164 :超能力SS11:2008/09/11(木) 21:13:05 ID:???0

 学校に忘れ物してたんで、休みだけれども取りに行った。
 自分の教室に入り、机の中からプリントを取り出し、すぐに帰ろうとしたんだが。
 奇妙なことに気づいた。
 俺の教室からは旧校舎が見える。そこはもうすぐ取り壊しが決まっているので、立
ち入り禁止だ。
 なのに、窓に、人影が見えた。
 俺は幽霊系の話が苦手だ。しかしこの真っ昼間から幽霊でもないだろうと思い、旧
校舎に行ってみたのだ。
 そいつは、理科室に居た。俺の知っているやつに、よく似ていた。
 よーく似たやつだったが、俺の知っているそいつよりは、かなり若い。俺よりも年
下なんじゃないか?
「水瓶かよ!」
 若くても、理数系の雰囲気をまとった水瓶は、俺を見て、へんな顔をした。
「なぜぼくの名前を知っている」
「そりゃ、俺がもう、おまえと知り合いだからだろ」
「ぼくはきみを知らない。初対面だと思う。説明してもらわなければ意味が分からな
い」
「ああ、それもそうか」
 こいつは子供のころの水瓶だから、まだ俺を知らなくて、えーと……、ややこしい
な。
 名を名乗り、趣味とか言って、この学校の生徒であることとか言って、水瓶と家族
であることを告げた。
 水瓶は、驚いていた。
「いったい何の話だ。ぼくの家族? ぼくには家族なんてものは無いぞ」
 そういや、うちの家族には、みんな親がいないんだった。
「だから、将来は出来るんだよ。今げんざいで12人の所帯だぜ」
「将来だって。……ぼくはひょっとして、未来に来ているのか?」
 初めてのワープだったらしい。
 俺は家族のことと、水瓶の能力を教えてやった。制限も含めて。
 水瓶が焦っているのが面白かった。こいつにも、こんなころがあったんだな。

最終更新:2008年09月15日 17:21