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 獅子が俺に言った。
「このあたりに石を置け」
 俺は辺りを見回した。頭くらいのサイズの石を見つけたので、能力で浮かせて、指
示された場所におろした。
 落とし穴が石を呑みこんだ。結構なサイズの落とし穴だった。
 獅子は続いて辺りを見回すと、手をあげ、木々の間に張られたツタを指した。
 ツタは発火して焼き切れた。同時に、巨大な木の振り子がぶんと降りてきて、獅子
の目前で揺れた。
 続いて獅子は考えると、指を眉間にあてて、念じた。
 同時に、矢が飛来した。しかし獅子の体に届く前に、燃え上がって灰になった。
 矢が飛来した方向に獅子は目を向けた。そして足元に炎をたてると、目前の方向へ
と、いっきに燃え広がらせていった。
 あっという間に火事になった。範囲と方向が定まった奇妙な山火事は、木の間に隠
れていた孔雀をいぶり出したのだ。
 空を飛ぶ孔雀は、発火していた。発火しながらふたたび湖の方向に飛んでいく。
 獅子は炎の方向を手前に変え、すでにすべてが燃えてしまった箇所に炎を集め、消
火していた。
 獅子がつぶやく。
「面倒だな」
 言いながらすたすたと湖に戻っていく。
 俺はやっぱり獅子の後に続きながら、感心していた。あのヒーロー気取りは馬鹿に
しか見えないが、悪役の方は格好いいじゃねえか、と。
 湖のふちに射手が立っていた。俺たちに気づくと、黙って湖面を指差す。
 遠く離れた水の上に、孔雀の頭が浮いていた。
 孔雀は泣きそうな顔をしながら、笑っていた。
「さすがは我が宿敵。私のすぐれた作戦を打ち破るとは! しかしそれもここまで。
私の完ぺきな防御を破れるかな?」
 そして口に竹筒を咥えると、すっと水に沈んだ。
 俺はもうなんか、情けなくなった。
「なあ獅子。俺がガキのころ憧れた、大好きだったものって、あんなに馬鹿くせえも
のだったのか?」