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 山羊が、むっとしていた。
「……駄目だろう、それは。完全に」
「分かってるよ」
「俺はおまえの犠牲になった姿なんて見たくないし、そんなおまえに能力を使いたく
なんか無い」
「分かってるって。今のは照れ隠しだから」
「それは自己犠牲ではなく、自虐というんだ」
 地味に痛い言葉の攻撃を受けて、双子はヘコんでいた。
 俺は双子をかばった。
「あのさ。してもいないことで双子を怒ったって、双子が可哀想じゃねえか」
 それで双子は立ち直った。
「こっちの俺は、天秤が俺を助けてくれるトコまで読んでたんだよ。だからそんな、
無茶やってたわけじゃねーって」
 すると乙女が、双子を怒鳴りつけた。
「ふざけるな! 天秤を助けに寄越したのは水瓶だ!」
「あー……、そうだった」
「なぜみずから周りを頼らない。それに俺と違っておまえは、自分の制限をコントロ
ールできるんだ。にもかかわらず、わざわざ周りに最悪の迷惑をかける方向に自分を
追い込むのは、おまえに予知能力者としての自覚が足りないからだ」
 言葉はきついが乙女は優しい。乙女自身、自分の制限のかたちに普段から苦しんで
いるから、こういうこともハッキリと言い切れるんだと思う。自分のことのように双
子を気遣える。
 しかしだ。俺はさっきと同じことを言った。
「いやだから。助かったあとに、助からなかったことを責めたって、なんか意味不明
じゃねえか」
 こうしてみると、予知能力ってのも損なもんだな。
 双子もなんか、申し訳ないんだか、不満なんだかよくわからない顔をしていたが、
咳払いをして気持ちを切り替えていた。
「まあ、そっちの話は、もうナシになったんだから、こっちに置いといて、だ。これ
からのことを説明するぞ。結論から言うと、7日後に川田が来る。この家に、俺たち
に会いに」