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 蟹は獅子と水瓶にアパートの廊下で土下座させ、結局泣きながら何度も同じ繰り言を喚き
散らしていた。自分でも欠点だとわかっているのに、一瞬でここまで頭にきてしまって止め
られない。

「なんでそういう、人の気持ち無視したことするかなぁ!?
 最低だよ。見えてなきゃいいと思ったのかよ。おまえらのそういうところ……ああ」
「すまん、蟹! 許してくれ! 出来心で」
「事実を検証する前に喚かれても正直どうしようもないんだが」
「お前はちょっと黙っとけ! この」

 獅子が土下座したまま横にいる水瓶の頭をはたき倒す。水瓶と比べて獅子が滑稽で、
それだけ自分のために折れてくれているのがわかって哀しくなった。
 蟹の勢いが弱くなってくるのを見計らって、横から魚がティッシュを貸してくれた。

「ね。水瓶にはあとで僕がきつーく言っとくから。蟹もとりあえずおさめて。あとは獅子と
二人っきりで、なぐさめてもらいなよ」

 魚は土下座している二人を立たせると水瓶の腕を引き、いそいそとアパートの廊下を去って
いった。説教をかませるという話のわりに水瓶には「あとで僕もそれ着たい」と言っている
ように見えるが、もとよりさほど強くあてにはしていない話だ。自分も大分気が晴れたので
それでよしとする。
 廊下に獅子と自分と二人だけが残る。蟹に許されて立ち上がった獅子の肩は大分気落ち
しているように見えた。