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 水瓶は手に新聞を持っていた。それを俺に向かって突き出してくる。
「読め」
 今日の事件が記事にでもなってるのかと思った。あわてて新聞をひらいて読み上げ
る。
「えーっと、ゾディアック社にインサイダー疑惑……」
「ちがう。日付だ。日付を読め」
 日付くらい覚えてるんだが、俺は素直に読んだ。
 水瓶は深く頷き、ひとりで納得していた。
「間違いない。今日だ。今日が記念日なんだ」
 俺は脳みそと口のあいだにモノが挟まったような気分になり、うまく喋れなかった。
 かわりに双子がつっこんだ。
「水瓶。あんたは賢いくせに馬鹿だから、ちゃんと順番に説明する癖をつけなきゃ駄
目だぜ」
「失礼な。僕は馬鹿じゃない馬鹿にするな」
「今日がどうかしたのか?」
「むかし、未来の天秤に聞いたんだ。今日は記念日だと。牡羊のことで決断をした最
初の日だと彼は言っていた」
 むかし、未来、のへんがややこしくて、理解するのに時間がかかった。
 つっこむのは、やっぱり双子のほうが早かった。
「えーと、あんたはむかし、タイムワープをして未来に行って、今よりも未来の天秤
に会ったんだな?」
「だからそう言ってるじゃないか」
「で、今より未来の天秤は、今日のこの日を、記念日だと言っていたと」
「ああ。そこで牡羊に聞きたい。今日いったい何があったんだ?」
 この家族の欠点は、ありとあらゆる嘘が通じないところだと思う。
 せっかく天秤がこしらえた完ぺきな嘘を、俺はことごとくバラした。
 話し終えると、双子が唸った。
「あーあ、三角にレチクル。馬鹿なやつらだ」
「天秤って本当に殺し屋なのか?」
「今はモデルやってる筈だ。ヌードもやるし、手とか足とかのパーツも売るし、たま
には顔出しのモデルもやる」