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 カラスはバイクから降り、牡牛を見た。
「きみは初対面だ」
「けれど俺はあなたを知ってる。アルバムも持ってる」
「そう。ありがとう。気に入ってくれてるのかな」
「とても」
 カラスはちょっと嬉しそうだった。
「きみの名前は?」
「牡牛。能力は物体取り寄せ。制限は、自分の欲望の量がすくないものについては、
能力が発動しないこと」
 正直すぎないか?
 カラスも同じことを思ったようだ。意図をさぐるような目つきをしている。
「なにか狙いがあるのかな」
「べつに」
「ぼくの能力は知っているよね、当然」
「ああ。蠍に聞いた」
「……どうも、わからない」
 牡牛の足元には、牡牛が暇にまかせて取り寄せた武器が、いろいろ転がっていて、
骨董市の出店みたいになってる。
 しかし今、牡牛が手に握っているのは、またどっかの工場から盗んだんだろう棒ア
イスだった。
 そして俺はかじりかけのリンゴを持ってて、そのせいで手がベタベタになっている。
 カラスは考えていたが、たぶんわからないだろうなと思う。だって俺らだってわか
らないんだから。
 カラスはやがて、考えることを諦めたみたいだった。直接、牡牛に聞いている。
「たとえばそこにある武器で、ぼくをいきなり攻撃しようとは思わなかったのかい?」