星座で801 @ wiki
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星座で801 @ wiki
ja
2008-11-04T23:08:22+09:00
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超能力15_08
https://w.atwiki.jp/seizade801/pages/326.html
ものをぶつけようとしたら、牡牛がカラスを体の内側にかばいやがった。俺が悪い
みたいじゃねえか!
殴りかかっていこうとしたら、牡牛は道路を後ずさりしつつ、次々と障害物(でか
い彫刻とか)を並べていった。
誰が誰の敵で味方なんだか分からない状況の中、天秤が帰ってきた。
天秤はひと目で状況を把握したらしい。宙を向いて言った。
「乙女。射手を呼んで」
裸婦像の影に、射手がゲラ笑いしつつ現れ、抱き合う二人をさらに抱いて、消えた。
俺は天秤にすがりついた。
「どーなってんだ。どうなってんだこれは」
天秤は複雑そうな目で俺を見ていた。
「今の牡羊は敵なんだねえ……」
「おう。でもべつに天秤が嫌いなわけじゃねえぞ」
「素直な性格は変わらないんだな。じゃあなんというか、きみもカラスが心配だろう
から、一緒に家に帰ろうか」
天秤はバイクを運転できるらしかった。カラスのバイクにまたがり、エンジンをか
ける。
俺はすべての障害物を、怒りにまかせて吹き飛ばした。
天秤は俺をバイクのケツに乗せると、家のほうにむけて走り出した。
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色々編その2です。
-[[続き・色々編その3へ>超能力16_01]]
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2008-11-04T23:08:22+09:00
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超能力15_07
https://w.atwiki.jp/seizade801/pages/325.html
当たり前だ。そうしなきゃ、カラスが危ないじゃないか。
俺が降下を念じると、牡牛はなんか格好よい形にカラスを抱いたまま、地に降り立
った。
カラスも驚いていた。不思議がるように牡牛に尋ねる。
「聞いてもいいかな。どういうことか」
牡牛はうなずいた。
「たぶん俺にとっては、あなたの魅了は意味が無いんだ。もともと俺はあなたが好き
だったから。あとは俺が、スピーカー越しの声だけでなく、あなたの実際の姿を知る
ことさえできれば良かった。あなたは自動的に俺の能力下に入る」
手に入れたい、自分のものにしたい、食いたい触りたい感じたいという思いが、牡
牛の能力であると同時に、制限。
もともとカラスの声に魅了されていた牡牛にとっては、さらなる魅了は意味が無い。
むしろその魅了の力は、牡牛の欲望を深めるだけだ。
だから牡牛が選ばれたんだ。牡牛は対カラスの戦いにおいて、かならず負けない資
質を持っていたから。
牡牛はカラスを傷つけはしないだろうが、もうぜったいに、自分のものだっていう
思いは消さないだろう。
俺は叫んだ。
「ずりーぞ、牡牛!」
「役得」
牡牛はここぞとばかりに、カラスをギュウ抱きしている。
愛情という感情を理解しないカラスには、まだ状況が飲み込めてねえみたいだ。不
思議そうな顔をしている。
「ええと、参ったな。残念ながらぼくは制限のために、きみの思いには答えられない
んだが」
牡牛はあっさりと言った。
「関係ない。俺が好きだから」
この野郎。
俺は念を放って二人を引き剥がそうとしたが、牡牛はものすごい腕力で抵抗した。
カラスが痛がったのでやめた。どうすりゃいい。この強敵からカラスを奪うにはど
うすればっ。
-[[続き>超能力15_08]]
2008-11-04T23:06:46+09:00
1225807606
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超能力15_06
https://w.atwiki.jp/seizade801/pages/324.html
カラスは言った。
「牡羊。愛してる」
俺がここに残った理由は、牡牛を助けるためだった。
