「とにかく中で電気つけちゃだめだからね。勝手にやったら僕、怒るからね」
 となりで水瓶が肩をすくめているのがわかる。最終的にはいつも山羊の側が許されるのだ。
大人なんてたまにどうしようもなく馬鹿なのに、自分ばかりが許されている気がして、山羊は
自分の子供っぽさも時々いやだった。

 川田での生活もだんだん慣れてきて、山羊は乙女の待つ家に帰ると夕食も風呂も早めに
済ませて布団に入った。明日のことを考えるとわくわくしてしばらく寝付けなかったものの、
派手に寝返りをうっているうちにうまく体が冷えたのかたくさんの夢にみまわれる。
 夢の中ではバッタやキリギリスや蝶やクモが人間みたいに喋っていた。山羊自身も何かの
虫になって空を飛んだりする。いつのまにかあの暗い通路の中に迷い込んで、一生懸命出口
を探したまま夢が暗転していった。

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先日のねのと参りのネタですが、>>180氏のおっしゃるとおり
実際に体験できる場所が全国に何箇所かあります(神道ではなく仏教ですが……)。
シリーズの最後にでも追記しようかと思っていましたがここで。
体験された方のレスをいただけて嬉しいです!

川田地方も実際にはそば名物の某所がモチーフになっております。
ご存知のかたはこっそりニヤニヤしていただければ幸いです。

最終更新:2008年10月02日 22:38