トップページ > ビジネス > 公認会計士 > 監査法人 > 粉飾発覚後の監査法人に関する過去事例

最終更新日時2020-03-25

近年、公認会計士法の改正があったようなので、過去事例とは違う結果になることも十分考えられる。改正等については別記。

過去の事例をみると、粉飾を知っていれば解散。
知らなければ、賠償金になることが多いものの、賠償すらなしの場合もあった。

■目次
■本文

粉飾に加担していた監査法人は、過去の事例ではどうなったか

カネボウでの粉飾決算(中央青山監査法人: 業務一部停止2ヶ月 ⇒ 解散)

カネボウ(東京都港区)の粉飾決算に加担したとして逮捕された中央青山監査法人(千代田区)の公認会計士・佐藤邦昭容疑者(63)らが、カネボウの経理担当者から、損失を抱えた関連会社を連結決算の対象から外す工作について説明を受け、了承を与えていたことが13日、関係者の話で分かった。
佐藤容疑者らはこの際、不正が発覚しないよう、会計処理の具体的な方法をアドバイスしていた。東京地検特捜部と証券取引等監視委員会もこうした事実を把握しているとみられ、会計士が決算の粉飾で果たした役割の解明を進める。(YOMIURI ONLINE 2005年9月13日)
引用元: カネボウの粉飾は監査法人のご指導でしたか - 聞いた、見た、読んだ。


(海外事例)エンロン事件 (監査法人アーサーアンダーセン : 解散)



2000年度年間売上高1,110億ドル(全米第7位)、2001年の社員数21,000名という、全米でも有数の大企業であった。しかし、巨額の不正経理・不正取引が明るみに出て、2001年12月に破綻に追い込まれた。破綻時の負債総額は諸説あるが少なくとも310億ドル、簿外債務を含めると400億ドルを超えていたのではないかとも言われている[1]。2002年7月のワールドコム破綻まではアメリカ史上最大の企業破綻であった。
引用元: エンロン - Wikipedia

世界5大会計事務所(Big 5)の一つであった。多数の公認会計士や専門職員を抱え、監査・税務・ビジネスコンサルティングを3つの柱とした業務を展開していた。
しかし、エンロン社の粉飾会計が発覚した際に、自社の社内資料の破棄指示を出していたことが発覚。これが犯罪捜査における公務執行妨害として有罪判決を受け、これによって顧客を失い、解散に追い込まれた。
余り知られていないことであるが、エンロンの粉飾会計は当時の会計基準において許されていた関連会社に債務を飛ばすという行為によって行われていたため、会計法に違反していたわけではない。また、公務執行妨害の判決は、上告審で覆されたが、時すでに遅かった。
引用元 アーサー・アンダーセン - Wikipedia







粉飾をしているのを知っていた監査法人は、過去の事例ではどうなったか

ライブドアの粉飾決算(港陽監査法人 : 自主解散)


2006年3月30日 - 証券取引等監視委員会が、ライブドアの粉飾を知りつつ監査報告書を出していたとして、港陽監査法人の代表社員の久野太辰容疑者と元代表社員の小林元容疑者を証券取引法(現 金融商品取引法)違反-有価証券報告書の虚偽記載-の疑いで東京地検に刑事告発。
2006年3月31日 - ライブドアを担当していた公認会計士久野太辰被告と小林元被告の2人が証券取引法違反(有価証券報告書]の虚偽記載)罪で東京地検特捜部に在宅起訴される。

同日、港陽監査法人は久野太辰被告が在宅起訴されたことを受け、代表社員から除名したとのコメントを発表。

2006年6月に自主解散。
引用元: 港陽監査法人 - Wikipedia

フットワークエクスプレス(株)の粉飾(瑞穂監査法人: 業務停止1年⇒解散)


日本公認会計士協会は11月6日、フットワークエクスプレス(株)の監査を行
った瑞穂監査法人に対して、金融庁長官の行う懲戒処分の請求及び会員権の停
止1年の処分を決定した。ただし、すでに10月15日付けで金融庁長官から業務
停止1の懲戒処分が行われている。

今回の処分は、瑞穂監査法人が同社の平成9年12月期から平成11年12月期ま
での事業年度について、関与社員が故意により虚偽のある財務書類を虚偽のな
いものとしてそのまま監査法人の意見として監査証明を行ったことに対するも
の。日本公認会計士協会では、瑞穂監査法人の行為が「相当の注意を怠り、重
大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして監査意見を表明するこ
と」(紀律規則第11条第3号)に該当すると認定している。
引用元: 税務お役立ち情報 UP! Lite <No.165> 税務お役立ち情報 UP! Lite  - メルマ!