それは間違いだったのか。いや正しかったのか。
俺はカラスを助けてやることができる。そうカラスに言ってやりたかった。
しかし俺は好きな相手には照れくさくなっちまうタイプなので、赤くなって黙り込
むしかなかった。
カラスは優しい目をしている。
「これで一人はぼくの味方だ」
そして、牡牛は不思議そうに俺を見ている。
「本当に、あんなひとことで良いのか」
俺のほうは、苦しい気分で牡牛を見上げた。
「牡牛が嫌になったわけじゃない。家族のみんなも敵だなんて思いたくねえ。でも今
の俺は、カラスを助けたいんだ」
「カラスのために、俺を攻撃できるか?」
それについては、俺はしっかりと頷いた。
俺は牡牛と戦える。たとえ牡牛が家族でも、友達でも。今の俺にとっては、いちば
ん大事なのはカラスだから。
カラスは俺にこう言った。
「じゃあ戦ってくれないか。僕のために」
カラスは俺の能力を知らない。だから万が一の安全のために、俺に魅了をかけたの
だろう。
それで正解だ。俺の力は戦いに向いてる。
俺は牡牛に念を放ち、ゆっくりと持ち上げた。
あとは地面に叩きつけるだけ。仕方が無い。これは仕方が無いんだ。
宙に浮いた牡牛は驚いていたが、両手を前に差し出すと、身をかばおうとするよう
に、自分のからだを抱きしめた。
いや、ちがう。
取り寄せたのだ。カラスを。牡牛は空中で、カラスを抱きしめていた
混乱する俺に牡牛は告げる。
「俺たちを下ろせ牡羊。ゆっくりと」
-[[続き>超能力15_07]]
2008-11-04T23:06:17+09:00
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超能力15_05
https://w.atwiki.jp/seizade801/pages/323.html
牡牛は馬鹿正直にうなずいていた。
「思ってた。銃で狙撃したら、たぶんもう勝ってた」
「なぜそうしなかったの」
「あんたの歌が好きだから。死んだら、もったいないから」
「嬉しいけどね。だけどその判断のせいで、きみが死ぬはめになるかもしれないよ?」
「それはない。あんたの能力は相手を利用するためのもので、相手を殺してしまって
は意味が無い」
「そこまで読んでいたわけだ。頭が良いな」
牡牛は礼を言うように、すこし頭をうなずかせただけだった。
……なんだかなあ。頭が良いっていうのかそれ。頭が悪いふうにも感じないか。
むしろ俺は牡牛って、肝が据わってんだか、にぶいんだか、よくわからないやつだ
と思うんだ。
カラスは微笑み、俺を見た。
「川田の話だと、ぼくは何事も無く、きみらの家まで辿りつけるはずなんだけどね。
その予定がこうして狂っているということは、きみの家族が未来を読んだのかな」
カラスのほうは、本当に頭が良いんだと思う。
俺はカラスのバイクを指さした。
「あれに乗って引き返す気、ないか?」
「そんなことをしたら、ぼくが川田に殺されてしまう」
「あんたは蠍の大事な人だったわけだから、おれ傷つけたくないんだよ」
「現在の大事な人であるきみが、過去の人であるぼくを心配する必要は無いだろう」
そのへんは完全に誤解なんだが。
カラスはなんか、戦う雰囲気なんかぜんぜん感じられないような、落ち着いた様子
を崩さなかった。
「……ぼくの制限はもう知ってるよね。ぼくは残念ながら、人を大事に思う感情を持
っていない。それを持てたのは、蠍がそばに居た時だけだった。しかしその時の気持
ちも、今のぼくはもう忘れている。にもかかわらずぼくの能力は、人にその気持ちを
強制する。矛盾だな」
たしかに矛盾だ。本人にとっちゃ、面白くも何ともない能力だろう。
そして俺らにとっちゃ、厄介な能力だ。
-[[続き>超能力15_06]]
2008-11-04T23:05:51+09:00
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超能力15_04
https://w.atwiki.jp/seizade801/pages/322.html
カラスはバイクから降り、牡牛を見た。
「きみは初対面だ」
「けれど俺はあなたを知ってる。アルバムも持ってる」
「そう。ありがとう。気に入ってくれてるのかな」
「とても」
カラスはちょっと嬉しそうだった。
「きみの名前は?」
「牡牛。能力は物体取り寄せ。制限は、自分の欲望の量がすくないものについては、
能力が発動しないこと」
正直すぎないか?
