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 しばらく二人で、まったりと沈黙した。心地よい時間だった。
 俺は獅子に聞いた。
「射手、俺を慰めようとしてくれてんだよな?」
 やり方は無茶苦茶だが、そういうことなんじゃないかと思った。
 獅子は考え、首を横に振った。
「違うだろう。あいつは単におまえに興味があって、一緒に遊びたかったんだ」
「そっか。でもまあいいや。スッキリした」
 言いながら笑ってみせると、獅子は複雑そうな顔をした。そういう顔をすると、な
んか怒ってるみたいに見えた。
 でも、そうじゃないんだってことを俺はもう知ってる。獅子はそっぽを向いて、そ
っけない口調で語りだした。
「射手に、悪気は無い。おまえを傷つけたのも、わざとじゃない」
「わかってるよ」
「わかってはいないだろう。……いつだったか。双子だったと思うが、あいつが言っ
ていた。射手は欠落していると」
 それはわからない。どういう意味だ?
 俺にはわからなかったが、獅子にはわかっているらしく、獅子は苛立ったようにタ
バコの火を消して、また別の一本を咥えていた。
「昔、強敵と戦ったことがあった。俺は当然勝ったんだが、まずいことになった。敵
を倒すために、そのとき居た建物全体に火を回らせたため、脱出できずに閉じ込めら
れてしまった」
「あんたは火をあやつれるんだから、逃げ道くらい作れるだろ」
「制限が過剰に出て、痛みで集中できず、能力を使えなくなったんだ。しかし俺は自
分の危機だとは考えていなかった。なぜだかわかるか?」
「わかんね」
「なにもかもが燃えて、火と煙のうずが周囲に立ち込め、壁や柱が燃え落ちる中を、
やっぱり射手は飛び込んできたからだ。そうなることは分かっていた。やつは俺を探
してあちこちを飛び回り、あげくの果てに五体のほとんどを麻痺させていた。それも
俺は予想していた。やつは俺を連れて安全な場所に飛んだ。そして飛び終えると同時
に心臓を止めた」