652 名前: 肖もたまにはサボりたい 投稿日: 02/03/25 20:06 ID:dQgh4T6E
フィールドでは、まだ、男達が熱い戦いを繰り広げている。
--あたしは見守るしかない。
傷ついた、顔面ブロックファンキーガッツマン石崎の枕元で、
ゆかりは組んだ手をぎゅっと握りしめた。
--こいつまで、怪我しちゃうなんて。
こみあげてくる涙を石崎に見せたくなくて、ゆかりはそっと部屋を出た。
と、ちょうど歩いてきた男にぶつかって、ゆかりは廊下に倒れた。
「これは失礼・・・ここに怪我人がいるか?」
漆黒の長い髪をきりりと束ねた、美丈夫がそこに立っていた。
アジアのどこか、異国の者らしいが、歳は自分達とそう変わらないのでは?とゆかりは思った。
「怪我人の匂いがしたのだが」
「あんた医者!?そうは見えないけど・・・石崎を助けて!」
「石崎?」
男は眉を顰めた。
「あいつの石頭も今度ばかりはダメみたい。なんとかしてよ!」
男は深く考え込み・・・やがて静かに言った。
「俺では石崎を救えない」
「なんでよ!」
「彼に必要なのは、愛だ。包み込み、全てを受け入れる愛」
「・・・愛?」
「そうだ。君のな」
--あたしの、愛?
呆気にとられるゆかりの前を、男はゆっくりと通り過ぎていく。
部屋に戻ったゆかりは、石崎の不器用な恋心に、応える事になる。
それが・・・名も知らぬ男のアドバイスによるものかどうか?
実のところ、ゆかり本人にもよくわかっていない。
最終更新:2009年05月02日 10:40