を続けた。