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 しかし獅子も、俺にこう言った。
「手を出すな、牡羊」
 そして獅子は空を見上げた。
 空中のビンは、手前のものから次々と爆発していった。そして最後に、孔雀が発火
した。
 燃えながら孔雀は飛び、湖の中に飛び込んだ。
 そしてふたたび飛び上がってくると、また得意げになった。
「はっはっは! 水のそばでは貴様の攻撃も効かんぞ。これで私の……あちちち!」
 またふたたび発火した孔雀は湖に飛び込み、頭をちりちりパーマにして上がってき
た。
「卑怯だぞ獅子! まだセリフの途中……あちちちち!」
 発火した孔雀は湖に飛び込み、今度は上がってこなかった。
 俺は心配した。ギターの中身を。酸って水の中で、ちゃんと分解するんだろうか?
 獅子は湖面を見つめている。浮いてくる孔雀でもって、炎のもぐら叩きをやるつも
りなんだろう。
 孔雀が上がってきた。今度の動きは素早かった。さっと飛翔して森側に移動し、木
々の中に隠れてしまう。
 獅子はゆっくりと歩き出した。森の中に入ってゆく。
 俺は数メートル離れて後を追った。
 木々の中はうすぐらく、草深かった。
 しばらく歩くとまた、孔雀の笑い声が木々にこだました。
「はっはっは! かかったな獅子。私の姿が見えねば攻撃できまい!」
 それはそうだろう。姿を隠す戦法ってのは厄介だ。俺はそれで昔、痛い目を見てい
る。
 獅子は声に耳を澄ましつつ、呆れた声を出した。
「それは卑怯とは言わんのか?」
「卑怯ではなく作戦だ! ちなみにこの森には罠がいっぱい仕掛けてある。覚悟しろ」
 どう考えても卑怯じゃねえか。
 獅子は黙って足元を見つめている。
 俺もつられてそこを見た。たしかに奇妙なスペースがあった。草が不自然に抜けて
いる場所があるのだ。