トップページ > ビジネス > 公認会計士 > TPPが会計士(会計サービス業界)に与える影響は?

最終更新日時2012-03-10

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、農業の自由化がとりあげられやすい。
しかし会計士を含めた会計サービスも例外ではない。
国家資格も原則自由化されるため、米国公認会計士などの海外の会計士が日本の会計サービスに算入してくる可能性がある。

■目次
■本文

TPP参加国の担当者の発言

アメリカ

米通商代表部(USTR)日本担当のカトラー代表補 2012年3月1日

米通商代表部(USTR)日本担当のカトラー代表補は1日に都内で講演し、「TPPは他国の専門資格を認めるよう要求するものではない」と述べた。資格の相互認証を迫られ、医師や弁護士など外国人専門家が大量流入するという日本国内の懸念を打ち消す狙いがあるとみられる。

米国通商代表部のウェンディ・カトラー代表補は3月1~2日に東京で開かれた「APCAC2012 米国アジア・ビジネスサミット」の「TPPとアジア太平洋地域における貿易構築の展望」と題されたパネルディスカッションに参加した。
引用元:米国総領事館 大阪・日本

アメリカ以外8カ国

2012年1月~2月

関係省庁担当者を派遣して,ベトナム(1月17日),ブルネイ(同19日),ペルー(同24日),チリ(同25日),シンガポール(2月9日),マレーシア(同10日),オーストラリア(同21日)及びニュージーランド(同23日)とそれぞれTPP交渉参加に向けた協議を行ったところ,その結果は以下のとおり。
〔中略〕
○日本に交渉参加の条件として求めるものについては,いずれの国も,そうしたものはないと述べた。
引用元: 外務省WEBサイト :TPP交渉参加に向けた関係国との協議の結果(米国以外8カ国)(平成24年3月1日)(PDF)


TPPで会計業界に起こる変化の予想記事へのリンク


公認会計士による予想

日本公認会計士協会専務理事 木下俊男 氏(平成23年12月):「日本だけで通用する会計士ではやっていけなくなろう。」

会計士を取り巻く環境は厳しくなっている。例えば、TPPでは農業の問題だけではなく、資格の相互承認が議論されている。 日本だけで通用する会計士ではやっていけなくなろう。国際競争力ある専門性が求められるようになる。
引用元: 日本公認会計士協会WEBサイト内 組織内会計士に関するセミナー∼「組織内会計士の未来」企業で働くということ 0-0-0-2-20111220.pdf (application/pdf オブジェクト)

福留聡氏



その他の会計士の方



税理士による予想


日本の専門資格である公認会計士制度と弁護士制度には、既に外国公認会計士制度と外国弁護士制度が導入されている。従って、今後、税理士についても外国税理士制度の創設を求められる可能性はあります。実は、お隣の韓国では、既にこの様な流れの影響を受けているようです。韓国は、2011年6月に税務士法を改正し、税務士法の中に外国税務諮問士制度を設けています。
引用元: 2012年01月04日のブログ|30代税理士 三瀬 宏太 の今思うこと


政治家による予想

浜田和幸氏(外務大臣政務官)

⑤法律・会計サービスの自由化
TPPに参加する場合には法律サービスを自由化の例外に位置づけることは困難である。
アメリカは政府と業界が一団となって日本の法律サービス市場の開放を求めている。日本の弁護士がアメリカに乗り入れる例は極めて少ないがアメリカの弁護士は日本に乗りこんでくる。
弁護士以上に影響が大きいのが会計サービスである。日本の会計制度は取得原価会計であったが、アメリカの圧力によりアメリカ式の時価会計制度に変更された。

現在IFRS(国際財務報告基準)に従うべきか決断が迫られている。アメリカは2011年中にIFRSに参加するかどうか決定をする。
現状では参加する可能性が高い。
引用元: CPA東郷の使命判断 浜田和幸著「恐るべきTPPの正体」の要約


メディアによる予想

日経ビジネス:「TPPに参加したら公認会計士の世界も大きく塗り替えられる」



経済評論家などによる予想

三橋貴明氏

アメリカの「士業」に携わる人のために、日本が「士業」に関わる法律を変えなければいけないなど、意味不明な作業を日本は強いられることになる。実際、米韓FTAでは「士業の規制緩和」が盛り込まれており、韓国は士業に関する法律改正の手続きを進めている。
引用元: 第125回 TPP(環太平洋経済連携協定)の全貌(3/3) | 三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」 | Klugクルーク - FX投資家向けの為替ニュース・相場コラム・経済指標カレンダー

