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 俺はさっと路地に飛び込んだ。飛び込むと同時に、反対側の建物の壁に穴があき、コ
ンクリートのかけらが散るのが見えた。
 俺はそのまま路地を走る。角をいくつも曲がり、駅を目指す。
 真っ昼間から、人の多いところで力を使うのはヤバいと思ったのだ。なるべく戦い
は避けたい。
 しばらく路地を走って立ち止まった。
 俺の目の前に現れたのは、三角。先回りしたらしい。
 背後を振り返った。
 俺の後ろに現れたのは、レチクル。近道して追ってきたらしい。
 逃げ切れれば良かったんだが、無理だったか。
 とりあえず文句を言った。
「俺はあんたらを、なるべく傷つけないようにしてやってんだぞ」
 これが獅子あたりだったら、こいつらとっくに焼死してる。
 俺は色々経験したにもかかわらず、まだそこまで思い切りよくはなれずにいたのだ。
 三角が、目じりを吊り上げた。
「ふざけんなこのクソガキ。腹かっさばいてやる」
 レチクルが、目を点のように細めた。
「天秤の仲間を順に消していけば、天秤は気を変えるかもしれん。まずはおまえだ」
 制限の疲労は来ているが……ここは踏ん張らないとまずい。
 俺はそばのゴミ箱と、不法投棄されたらしいエアコンに意識を向けていた。
 まずはエアコンを引きつけた。俺の頭のそばに浮いたエアコンが、空気の弾丸を受
けて側面にヒビを走らせた。
 次にゴミ箱を浮かす。同時に三角が迫ってきた。突き出された空気の槍の先で、ゴ
ミ箱がフタに綺麗な穴をあけた。
 駄目だ、疲れが来てる。ここらへんで二人を気絶させなきゃ、俺がやばい。
 俺は二人をまとめて宙に浮かせ、子供が積み木を打ち合わせて遊ぶみたいに、ぶっ
つけた。
 それからふりまわす。二人の体は同時に、ビルの二階あたりの壁にぶつかった。
 三角の体は、下に落ちてきた。
 レチクルの体は、壁に張り付いたまま落ちてこなかった。
 よく見るとレチクルの首には、ビルの壁から生えた、二本の腕が巻きついていたの
だ。