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19 名前: 勢い任せ 投稿日: 02/04/18 02:33 ID:1ueaGDSH シュナ×ピエを書いてみましたが・・・。 「お前の方から来るなんて珍しいな。」 薄い唇に笑みの形を作り男は深夜の訪問者にソファを指し示した。 美しい、としか形容の出来ない二人の男。 迎えた男は薄い緑色の瞳と緩やかに波打つ金糸の髪。 訪れた男は深い青色の瞳と豪奢な黄金の髪。 声をかけられた相手は、その言葉に何の反応も示さず、ただじっと男を見つめている。 凍るような、青い瞳。 自分の後ろめたさを咎められている気がしてエル・シド・ピエールは訪問者から目を反らした。 誤魔化すように長い金糸の髪をかき上げ、キャビネットからワインとグラスを取り出す。 赤い液体をグラスに注ぎ、一つ息をついて努めてさりげなく無表情な訪問者に差し出した。 が、相変わらず何の答えもなく美しい人形のように佇んでいる。 その青い瞳からは何も読み取ることはできない。静かな深い海の色。 差し出したグラスを傍らのテーブルに置き、ピエールはソファへと体を投げ出すように座った。 「今更俺に何の用だ、シュナイダー。」 息苦しい沈黙に耐えきれず吐き出す。 目を見ていたら、きっと引きずり込まれてしまうのだ。 その深海の底に・・・。 いや。分かっているのだ、彼がここへ来た理由など。 あの悪戯が彼を、そして自分をここまで追い詰めている事も。 20 名前: シュナピエ2 投稿日: 02/04/18 02:34 ID:1ueaGDSH ―出来るさ、堕としてやる。― きっかけは自尊心だった。 カール・ハインツ・シュナイダーは出会った当時から『皇帝』と呼ばれていた。 何事にも動じず、他人に冷淡なカール・ハインツ・シュナイダー。 出自も現在の立場も、自分の方が上である筈なのに。 酔った上での下らない賭けに乗った。 いや、違う、賭けは言い訳だ。初めはただ見て欲しかったのだ。 あの冷たく取り澄ました皇帝に。 エル・シド・ピエールの名を刻み付けてやりたかった。 まずは取り留めのない世間話しからだった。 一向に弾まない会話に苦労しながらも初めてシュナイダーが薄く笑った時まるで心臓が踊るように高鳴った。 何かと理由をつけてはドイツへ行き、彼に会いに行った。 そして二年が過ぎ、初めて唇を重ねた。 賭けの事は忘れていた。 初めから、初めてその姿を見た瞬間から、シュナイダーに恋をしていたのだ・・・。 無表情で無感動で、まるで気まぐれな猫のようにふいに姿を消したかと思うと何日もピエールを抱いて離さない。 美獣と呼ばれ、誰からも欲されたピエールが初めて相手に何一つ見返りも求めずに服従した。 愛している、の言葉もなくただ欲しいままに彼を蹂躙する皇帝。 深海の瞳に見つめられ、髪を指で絡め取られただけで自尊心など消し飛んでしまう。 狂ったように彼を求めあられもない声を上げる・・・。 その関係が一年続いたある日、破綻は突然にやってきた。 ピエールの結婚が決まった。 相手は良家の令嬢。否も応もない。家が決めたのだ。 もう、遊んではいられないのだ・・・。そして、ピエールはシュナイダーを切り捨てた。 「もう会えない。」 ただ一言、別れの言葉を手紙で送った。 一ヵ月、シュナイダーからは何の返事もないままに過ぎていった。 そして忙しさの中、ピエールは苦い想い出として彼の事を忘却しようとしていた・・・。 21 名前: シュナピエ3 投稿日: 02/04/18 02:37 ID:1ueaGDSH まさか、シュナイダーが自分に会いに来るとは思っていなかった。 動揺を相手に悟られないようにピエールはゆっくりと両手の指先を合わせて身を乗り出した。 「もう一度聞く。俺に、何の用だ?」 しん、と静まり返った部屋の中で滑稽な程その声は響いた。 丁寧で完璧なドイツ語だったが、声は震えていたかも知れない。 ふいに、美麗な彫像のように立ち尽くしていたシュナイダーが動いた。 