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 しかし天秤の手が孔雀のからだと接触する直前、ジャンプした射手が、孔雀のから
だに覆いかぶさった。
 天秤はさっと手を引いたが、射手の体内をすこし傷つけたらしい。射手は痛そうに
呻いていた。
 俺は叫んだ。
「なにやってんだよ、天秤!」
 天秤は目を細めて二人を観察している。たぶん射手のからだの厚みと、その向こう
の孔雀の体の位置をさぐっている。
 それを悟ったらしい射手が、孔雀ごとジャンプした。10メートルほど遠い位置に
出現する。
 天秤は顔をあげ、距離を計り、あきらめたように肩をすくめた。
 二人のうち「移動する力」そのものは、射手のほうが強い。走り寄っても逃げられ
るだけだと考えたんだろう。
 俺はさっきと同じことを天秤に聞いた。なにを、って。
 天秤は世間話みたいに答えた。
「獅子はあれで優しいからね。敵には容赦ないけど、むかしの身内に手を出せる男じ
ゃない」
 それは逆に言えば、だからかわりに天秤が手を出すんだ、って意味だ。
 天秤の行動は、間違ってはいない。川田の一味が、俺らの家にたどり着くまでに倒
してしまうのが、今回の作戦だからだ。
 だからこそ天秤は頑張って、さっき四人も倒してきたのだ。
 ここで捕虜を捕まえちまう意味は、あまり無い。たとえそれが、もとの獅子の仲間
だとしても。
 むしろ危険だ。孔雀がいま、川田の一味になっているとしたら、連れ帰るというそ
の行為が、どんな未来につながるか分かったもんじゃない。
 しかし……、俺はそれでも、なにか違和感を感じるんだ。
 俺に天秤が説得できるか?
「孔雀からは色々と聞き出せると思うぜ。みんなの能力を使えば。蟹と蠍と山羊と……」
「そのこと自体が問題なんだ。家族に彼を会わせるというのが」
「なにが問題なんだよ。いいじゃねえかべつに。みんなに判断させりゃ」