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 藤かごを中心に店を開いている魚おじさんは、余裕があったのか山羊を店の縁側にあげて
色々な話を根掘り葉掘り聞いてきた。都会の事情に飢えていたらしい。「この時期にこんな
にお客さんこなくて大丈夫なの?」と山羊が尋ねると、金持ちの道楽だからいいんだよという
とんでもない答えが返ってきた。
「店先から見て中が暗く見えるのがよくないんだと思う。お金持ちならお店の中の電気を
増やしたほうがいいよ」
「竹が色あせるかと思ってやってなかったんだけど、考えてみたらそうかもね。もう少し
高級感を出した内装に改装したら売れるかもなあ」
 でもそうしたら天秤さんに恨まれちゃうな、といって魚は笑っていた。近所で同じような
商売をしていると付き合いは何かと面倒らしい。
「天秤さんはね、この辺で一番売り上げのいいきれいなお土産屋さんだってことを誇りに
してるんだ。過去にもいろいろお土産さんが新しく開いたことがあったけど、あんまり売れ
すぎると天秤さんが噂話をしながらさりげなくそこの嫁姑事情とか旦那の浮気話とかいろんな
ことを教えてくれるんだよ。おかげで天秤さんの店はここ十数年売り上げトップなんだ。
まあ彼の場合忙しいほうがお互いのためなんだね」
「……刃向かっちゃだめな人ってこと?」
「長く付き合ってるとクセが見えてくるってだけで、それはそれで苦労するんだよ。天秤さん
も。あ、言っとくけど乙女さんは安泰だ。神社さんのおかげでこの辺の商売はもってるわけ
だからね」
「あんまりおっきいお店に見えなかったよ。こっちのほうが広いし」
「それは天秤さんの前じゃ言っちゃだめだよ。薄暗くてぼろっちいのがうちの売りだから。
こっちがあんまり目立たなきゃ、天秤さんは誰にでもいい人。これもほんとだ」
 山羊は魚の話をきいているうちに子どもながら憮然とした顔になってきた。
「よのなかってよくわからない」
 軒先にころんと転がる。魚は笑いながら山羊にそば饅頭をくれた。大人ってなんで子どもに
おやつばっかりいっぱい食べさせようとするんだろうと、山羊にはそれもわからなかった。


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レスありがとうございます!ねのと参りの続きでした。
そろそろ他星座も出したいです。