決して素早くではなく、ゆっくりと一歩づつピエールの座っているソファへと近づく。 漠然とした危機感に襲われながら尚、ピエールは呼吸さえも出来ない…。 青い瞳に射竦められる。捕らわれた獣のように。 ピエールの目の前に立ったシュナイダーは空気さえ乱さない緩やかな動作で、そっと手を伸ばした。びくん、とピエールの体が小さく震える。 決して華奢ではないが均整の取れたピエールの肩にかかる金糸の髪に、シュナイダーの指先が絡まる。 心臓が、痛い程に鳴っている。 「やめろ…。」 喘ぐように搾り出した声は余裕の仮面を剥ぎ取ってしまった。ただ、この男が怖い。 と、今までの緩慢な動きが嘘のような勢いで、シュナイダーは金糸の絡んだ指で拳を作り、引いた。 「っ!!」 咄嗟に反応できずにピエールは声にならない悲鳴をあげソファから滑り落ちる。 見下ろす皇帝の冷たい青に、今度は反らせずにただ臆病な自分を曝け出してしまう。 22 名前: シュナピエ4 投稿日: 02/04/18 02:39 ID:1ueaGDSH 「どうする気だ…っ!」 「どうする?」 シュナイダーは初めて凍った表情を動かした。しかし、その笑みは極寒の氷土よりも尚冷たい。 髪を離し、その指先をピエールの滑らかな首筋に這わせる。 「…く…。」 久し振りの感触にピエールの唇からは何かを期待する息が弾む。 抵抗など、出来ない。 ただ堅く目を閉じ、皇帝の愛撫を待つ。 首筋に飽いた指先がシャツの胸元から侵入し更に敏感な部分を嬲る。 そして開放された筈の首筋には唇と舌先が降ってくる。 シュナイダーの見た目よりも柔らかな髪が頬を擽っている。 彼の重さを、存在を実感したいから、思わず背に手がまわる。 逃げられない。拒めない。 「ぁ…あっ!」 もう会えない。もう会わないと思っていた。その諦めが更に快感を加速する。 抱きしめた腕を解き、片手はもうシュナイダーのたぎりを確認しようと彼のジーンズのジッパーをもどかしげに弄る。 さっきまで、あんなに冷たかったシュナイダーの唇が、体が、ピエールの熱に引きずられるように燃え上がる。 やっと閉じていた瞳を開けると、少しだけ和らいだ深海の瞳が自分を見つめている。 愛しさが込み上げてきつく抱きしめ、貪るように口付ける。 整った歯並びに舌を割り入れるとすぐに同じ熱さが応え、息が出来ない程に激しく蠢く。 どちらのものとも分からない唾液がピエールの顎から鎖骨へと伝い落ちる。 23 名前: シュナピエ最終 投稿日: 02/04/18 02:40 ID:1ueaGDSH 醜悪で背徳なこのおぞましい性。 理性も、道徳も、自尊心も、全てが消し飛んでしまった。 誰にも知られたくない。誰にも見られたくない。 堕ちたのは皇帝ではなく、自分か…。 ふ、と過ぎる理性さえ、自分の愛撫で怒張するシュナイダーの自身への愛しさで吹き消される。 早く、早く。あの淫らな快楽の中に…。 ただこの皇帝の前に跪き、丁寧にペニスを舐め上げる。 この先にやってくる悦楽を思うと、ピエールの全身は総毛立つ。 自分に奉仕する美しい獣の髪をゆっくりと撫でるシュナイダーの眼には相変わらず、何の感情も現してはいない。 静かな、深い海の底…。 緩やかに波打つ金糸の髪を引き、ピエールの頭を離させると、皇帝は徐に跪く半裸の美獣の背後へとまわった。 ああ、やっと…― 「んっ、はぁ…っ!」 表皮の血液が逆流する程の興奮がピエールを襲う。 打ち込まれる楔にただ、羞恥心を忘れて淫らな声をあげ続けた。 人の動く気配で、ピエールは眼を開いた。 しん、とした早朝の静寂と薄闇の中、扉に向かう男の背。 気だるそうにシャツを羽織り、ソファの中で身を起こす。そのピエールの動きにシュナイダーは足を止めた。 「どうして、来たんだ?」 掠れたピエールの声に皇帝はゆっくりと振り返った。 そして、振り返った彼の顔を見てピエールは眼を見開いた。 いつもの憎らしい程の無表情。だが、その瞳は…。 シュナイダーはゆっくりとドアへと向き直り、扉を抜けた。 「愛してるから。」 ただ、呟くように一言を残して…。