粉飾を知らず、見抜けなかった監査法人は、過去の事例ではどうなったか

東北文化学園大の粉飾 2011年和解(センチュリー監査法人(現・新日本有限責任監査法人):解決金 4億円)

財務書類の虚偽を見抜けず、不正支出の責任を問われたセンチュリー監査法人(現・新日本有限責任監査法人)から解決金4億円が市に支払われた
(中略)
学校法人は平成9年、簿外債務約35億円を隠した虚偽の財産目録を作成。担当の公認会計士は直接、金融機関への残高照会を依頼しなかったため虚偽を見抜けず、市から同大に8億1千万円の補助金が交付された
引用元: 仙台市に4億円、監査法人支払い 補助金不正訴訟終結 - MSN産経ニュース 2011.12.17 02:16

高裁で認められた東北文化学園大を担当した会計士の責任(2010年)

①預金残高及び借入金残高の確認に際しては、学園大の不正を出来る限り排除するために、会計士は学園大に任せず自ら残高確認依頼書用紙等を金融機関あて直接投函するなどして学園大を介さずに残高確認依頼書用紙などが金融機関に届くようにする義務があるところ、会計士はそれを怠った過失(会計士は、金融機関への投函を学園大担当者に任せた)。

②会計士が、学園大担当者に対し、残高確認書について必要数に余部を加えた数を交付した過失。(→残高確認書は金融機関が作成するための用紙であり学園大に余部を交付する必要性はない。むしろ学園大による残高確認書の偽造を招く。)

③スクールバスの自動車登録の確認を怠った過失


(中略)


「残高確認書の余部を交付した過失(過失②)については、
被監査人が介在することによる不正を出来る限り防ぐという
残高確認の趣旨に反した単純かつ基本的な過失」

「監査制度の趣旨に照らせば、
会計士に単純かつ基本的な義務違反が認められる本件において、
会計士、監査法人らが負う損害額について
特に軽減しなければならない事情があるとまでは認められない。」

「仮に他の第三者が本件偽装工作に関与しているとしても、
加害者側の事情は加害者間の求償により解決すべき問題であって、
被害者に対する関係で参加人らが責任を負う損害額を
限定すべきであるとまでは言えない。」




足利銀行の粉飾  2007年和解(中央青山: 和解金 2億5000万円 )

経営破綻で一時国有化されている足利銀行(宇都宮市)が、適切な監査を怠って旧経営陣の違法配当を招いたとして、旧中央青山監査法人(現みすず監査法人)などを相手に損害賠償を求めた訴訟は2日、監査法人側が和解金2億5000万円を支払うことで、宇都宮地裁(柴田秀裁判長)で和解が成立した。 
引用元: 足利銀行 200709 破綻原因の旧経営陣、監査役、監査法人と和解/企業考現学/おたくな趣味/群馬ライフ

大証2部上場会社「ナナボシ」の粉飾決算 2001年発覚 2008年判決 (トーマツ : 賠償 1700万円 )

大阪地裁が約1700万円の賠償を命じた。01年に破綻した大証2部上場会社「ナナボシ」の粉飾決算について、不正を見抜けなかった責任を問われたのだ。
(中略)
ナナボシの管財人、辰野久夫弁護士らがトーマツに約10億2000万円の損害賠償を求める訴訟を提起したことにより、会計監査における監査法人の責任の重大さが問われることになったのである。
ナナボシは98年~01年の3月期決算で、下請けのA社と通謀してウソの灌漑工事などをでっち上げ、架空売上を計上した。判決では、01年3月期の株主配当額8500万円をナナボシの損害と認定、トーマツにもそのうち2割の責任があるとして賠償額を算定した。
(中略)
ただ、今回の訴訟は、トーマツがナナボシの粉飾をわかっていて「見逃した」ということではない。あくまで「粉飾を見抜けず、会計を適正とする監査意見を出した責任」を問うものだ。
これについて、大阪地裁は「実施すべき監査手続きを満たしたものとは言えない」と判断した。
引用元: 粉飾上場会社の監査法人に初の賠償命令: 永田町異聞 byクレイジーパパ

本判決は、ナナボシの粉飾決算の手法、被告の会計監査の状況を詳細に認定したうえで、被告がなすべきであった監査を想定し、被告の責任を論じている。その結果、平成13年3月期に追加監査をすべき事態であったのに、これをしなかったことが直接の責任原因とされた
引用元: 会計監査人の被監査会社に対する損害賠償責任— 大手監査法人の責任が認められた事例 北沢義博 No.5-kitazawa.pdf (application/pdf オブジェクト)


山一証券の粉飾決算 2006年判決 (中央青山 : 賠償なし)

判決によると、旧山一証券は、巨額の簿外債務を隠ぺいし、92年3月期から97年3月期までの有価証券報告書に粉飾したうその内容を記載。監査法人20 件は、報告書の財務諸表に対し適正とする意見を出した。
元株主は、虚偽記載で株価が下落、損害を受けたと主張していたが、06年3月の1審大阪地裁判決は「通常実施すべき手続きで監査しており、過失はなかった」として請求を棄却。2審大阪高裁も元株主の控訴を棄却した。
引用元: 山一粉飾、監査法人賠償責任なし 元株主敗訴確定 - 47NEWS(よんななニュース) 2008/09/16





ページフッタ

このページの1階層下のページ

このページに含まれるタグ

このページへのアクセス数

今日: -
昨日: -
これまで合計: -
最終更新:2020年03月25日 14:43