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 牡牛の能力は、能力そのものは戦いに向かない。むしろ自分を守るための力だから
だ。
 牡牛も考え込みつつ、「まあいいか」なんて言って、宙に手を差し出した。
 その手に、がしゃっと、俺も知ってる装飾銃が握られた。
 それを地面に置いて、また手を差し出す。
 ひとつかみの金の銃弾を取り寄せた。それを俺に差し出し、込めてくれと言う。
 俺が作業してる間に、宙から妖刀を取り出した。いやっ妖刀つーより、クレイジー
ソードと呼ぶのがふさわしいアレだ。
 それから考えて、また取り寄せる。綺麗なナイフを一ふり。
 次にリンゴをいっこ取り寄せて、ナイフで剥きはじめた。
 俺はとりあえず注意した。
「冷蔵庫の中身、勝手に食ったら、蟹に怒られるぞ」
「家のじゃない」
「どこのだ?」
「知らない」
 いま日本のどこかの農園で、リンゴの木から、一個のリンゴが無くなってるんだろ
う。
 剥いたリンゴをもらって、かじりながら待っていると、まもなくエンジン音が聞こ
えた。
 バイクに乗ってやって来たカラスは、俺たちの前で乗り物を停止させると、ヘルメ
ットを脱いで、俺に言った。
「久しぶりだね、牡羊」
 さすがに俺が好きだとかいう蠍の催眠は解けてるだろうけど、俺はなんとなく怖く
て、尻ごみするような気持ちを感じてしまった。
 いや、もしもカラスが俺みたいな、モノ的な能力の持ち主だったら。それで喧嘩を
仕掛けてくるんだったら。俺はぜんぜん怖くない。
 心に働きかけてくる力ってのは、どうも苦手だ。