カラスも同じことを思ったようだ。意図をさぐるような目つきをしている。
「なにか狙いがあるのかな」
「べつに」
「ぼくの能力は知っているよね、当然」
「ああ。蠍に聞いた」
「……どうも、わからない」
牡牛の足元には、牡牛が暇にまかせて取り寄せた武器が、いろいろ転がっていて、
骨董市の出店みたいになってる。
しかし今、牡牛が手に握っているのは、またどっかの工場から盗んだんだろう棒ア
イスだった。
そして俺はかじりかけのリンゴを持ってて、そのせいで手がベタベタになっている。
カラスは考えていたが、たぶんわからないだろうなと思う。だって俺らだってわか
らないんだから。
カラスはやがて、考えることを諦めたみたいだった。直接、牡牛に聞いている。
「たとえばそこにある武器で、ぼくをいきなり攻撃しようとは思わなかったのかい?」
-[[続き>超能力15_05]]
2008-11-04T23:05:23+09:00
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超能力15_03
https://w.atwiki.jp/seizade801/pages/321.html
牡牛の能力は、能力そのものは戦いに向かない。むしろ自分を守るための力だから
だ。
牡牛も考え込みつつ、「まあいいか」なんて言って、宙に手を差し出した。
その手に、がしゃっと、俺も知ってる装飾銃が握られた。
それを地面に置いて、また手を差し出す。
ひとつかみの金の銃弾を取り寄せた。それを俺に差し出し、込めてくれと言う。
俺が作業してる間に、宙から妖刀を取り出した。いやっ妖刀つーより、クレイジー
ソードと呼ぶのがふさわしいアレだ。
それから考えて、また取り寄せる。綺麗なナイフを一ふり。
次にリンゴをいっこ取り寄せて、ナイフで剥きはじめた。
俺はとりあえず注意した。
「冷蔵庫の中身、勝手に食ったら、蟹に怒られるぞ」
「家のじゃない」
「どこのだ?」
「知らない」
いま日本のどこかの農園で、リンゴの木から、一個のリンゴが無くなってるんだろ
う。
剥いたリンゴをもらって、かじりながら待っていると、まもなくエンジン音が聞こ
えた。
バイクに乗ってやって来たカラスは、俺たちの前で乗り物を停止させると、ヘルメ
ットを脱いで、俺に言った。
「久しぶりだね、牡羊」
さすがに俺が好きだとかいう蠍の催眠は解けてるだろうけど、俺はなんとなく怖く
て、尻ごみするような気持ちを感じてしまった。
いや、もしもカラスが俺みたいな、モノ的な能力の持ち主だったら。それで喧嘩を
仕掛けてくるんだったら。俺はぜんぜん怖くない。
心に働きかけてくる力ってのは、どうも苦手だ。
-[[続き>超能力15_04]]
2008-11-04T23:04:16+09:00
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超能力15_02
https://w.atwiki.jp/seizade801/pages/320.html
仕事をするためには、人数が多いほうが良いのは確実なんだ。
だけど情報収集や、心身の治療に関する能力を持っている連中は、他に仕事がある。
モノ系の能力者である俺は、家ではやることがないから、自由に動ける。
牡牛がうなずいた。
「獅子はそう思ってる。水瓶は反対してる。だから牡羊の判断にまかせることになっ
た」
「残るよ。当然だろ」
天秤はそれでも気に入らないらしく、腕を組んで考えていた。
「……獅子に頭を下げて、射手にも謝って、蟹を安心させて、それからまた僕も引き
返して来よう」
「孔雀まだ殺すなよ?」
「殺さないよ」
手をひらひらと振ったあと、天秤はいっきに駆けていった。
どうも今までは、俺にあわせて、遅く歩いてくれてたみたいだな。
牡牛は道路の彼方を見ている。俺は尋ねた。
「双子の読んだ未来だと、敵の正体ははっきりしてるわけだけど」
「ああ」
「俺はてっきり、蠍が来ると思ってたよ」
「それは無い。千日手になるから」
カラスが来るのだ。相手の本来の意思を無視して、自分に惚れこませちまう能力の
持ち主。
古いバージョンの歴史では、家に乗り込んできたカラスによって、家族の半分くら
いは負けちまう予定だったらしい。
他の家族は、他の能力者に倒される運命だったが、その一部はもう天秤が倒しちまった。
すでに歴史は変わっている。
それにしても、だ。
「なんで牡牛なんだ?」
言うと、牡牛も首をひねっていた。
「わからない。なんで俺なんだ?」
「俺に聞くなよ」
「蠍が家族に、カラスのことを詳しく話してくれたんだ。そしたら俺が戦うことにな
った」
-[[続き>超能力15_03]]
2008-11-04T23:03:44+09:00
1225807424
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超能力15_01
https://w.atwiki.jp/seizade801/pages/319.html
228 :超能力SS15:2008/10/09(木) 21:30:26 ID:fclKttsw0
俺たちは安全のためも兼ねて、なるべく獣道を歩いていた。
だが何回かは、道路を横断しなきゃならなかった。
そしてあるとき、道路に向かって、低い崖みたいになったところから滑り降りたと
ころで、対面の木々のあいだから牡牛が出てくるのを見た。
