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97 :超能力SS7:2008/08/12(火) 11:46:27 ID:tdNbtX160

 蟹は読心のほかに、つくろい物というスキルを持っていた。
 そのスキルはたいしたもんで、すぐに破れたがる俺の制服を、ケガを治す魚以上の
力で、完璧に癒してれた。
 しかし蟹ばかりに負担をかけるわけにはいかないと、天秤が言い出したのだ。
「新しい制服を買っておいた方が早いんじゃないかな。あと普段着も足りないだろう。
靴も」
「金ねえもん」
「学生がお金の心配なんてしなくていいんだよ。僕がおごるから」
「いいよ。悪いし」
「あのね。きみのために言ってるんじゃなくて、きみの服を縫う蟹や、きみの毎日の
泥だらけっぷりに苛々している乙女や、きみの清貧さに心を痛めている魚のために言
ってるんだ」
 そして俺の身なりのかまわなさが気に食わない天秤のためだろうか。
 すげえ面倒くさかったけど、蟹や乙女や魚(と天秤)のためだと思って、休日、我
慢して、天秤と街に行った。
 制服を採寸して、そのあとあちこちの店に行って、いろんな服を買った。
 天秤は俺の好きそうな、動きやすくて、シンプルで、気軽なかんじの服を選ぶのが
上手かった。
 しかし支払いのたびに俺は絶句した。すげえ高いんだよ! シンプルでも、動きや
すくても、気軽な感じでも。
 だから俺は、恐縮しちまって、ぐったりしちまって、暴れまわる以上に疲れた気持
ちを感じつつ、大通りを天秤と歩いたのだった。
 天秤は俺を気づかった。
「疲れてるね。どこかで休憩しよう。ついでにお昼でも」
「いいよ帰って食うよ」
「きみの大食いにあわせて料理する蟹のために、きみの食事マナーの無さに苛々して
いる乙女のために、きみの腹ペコっぷりに心を痛めている魚のために」
「でもって食いもんの好みにうるさいアンタのためだろ? わかったよ!」
 でも天秤は親切だと思う。なんだかんだで、すべてを俺の好みに合わせてくれる。
 高そうだけど、食べ放題で色々食える店に連れて行ってもらった。