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 俺の上に乗ったまま、現在の水瓶は言った。
「結論から言うと、川田の放った刺客が、いま牡羊を狙っている。光線をあやつる能
力者だ」
 過去の水瓶がつぶやくように言った。
「すべて、本当なのか」
 現在の水瓶が答える。
「本当だよ。きみが、今よりもさらに未来のぼくからの伝言を受け、調べあげた不幸
な事実は、すべて本当だ」
 言いながら水瓶はふところに手を入れた。なにか丸いものを取り出す。
「光線をあやつる能力者の存在を知ってから、彼に対抗する術を考えていた。まあ簡
単だった。こうすればいい」
 言いながら水瓶は、その丸い鏡をかかげた。
 窓から飛んできた光は、入ってきたのときっちり同じ角度で、鏡に反射した。
 光線の狙っている位置を知らなければ、できない行動だった。
 水瓶は面白がるような目を窓に向けた。
「ちなみに能力者は向かいの校舎に居るんだ。光線は眉間から放たれるらしい。とい
うことで、今あちらの校舎には、頭に穴をあけた男がひとり転がっているはずだ」
 過去の水瓶は呆然としていた。
 しかし、すぐに、もとの厳しい表情を取り戻すと、俺に言った。
「帰してくれ」
 しかし現在の水瓶が先に立ち上がり、過去の水瓶に向かって言った。
「僕で良いだろう。さあ」
 手招きされた過去の水瓶は、なんか複雑そうな表情をしつつ、顔を水瓶に差し出し
た。
 そうして現在の水瓶のキスを受け、過去の水瓶は消えた。
 現在の水瓶が言う。
「……僕にとっての牡羊は、ずっと長い間、あこがれの未来人だった。こうして同じ
時間を過ごしているのは、奇妙な気分だよ」
 俺が今ここで体験したばかりのことを、すべて体験してきた水瓶からは、あらゆる
過去を飲み込んで、すでに結論を出した人間だけが持てるんだろう、落ち着きみたい
なものが感じられた。
 そしてそれこそが、俺の知る水瓶だ。