カジノ・ロワイヤル 獅子と山羊(中間成績) 774チップ 2007/09/22(土)02:23

65の続きです。特に悪い人たちの密談。新たなる波乱の予感。
これで第三ターン終了になります。



船内のサロンの一角に、ものものしい空気が張り詰めている。
大理石のローテーブルを挟んで二つの勢力が殺気立っていた。それぞれの集団を成す男たちは
今にも野次を振り上げ相手方につっかかっていきそうな勢いだが、
双方のソファの中央に座っている男がそれぞれの覇気でそれを止めている。

獅子と山羊はテーブルを挟んで睨み合っている。一触即発の空気が場を支配していた。

獅「互いに口では何とでも言える。
  困ったものだな。お互い信用の立てようがない状況というものは」
山「……こちらからは断じてやっていないというよりない。
  だがそちらの言い分もわかる。互いの信用を固めるためには最善を尽くそう」
獅「ああ、そうしよう。──ことに可愛い俺の部下たちにむけてだ。
  例え俺が貴様を信頼しているとしても、血気早いこいつらの手が滑るということもありうる」

山羊の後ろに控えていた男たちが声を荒げて獅子の集団につっかかろうとするのを、
山羊は声を大きくして止めた。「よせ」

山「侮ってもらっては困る」
獅「ああ。そうだな」

獅「あの銃弾を一体誰が撃ったのか、ということだ」


牡牛がステージの上で犬に襲われ、天秤がステージに上り、
騒ぎが最高潮になったところで舞台が暗くなり銃声が鳴った。
犯人、及び着弾箇所は未だ明らかになっていなかった。


獅「万が一つにもないと思うが、もしそちらの誰かが撃ったのだとしたら
  取引については少し考えなければならんな。こちらが撃たれていたかもしれんとなればなおさらだ」
山「考えすぎだな。心配性な貴殿のためにその言葉はそっくりお返ししよう」
獅「(笑う)悲しいことを言わないでくれ。ジャパニーズは表情が読みにくいな……。
  その上口が重い。もし本気で考えすぎだと貴様が考えているなら救われんよ。そうだろう」
山「……」

睨み合っている間に獅子の手下が割り入ってくる。手下の耳打ちを受けて獅子が席を立ち、
ソファに座っている山羊を見下ろす。

獅「渡りがついた。監視カメラの映像が見られるそうだが、来るか?」


数分後、監視室に入った獅子と山羊は壁沿いに並ぶ手下たちに囲まれて
監視カメラの映像を見上げる。スクリーンの映像は暗闇の中に一瞬のフラッシュを起こし、
そのまま場内の電気が復旧するまで続いていた。
「フラッシュの入ったカットで止めます」
賄賂を受け取った技師はひしめく裏社会の男たちに怯えながら画像を止め、拡大する。
フラッシュが発生したコンマ数秒、光源となった銃口が確かに天井に向けて火を噴いたのが確認できた。
光源の下にはおぼろに発砲した犯人の顔が浮かんでいる。それが二人をして、
羊によく似ていると判断させるのにそう時間はかからなかった。

獅「どこの国だかわからん顔をしているなあ。少なくともうちじゃない。アジア系か?」
山「さあな。いずれにせよ、末端の国籍なんてものは後でどうにでもできる」

獅子は鷹揚な獣のように微笑み、山羊は侠を絵に描いたが如きどすのきいた顔をしている。
互いの顔を見るにそれが完全な和解の証でないことは明らかだった。


現在のプレイヤーの順位は

 1位、双子  元からの手持ち分に天秤・牡牛・射手から奪ったチップと牡牛の撃破ボーナスを追加。
 2位、射手  元からの手持ち分に牡牛・双子から奪ったチップと牡牛の撃破ボーナスを追加。
 3位、蠍   一度破産したが、その後天秤から奪ったチップに天秤の撃破ボーナスを追加。
 4位以下は僅差がありながらもほとんど横並びの状態が続いている。
 破産者──乙女・天秤・牡牛の三名。

最終更新:2007年10月10日 20:20