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 カラスは言った。
「牡羊。愛してる」
 俺がここに残った理由は、牡牛を助けるためだった。
 それは間違いだったのか。いや正しかったのか。
 俺はカラスを助けてやることができる。そうカラスに言ってやりたかった。
 しかし俺は好きな相手には照れくさくなっちまうタイプなので、赤くなって黙り込
むしかなかった。
 カラスは優しい目をしている。
「これで一人はぼくの味方だ」
 そして、牡牛は不思議そうに俺を見ている。
「本当に、あんなひとことで良いのか」
 俺のほうは、苦しい気分で牡牛を見上げた。
「牡牛が嫌になったわけじゃない。家族のみんなも敵だなんて思いたくねえ。でも今
の俺は、カラスを助けたいんだ」
「カラスのために、俺を攻撃できるか?」
 それについては、俺はしっかりと頷いた。
 俺は牡牛と戦える。たとえ牡牛が家族でも、友達でも。今の俺にとっては、いちば
ん大事なのはカラスだから。
 カラスは俺にこう言った。
「じゃあ戦ってくれないか。僕のために」
 カラスは俺の能力を知らない。だから万が一の安全のために、俺に魅了をかけたの
だろう。
 それで正解だ。俺の力は戦いに向いてる。
 俺は牡牛に念を放ち、ゆっくりと持ち上げた。
 あとは地面に叩きつけるだけ。仕方が無い。これは仕方が無いんだ。
 宙に浮いた牡牛は驚いていたが、両手を前に差し出すと、身をかばおうとするよう
に、自分のからだを抱きしめた。
 いや、ちがう。
 取り寄せたのだ。カラスを。牡牛は空中で、カラスを抱きしめていた
 混乱する俺に牡牛は告げる。
「俺たちを下ろせ牡羊。ゆっくりと」