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カジノ・ロワイヤル 射手と水瓶と牡牛 774チップ 2007/09/16(日)20:03

50の続き。蠍vs天秤の流れですが少し置いておいて。
羊と魚も気になりますがそれもちょっと置いておいて。



豪華客船内の賭博上から遠く離れて、船員用通路。
それっぽいツナギと帽子を着た射手が一人でドアの前に立ち見張りをしている。
時折人気のない時を見計らってドアの中を覗くと、
暗い室内で水瓶がペンライトを口に配線をいじっている。

射「ガメーっ。あとどれぐらいかかりそう?」
水「(一旦ペンライトを手元に持ち替えて)わからない。なるべく早く済ませるから
  終わるまで声をかけないでくれないか」
射「そういう裏技があるんならさ、何でもっと早くやってくれなかったんだよ?」
水「見回りのシフトがはっきりわかるまで手を出したくなかった。
  それにこれは僕が助かるための措置であって、君を助けるための措置じゃない」
射「……(ぼそっと)もっと早くやってれば乙女を助けられたのに」

水瓶、ペンライトを握ったまま射手を睨む。

水「射手、君は誰もかれもみんな助ける気なのか。僕があのステージに上っても助けると?」
射「ワナだったら……」
水「僕は乙女は極めて正当に勝負を挑んで、負けたんだと思ってる。
  乙女は自分が負けたらああなることまでわかっていて、全部承知の上で勝負に挑んだ。
  罠にかかってすぐに勝負をやめなかった時点で乙女の責任だ」
射「……」
水「……僕は乙女のそういう潔癖さが好きだよ。僕は僕のやり方を通すけどね。
  人に対して、そう簡単に助けてやろうだなんておこがましいと思う」

射手、溜め息をつきながら頭を掻いて考え込む。

水「射手は射手のやり方を通せばいい」
射「そんなこと言ったって、色々考えちゃうじゃん」
水「君は頑固なところと素直なところの落差が激しいからな」
射「ガメにはあんましそういうこと言われたくない!」


数十分後、二人は作業を追えて現場を離れる。
ぶつぶつ考え込みながら「でもやっぱりそこは譲れないな、うん」と漏らす射手。
射手の少々の奇行は放置してみる水瓶。
二人が廊下を歩いていくと、廊下の先に大きな人影が現れる。

牡牛が、タキシードを着てのったりと廊下をうろついている。
やがてこちらを見つけて歩いてくる。酒臭さに顔を歪める水瓶。
牡牛の目は朝からの軽い迎え酒で据わっていた。

牛「おい。……船の中で高校生が歩いているの見なかったか」

水瓶は答えない。脇を見ると、烈火のごとき形相で牡牛を見上げる射手がいる。

射「知らねえよ。朝から酒とはいいご身分だな。勝利の美酒がそんなに美味いか」

射手の矢のような人差し指が、牡牛の心臓に鋭く突きつけられる。
不快感とともに牡牛は射手を見下ろした。

射「正午にポーカーの卓で待ってろ。俺があんたをステージの焼肉にしてやる」
牛「…………よかろう。へし折ってやる」

三人はすれ違う形で離れていく。牛は賭博場へ。射手と水瓶は着替えるために部屋へ。
牛の姿がかなり遠くに離れてから水瓶はぽつりと漏らす。

水「本当に倒さなきゃならないのはあの男じゃないぞ」
射「わかってる。でも乙女の仇をとらなきゃ。どうしてもおさまらない!!」

賭博上から異常な歓声の端切れが耳に入ってきて、立ち止まる。
水瓶は一旦賭博場の方を見て首をかしげたあと、射手と一緒に部屋へと戻っていった。