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 双子の話は過去から始まった。俺が家族に加わる前の話だ。
 ある日、双子は、俺という能力者が、獅子にかつぎこまれる未来を読んだ。
 予知の中で獅子は双子にこう語った。俺を発見したのは偶然だと。散歩の途中で俺
を見つけたのだと。
 老朽化した橋をわたろうとして、割れた足板から落ちた俺は、能力を発動し、足元
に岩を積み上げて、落下距離を縮めて助かったのだと言う。
 からだを強く打った俺は、あちこちを骨折していたらしい。
 しかしその未来を双子に聞いた、現在の獅子は、散歩の予定を、意図的な探索に切
り替えた。俺を見つけるため、って目的の。
 ついでに、俺を骨折させる運命を持った橋を、燃やしてしまった。
 ここで、いま俺の横に居る獅子が、双子の話を保証した。
「歴史は少し変わったらしいが、結論は同じだろう。牡羊は俺たちの所に来た」
 魚は、俺の骨折と疲労を治すべき運命を、俺の火傷と疲労を治す運命に切り替えら
れた。
 蟹は、俺を警戒すべき運命を持っていたんだが、逆に俺を最初から歓迎し、世話を
するという運命に切り替えられた。
 射手と蠍の運命にはそれぞれ、獅子と俺を運んだ結果による麻痺と、獅子に睡眠を
与えたことによる発情とが書き加えられた。
 水瓶が解説する。
「僕が歴史を変えることを嫌がるのは、それをすることによって、別のどこかに荷重
が移動するのがわかっているからだ。牡羊は骨折をせずにすんだ。しかしその荷重は、
獅子の苦痛、射手の麻痺、蠍の発情に移動している」
 双子がうなずく。
「俺が未来を読んじまった時点で、未来は変わってしまう。だから俺は、ここぞって
時にしか、能力を使わないように気をつけてるんだ。けどそのポイントを読むのは勘
だからな。難しいんだよ」
 次に小さな自傷をおこなった双子は、俺がここに住む決断をくだすまでの未来を読
んだ。
 俺は初めて双子と会ったときの事を思い出す。たしかにあのとき、双子は自分でそ
れを言っていた。未来を読んできた、と。