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「ぼくはいま、川田のグループに所属している。今日は指令を受けてきた。蠍を引き
抜けと」
 つまり、こいつも能力者なのか。
 蠍を見ると、やっぱり、作ったみたいな無表情だった。
「俺は行かない」
「ああ。しかし知っての通り、蠍を連れて行くのは簡単だ。ぼくが、ぼくの能力を使
えば」
「俺は行かない。行けるわけが無い」
「ぼくも蠍の意思を無視するのはいやだ。しかし川田には逆らえない。困ったよ実際」
 なにを言ってやがるんだこいつは。
 俺のメンチを受けて、カラスは首をかしげていた。
「ぼくは所属のことを話しているだけで、蠍はこれからも、変わらずきみのものだ。
それでも不満なの?」
 俺は、きっぱりと言った。
「蠍は行かねえ。あんたは手ぶらで帰る。そんだけだろ」
「いや、きみを連れて帰るという手もあるんだ。そうすれば蠍は、自分の意思でつい
て来てくれるかもしれない」
 はじめて蠍が動揺していた。
 続いて出した声も、震えていた。
「やめてくれ」
「何度も言っている通り、きみらの関係は邪魔しない。ただ、ぼくは知っている。人
の心はとてももろい」
「やめろ。カラス、よせ」
「もろくて、もろくて、少しつついただけで壊れる。牡羊、きみはきみの意志で蠍を
裏切る。なぜならぼくはきみを、愛しているから」
 俺の心臓が一回、跳ねた。
 俺はうろたえた。なぜなら俺は、嬉しかったからだ。カラスに惚れられてると知っ
て。
 しかし、なんでだ。初対面なのに。