その他、未分類



TPP協定交渉の分野別状況

内閣官房発表 平成23年10月


10.越境サービス貿易

1.交渉で扱われている内容
国境を越えるサービスの提供(サービス貿易)に対する無差別待遇や数量規制等の貿易制限的な措置に関するルールを定めるとともに,市場アクセスを改善する。
2. 交渉の現状
(1)ルール(サービス貿易の一般的規制を定めるもの)
WTO・GATS(サービス貿易一般協定)に盛り込まれている,無差別原則(内国民待遇,最恵国待遇),数量規制・形態制限の禁止といった義務を設けることや,関連措置の透明性の確保に関する規定が議論されている。また,GATSの内容を超える資格等の承認についても検討はされているが,他国の資格・免許を相互に認め合うこと(相互承認)に関し,医師等の個別の資格・免許については,現時点では議論されていない模様。
(2)市場アクセス
(ア)ネガティブ・リスト方式(リストに掲載したものは適用対象としない方式。一般に,自由化対象のみを記載するポジティブ・リスト方式に比べ,自由化の水準が高い。)を採用する模様。各国が作成したリストについては,3月に第1回目の交換が行われ,現在,その確認作業が行われている。
(イ) 市場アクセスについては,現在各国間でネガティブ・リストの内容を確認する作業が行われていることからも,完全自由化(全ての障壁の撤廃)は目標になっていない模様。
3. 既存の協定の内容 【別添12:「TPP協定交渉参加国間及び我が国の既存の協定-越境サービス貿易」】
(1)TPP協定交渉参加国のFTA
(ア)ルール面では,GATSを基礎にしながら,GATSを超える規定(現地拠点要求禁止,歯止め規定,専門家資格の承認に関する附属書等)を設けている。またP4協定では,相互承認について,締約国の規制当局や関連産業団体間の対話立ち上げを促進する旨規定するとともに,そのような対話の当面の優先分野として,エンジニア,建築士,会計士等を記載し,附属書にて対象を大卒の専門家とする等の詳細を規定。
(イ)市場アクセスの約束方式について,P4協定ではネガティブ・リスト方式を採用している。TPP協定交渉参加国間の他のFTAでは,ネガティブ・リスト方式と,ポジティブ・リスト方式を採用するものの双方がある。なお,GATSはポジティブ・リスト方式を採用している。
(ウ)米韓FTA
急送貨物サービスについて、独占的な郵便事業者(国営の韓国ポスト)が、サービスを提供する際にその地位を濫用してはならない旨の規定を設けている。
(2)日本のEPA
(ア)ルール面では,GATSを基礎にしながら,GATSを超える規定(現地拠点要求禁止,歯止め規定等)を設けている。
(イ)市場アクセスの約束方式については,これまでネガティブ・リスト方式(TPP協定交渉参加国ではチリ,ペルー)とポジティブ・リスト方式(同じく,シンガポール,マレーシア,ブルネイ,ベトナム)の双方を用いている。
4. TPP協定交渉参加を検討する際に我が国として考慮すべき点
(1)我が国が確保したい主なルールの内容
一般に,我が国を含め先進国は,高度な技術や資本を要するサービス貿易の競争力が高く,途上国に対して自由化を求めていく立場にある。TPP協定でネガティブ・リスト方式が採用される場合,これまで我が国がポジティブ・リスト方式によりEPAを締結した国(シンガポール,マレーシア,ブルネイ,ベトナム等)との関係では,自由化される分野が広がる可能性がある。また,規制の現状等が一目で分かるため,企業等にとっては,透明性が一層向上し,法的安定性や予見可能性が高まる。
(2)我が国として慎重な検討を要する可能性がある主な点
(ア) これまで我が国のEPAにおいて自由化を留保してきた措置・分野について変更が求められるような場合に,国内法の改正が必要となったり,あるいは将来的にとりうる国内措置の範囲が制限される可能性がある。
(イ)仮に,個別の資格・免許の相互承認が求められる場合には,これを行うか否かについて,我が国の国家資格制度の趣旨を踏まえ、検討する必要がある。





他国でのTPP(FTA)による変化

韓国:税務士法を改正し、税務士法の中に外国税務諮問士制度の創設

韓国は、2011年6月に税務士法を改正し、税務士法の中に外国税務諮問士制度を設けています。
引用元: 2012年01月04日のブログ|30代税理士 三瀬 宏太 の今思うこと

競合する可能性のある他国の会計士資格

米国:USCPA

TPPの動向次第では日本の会計士資格よりも米国公認会計士(以下USCPA)の取得を目指した方が良い。
なぜなら、米国公認会計士は、日本の公認会計士より難易度が低いと言われているため。
日本が5000時間程度といわれているのに対し、USCPAは3分の1の1500時間程度。
参考: 米国公認会計士(USCPA) 勉強時間 :1500時間・1.5年以上

米国公認会計士の本国での評価は低い?

TPPに参加すると日本の会計士資格も今よりも低い評価になるかもしれません。
私がまだ日本で専門学校に通い、USCPA試験のための勉強をしていた頃、会計士はアメリカでは弁護士、医者とともに地位が高く非常にステイタスのある職業だと聞いていました。あれから5年経ち、ビッグ5のニューヨークで2年の実務をして知ったことは、それはとんでもない間違いだったということです。
正直言いましょう。アメリカでは会計士とは地位の低い職業です。地位の低い職業というのは語弊がありますが、「私は会計士です」と言うと、それは一流ではないことの証明になってしまいます。「一流の人間(つまり「できる人」)だったら会計士なんかやっていないだろ?」というのがアメリカ人の一般的な考え方です。これは何も一部のホワイトカラーだけに限らず、会計士に対するアメリカ人一般的な考え方のようです。つまりそれだけ会計士がどんなことをやっているのかよく知っているということなんですね。
引用元: 爆弾発言「米国公認会計士(USCPA)の地位と仕事」


その他


ページフッタ

このページの1階層上のページ


このページの1階層下のページ

このページに含まれるタグ

このページへのアクセス数

今日: -
昨日: -
これまで合計: -
最終更新:2012年03月10日 22:46