19 名前: 勢い任せ 投稿日: 02/04/18 02:33 ID:1ueaGDSH シュナ×ピエを書いてみましたが・・・。 「お前の方から来るなんて珍しいな。」 薄い唇に笑みの形を作り男は深夜の訪問者にソファを指し示した。 美しい、としか形容の出来ない二人の男。 迎えた男は薄い緑色の瞳と緩やかに波打つ金糸の髪。 訪れた男は深い青色の瞳と豪奢な黄金の髪。 声をかけられた相手は、その言葉に何の反応も示さず、ただじっと男を見つめている。 凍るような、青い瞳。 自分の後ろめたさを咎められている気がしてエル・シド・ピエールは訪問者から目を反らした。 誤魔化すように長い金糸の髪をかき上げ、キャビネットからワインとグラスを取り出す。 赤い液体をグラスに注ぎ、一つ息をついて努めてさりげなく無表情な訪問者に差し出した。 が、相変わらず何の答えもなく美しい人形のように佇んでいる。 その青い瞳からは何も読み取ることはできない。静かな深い海の色。 差し出したグラスを傍らのテーブルに置き、ピエールはソファへと体を投げ出すように座った。 「今更俺に何の用だ、シュナイダー。」 息苦しい沈黙に耐えきれず吐き出す。 目を見ていたら、きっと引きずり込まれてしまうのだ。 その深海の底に・・・。 いや。分かっているのだ、彼がここへ来た理由など。 あの悪戯が彼を、そして自分をここまで追い詰めている事も。 20 名前: シュナピエ2 投稿日: 02/04/18 02:34 ID:1ueaGDSH ―出来るさ、堕としてやる。― きっかけは自尊心だった。 カール・ハインツ・シュナイダーは出会った当時から『皇帝』と呼ばれていた。 何事にも動じず、他人に冷淡なカール・ハインツ・シュナイダー。 出自も現在の立場も、自分の方が上である筈なのに。 酔った上での下らない賭けに乗った。 いや、違う、賭けは言い訳だ。初めはただ見て欲しかったのだ。 あの冷たく取り澄ました皇帝に。 エル・シド・ピエールの名を刻み付けてやりたかった。 まずは取り留めのない世間話しからだった。 一向に弾まない会話に苦労しながらも初めてシュナイダーが薄く笑った時まるで心臓が踊るように高鳴った。 何かと理由をつけてはドイツへ行き、彼に会いに行った。 そして二年が過ぎ、初めて唇を重ねた。 賭けの事は忘れていた。 初めから、初めてその姿を見た瞬間から、シュナイダーに恋をしていたのだ・・・。 無表情で無感動で、まるで気まぐれな猫のようにふいに姿を消したかと思うと何日もピエールを抱いて離さない。 美獣と呼ばれ、誰からも欲されたピエールが初めて相手に何一つ見返りも求めずに服従した。 愛している、の言葉もなくただ欲しいままに彼を蹂躙する皇帝。 深海の瞳に見つめられ、髪を指で絡め取られただけで自尊心など消し飛んでしまう。 狂ったように彼を求めあられもない声を上げる・・・。 その関係が一年続いたある日、破綻は突然にやってきた。 ピエールの結婚が決まった。 相手は良家の令嬢。否も応もない。家が決めたのだ。 もう、遊んではいられないのだ・・・。そして、ピエールはシュナイダーを切り捨てた。 「もう会えない。」 ただ一言、別れの言葉を手紙で送った。 一ヵ月、シュナイダーからは何の返事もないままに過ぎていった。 そして忙しさの中、ピエールは苦い想い出として彼の事を忘却しようとしていた・・・。 21 名前: シュナピエ3 投稿日: 02/04/18 02:37 ID:1ueaGDSH まさか、シュナイダーが自分に会いに来るとは思っていなかった。 動揺を相手に悟られないようにピエールはゆっくりと両手の指先を合わせて身を乗り出した。 「もう一度聞く。俺に、何の用だ?」 しん、と静まり返った部屋の中で滑稽な程その声は響いた。 丁寧で完璧なドイツ語だったが、声は震えていたかも知れない。 ふいに、美麗な彫像のように立ち尽くしていたシュナイダーが動いた。 決して素早くではなく、ゆっくりと一歩づつピエールの座っているソファへと近づく。 漠然とした危機感に襲われながら尚、ピエールは呼吸さえも出来ない…。 