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「いや、悪いよそれは」
「色々おごってもらったし。えーと、なんつーか、俺は「野菜をたっぷり食えて幸せ
だから」、あんたは逃げてもいい」
 見え見えの嘘を言ったのは、逃げるフリをしてくれって意味だった。このまま話し
ててもラチあかねーし。
 天秤は頷くと「悪いね」と言って、下に沈んだ。
 俺と空気コンビは立ち上がり、天秤の椅子を見た。
 椅子の上には、天秤の服が、つるしたあとに上から叩き潰されたみたいなかたちで
残っていた。
 空気コンビは顔を見合わせると、俺を睨んできた。こえー目だった。
 そして三角が、俺にむかって拳を突き出しつつ言う。
「いま、見えない刀が、テメエののどに向いてるよ」
 それからレチクルが、便所の方向に移動して、俺に向かって指を突き出した。
「おまえの頭を狙っている。撃ち抜かれたくなければ、天秤を呼び戻せ」
 俺はなにも知らない。こいつらと天秤のことはわからない。
 ただわかるのは、こいつらが偉そうで、天秤の気持ちをてんで無視してて、人を下
に見てて、すげえムカつくってことだけだ。
 俺は息を吸い、吐いた。力を同時に二方向に向ける。そして、放つ。
 三角は強烈に横に吹き飛んで、店の窓ガラスを突き破って飛んでいった。
 レチクルは強烈に後ろに吹き飛んで、便所のドアを叩き割って中に入っていった。
 俺は自分をチェックする。制限は? 出てるけど大丈夫だ。特訓による体力アップ
のおかげだ。
 俺は荷物をかかえた。素早く天秤の服をあさって財布を取り出すと、それを持って
レジに走った。
 呆然としているレジのおっさんの胸に「おらぁ!」と財布を叩きつけ、店を飛び出
す。
 大通りに三角が居た。顔面流血しながらそいつは、雄叫びをあげて俺に手を突き出
してきた。
 とっさにしゃがんだ。頭上で俺の髪の毛が数本切断され、頬に落ちてくる。あぶね
え。
 しゃがんだ姿勢から横に転がり、立ち上がると、俺を呼ぶ声がした。
 店から出てきたレチクルだった。指をかまえている。