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 カジキが空中で拳を振る。見えない力が俺を殴る。口の中が切れた。
 殴打ののち、その見えない拳でもって、シャツの襟元をつかまれた。
 また首絞められるのかと思ったが、違った。俺のシャツは首元から腹まで裂かれて
いた。
 カジキを見る。妙な目をしている。冷たいのに熱っぽいような、おもてに表せない
感情を押さえ込んでいるような。
 カジキの手が、ゆるっと宙を撫でた。
 俺の胸から腹、股間までに、撫でられる感覚が走った。
 俺は驚愕する。なに考えてんだこいつ。
「て……め……」
「牡羊。ズルがきらいなおまえには、わかんないだろ」
 カジキの手が宙を揉み、俺のからだも揉まれる。
 気色の悪さに身もだえする俺に、カジキは言う。
「わかんないだろ。ズルい人間の気持ちなんて」
 俺は、気絶しておくべきだった。眠っておくべきだった。
 なんの抵抗もできない俺の体をカジキはもてあそぶ。適当に服を裂いて、適当に肌
をいじって。
 ここに別の誰かがいたら、俺は何も無いのに勝手に身悶えてるアホに見えることだ
ろう。
 だけど俺には、体中を這い回る手の感触が感じられるんだ。気持ち悪い。吐きそう
だ。
 むき出しになった俺の下半身をいじりながらカジキは笑う。わざわざ俺を座らせて、
足を大きく広げて、そこが俺にも見えるようにして、俺の屈辱感をあおる。
 そして奥歯をかみ締めていた俺は、はじめて声をあげた。
「あ、あっ……!」
 入ってくる。
 尻に、なんか入ってくる。こじ開いて、もぐりこんでくる。
 カジキが笑う。指を曲げ伸ばししながら笑う。
「もう手の感触がねえわ。でも見えるよ。穴が開いてる。丸見えだ」
 涙が出た。悔しかった。腹の中で指の感触がくねる。鳥肌がたつ。
 恥も外聞もなくわめいた。やめてくれと哀願した。死んだほうがマシだと思った。