青い瞳に射竦められる。捕らわれた獣のように。 ピエールの目の前に立ったシュナイダーは空気さえ乱さない緩やかな動作で、そっと手を伸ばした。びくん、とピエールの体が小さく震える。 決して華奢ではないが均整の取れたピエールの肩にかかる金糸の髪に、シュナイダーの指先が絡まる。 心臓が、痛い程に鳴っている。 「やめろ…。」 喘ぐように搾り出した声は余裕の仮面を剥ぎ取ってしまった。ただ、この男が怖い。 と、今までの緩慢な動きが嘘のような勢いで、シュナイダーは金糸の絡んだ指で拳を作り、引いた。 「っ!!」 咄嗟に反応できずにピエールは声にならない悲鳴をあげソファから滑り落ちる。 見下ろす皇帝の冷たい青に、今度は反らせずにただ臆病な自分を曝け出してしまう。 22 名前: シュナピエ4 投稿日: 02/04/18 02:39 ID:1ueaGDSH 「どうする気だ…っ!」 「どうする?」 シュナイダーは初めて凍った表情を動かした。しかし、その笑みは極寒の氷土よりも尚冷たい。 髪を離し、その指先をピエールの滑らかな首筋に這わせる。 「…く…。」 久し振りの感触にピエールの唇からは何かを期待する息が弾む。 抵抗など、出来ない。 ただ堅く目を閉じ、皇帝の愛撫を待つ。 首筋に飽いた指先がシャツの胸元から侵入し更に敏感な部分を嬲る。 そして開放された筈の首筋には唇と舌先が降ってくる。 シュナイダーの見た目よりも柔らかな髪が頬を擽っている。 彼の重さを、存在を実感したいから、思わず背に手がまわる。 逃げられない。拒めない。 「ぁ…あっ!」 もう会えない。もう会わないと思っていた。その諦めが更に快感を加速する。 抱きしめた腕を解き、片手はもうシュナイダーのたぎりを確認しようと彼のジーンズのジッパーをもどかしげに弄る。 さっきまで、あんなに冷たかったシュナイダーの唇が、体が、ピエールの熱に引きずられるように燃え上がる。 やっと閉じていた瞳を開けると、少しだけ和らいだ深海の瞳が自分を見つめている。 愛しさが込み上げてきつく抱きしめ、貪るように口付ける。 整った歯並びに舌を割り入れるとすぐに同じ熱さが応え、息が出来ない程に激しく蠢く。 どちらのものとも分からない唾液がピエールの顎から鎖骨へと伝い落ちる。 23 名前: シュナピエ最終 投稿日: 02/04/18 02:40 ID:1ueaGDSH 醜悪で背徳なこのおぞましい性。 理性も、道徳も、自尊心も、全てが消し飛んでしまった。 誰にも知られたくない。誰にも見られたくない。 堕ちたのは皇帝ではなく、自分か…。 ふ、と過ぎる理性さえ、自分の愛撫で怒張するシュナイダーの自身への愛しさで吹き消される。 早く、早く。あの淫らな快楽の中に…。 ただこの皇帝の前に跪き、丁寧にペニスを舐め上げる。 この先にやってくる悦楽を思うと、ピエールの全身は総毛立つ。 自分に奉仕する美しい獣の髪をゆっくりと撫でるシュナイダーの眼には相変わらず、何の感情も現してはいない。 静かな、深い海の底…。 緩やかに波打つ金糸の髪を引き、ピエールの頭を離させると、皇帝は徐に跪く半裸の美獣の背後へとまわった。 ああ、やっと…― 「んっ、はぁ…っ!」 表皮の血液が逆流する程の興奮がピエールを襲う。 打ち込まれる楔にただ、羞恥心を忘れて淫らな声をあげ続けた。 人の動く気配で、ピエールは眼を開いた。 しん、とした早朝の静寂と薄闇の中、扉に向かう男の背。 気だるそうにシャツを羽織り、ソファの中で身を起こす。そのピエールの動きにシュナイダーは足を止めた。 「どうして、来たんだ?」 掠れたピエールの声に皇帝はゆっくりと振り返った。 そして、振り返った彼の顔を見てピエールは眼を見開いた。 いつもの憎らしい程の無表情。だが、その瞳は…。 シュナイダーはゆっくりとドアへと向き直り、扉を抜けた。 「愛してるから。」 ただ、呟くように一言を残して…。

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