牡牛は俺らを見て片手をあげると、道路の真ん中まで歩いてきて、それからこう言
った。
「もうすぐ、次の出来事が起こる。双子の先読みでも変更は無かった。だから俺が来
た」
タイムテーブルによると、あとすこしで、家に訪問者が来る予定になってた。
ってことは、その人物は、今くらいの時間に、この道路を通るはずだ。
牡牛は裸の天秤を見ると、「寒くないのか」と言った。
天秤は大丈夫と答えると、俺の聞きたかったことをかわりに聞いてくれた。
「家の様子はどうかな」
「孔雀は獅子がタコ殴りにしたせいで気絶してしまった。話を聞きだす暇も無かった。
だから山羊が読んでる」
「射手は?」
「両手の、肘から先に麻痺が出た。天秤がこしらえた背中の内出血は、たいしたこと
なかった。どちらも魚が治した」
「乙女は」
「不安が出るたびに蠍が押さえてる。でも蠍のほうが限界になってきたから、もう少
ししたら一回、ええと……」
「蠍にリセットがいるわけだね。ほかには?」
「蟹が、天秤と牡羊のことをすごく心配してるから、はやく帰ってやったほうが良い
と思う」
天秤はうなずくと、俺に向かって言った。
「急ごうか」
俺は息切れを整えつつ言った
「先に行けよ。おれ牡牛とここに残るよ」
「大丈夫?」
「疲労はたいしたことねえ。けど牡牛がここにひとりで来たってことは、たぶんむこ
うの連中も、俺が残ることを期待してると思うんだ」
-[[続き>超能力15_02]]
2008-11-04T23:03:13+09:00
1225807393
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超能力14_07
https://w.atwiki.jp/seizade801/pages/318.html
髪をかきむしって考えていると、なぜか天秤は笑った。
そして俺の肩を抱いた。
「僕が悪かったよ。すこし判断を急ぎすぎた。すまない。本音を言うとね、焦ってい
たんだ」
焦る? 天秤が?
天秤はなんか、はにかむみたいな顔をしていた。
「うん。焦ったんだな。牡羊がここに来るなんて予想外だったしね。これ以上、家族
ときみを、危険な目には会わせたくなくて」
「敵を焦らせるための作戦だったんだけど」
「それで僕が焦ってれば世話は無い。本当に悪かった。すこし歩いて頭を冷やそう」
そして天秤は宙を見上げた。
「乙女、視てるかい? 僕らは歩いて帰るよ」
ふたたび差し出した服を、天秤はやっぱり受け取らなかった。「実は裸のほうが歩
きやすいんだ」と言って。
たしかにそうみたいだ。裸の天秤には障害物が無い。樹木を通り抜け、落ちてくる
木の葉を透過させ、ただまっすぐに歩いていくだけでいい。
幽霊か、妖精か、そんなもんにも見える。正直、綺麗だ。
体力には自信があったんだが、ついていくのに苦労した。
汗をかきつつ思った。本当は綺麗な天秤なのにな、って。
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色々編その1です。
-[[色々編その2へ>超能力15_01]]
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2008-11-04T23:01:04+09:00
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超能力14_06
https://w.atwiki.jp/seizade801/pages/317.html
「僕は獅子の過去をすこし知ってる。なぜ獅子がむかし何故、自分がリーダーだった
グループを抜けたのか知ってるかい?」
俺は首を横に振った。本当に知らなかったからだ。
天秤は裸のからだを、俺のほうに向けた。
「裏切り者が出たからだ。メンバーの誰かが獅子を裏切った。そして裏切り者の正体
は不明なままだ。獅子としては誰も疑いたくなかったんだろうね。狙いが自分なのは
明らかだったから、グループを解散するしかなかったんだよ」
「その裏切り者が、孔雀かもしれねえって?」
「あるいは。だから彼を家族に会わせるのは反対だ。仲間を裏切るような人間は、危
険だ」
天秤の言葉が、自嘲に聞こえたのは、俺の気のせいだろうか。
俺は天秤を説得することをあきらめた。そもそも向いてねえ。俺は俺の言葉でしか
語れねえ。
「天秤! 頼むからやめてくれ。この通りだ。天秤が正しいのかもしれねえが、俺は
馬鹿だから判断できねー」
「僕は牡羊が馬鹿だとは思わないけど、自分が正しいとは思っているよ」
駄目だ。俺は射手に怒鳴った。
「家に飛んでくれ射手! 孔雀を連れて!」
射手は素早く納得してくれた。さっと姿を消す。
俺はほっとした。地面に落ちていた服を拾い上げて、天秤に差し出す。
天秤は受け取らず、困った顔をした。
「強引だね、牡羊」
俺はなんか、恨めしい気分になった。
「うまく言えねえけど、孔雀は違うと思うんだ。勘っつーか」
「僕を信じてはくれないんだな」
「信じてる。だから弱ってんだろ」
「……」
「けど天秤が正しいとしても、正しいのと、良いのとは、ちょっと違うと思うんだよ」
「……」
「うまく説明できねえ! あーもう、こういうときって何をどう言えばいいんだ?」
-[[続き>超能力14_07]]
2008-10-02T23:01:48+09:00
1222956108