※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

「大丈夫?」
「おう。手がかりがねえから、地面ごと浮こうかと思ってたところだ」
「能力の無駄遣いはやめよう。なにか掴まれるものが無いか探してみるよ」
「孔雀は?」
「孔雀って、敵の名前? 射手が遊んでる」
 天秤は顔を引っ込めた。
 しばらくすると、頭上からツタが振ってきた。
 すがって登り、地上に立つ。そしてさらに上を見上げると、孔雀が空を逃げ回って
いた。
 飛ぶ孔雀の背中に、射手が出現してつかまる。孔雀は必死で振り落として逃げるん
だが、射手は即座にジャンプして位置を変え、また孔雀をつかまえる。
 遊んでるのはわかるが、射手の心臓が心配なので、俺は二人を近くまで引き寄せた。
 孔雀は俺の上方に、水平に浮いている。その背中に射手がまたがっている。
 孔雀は、必死の形相だった。
「な、なんという卑怯な能力だ」
 射手が本気で卑怯だったら、おまえ今ごろ、どこかの嫌な動物の檻の中にでも閉じ
込められてるぞ。
 天秤は俺のとなりで、ニコニコと笑っていた。
「牡羊、できれば孔雀の体を、どこかと接触させてほしいな。僕の能力は、浮いてい
る連中とは相性が悪いから」
 聞きつけた射手が眉をしかめ、同時に天秤の目前にジャンプした。
「やめろ。孔雀は連れて帰る」
「僕らの家族にする気かい? うーんそれは、ちょっと問題がある気がするよ」
「ちがう。孔雀のことは、獅子に判断させなきゃ駄目だ。昔の仲間らしいから」
 俺はとりあえず能力をはなち、さっき落とし穴から出るのに使ったツタを持ち上げ、
針と糸をあやつる要領で、孔雀のからだに巻きつけた。
 そしてツタの一端を手に握り、ぐいと引っ張って、縛り上げた孔雀のからだを地面
に引き落とす。
「よし。射手、そろそろ帰……」
 天秤の体が、射手の体を透過した。射手のからだの前面に、天秤の服が貼りつく。
 俺の視界で、天秤が孔雀に走り寄っていく。手を差し出し、縛られた孔雀のからだ
に触れようとしている。