830 名前: 肖×ピエール 1 投稿日: 02/04/09 22:12 ID:cE/ncOZh
最初にお詫びしておきます。あまりにアニメのピエール様がいじりがいある方
だったので、つい絡ませてしまいました。
本来、この二人に接点はありませんし、今後もないでしょう。
妄想on妄想です。申し訳ありません。
かっぽかっぽかっぽ・・・
フランスの美獣、エル・シド・ピエールは、スタジアムまでの道程を
愛馬を駆って進んでいた。
駆っているわりにのんびりとした歩みだったが、それは彼の美学だ。
「わーらーにぃまみれてよぉー、育てたくーりいげええええ」
「何者だ!」
間延びした歌声に気分を害したピエールは気色ばんだ。
傍らには、自分同様に馬を操る東洋人の少年がいた。
癖のない黒髪を風になびかせ、飄々とした少年は自己紹介を始めた。
「俺の名前は肖俊光。中国から出稼ぎに来た。これはそこいらにいた馬」
鞍をつけていない葦毛の裸馬は、げんなりした表情を見せている。
「そこいらにって・・・窃盗じゃないか。馬盗人め」
「お前はフランスの誇る恋泥棒だそうじゃないか」
『誇る』『恋泥棒』というフレーズがピエールの自意識をくすぐる。
「同じ馬好きのよしみでサッカースタジアムまで案内してくれ」
「断る」
「勝手についていくぞ。しかしバス移動がそんなにイヤか?車酔いがきついか」
図星をつかれ、ピエールは狼狽した。
831 名前: 肖×ピエール 2 投稿日: 02/04/09 22:13 ID:cE/ncOZh
馬に水を飲ませるために、ピエールは公園で休憩をとった。肖も一緒である。
「車酔いを抑える妙薬をやろう」
「いらん!そんな得体の知れない薬なんて」
「信用がおけないか。では馬に飲ませてみよう」
そこいらの馬・・・の口に、怪しげな小瓶を押しつけ、肖は胸を張った。
「疲れもとれる。試合前に飲んでおけばスタミナ切れ知らずだぞ」
そこいらの馬は一声高く嘶き、ピエールの愛馬に跨り、腰を使い始めた。
「な、なにをするんだ俺の馬に!離れろ、この駄馬め」
「いいじゃないか。馬同士の自由恋愛だ」
「俺の馬はオスだ!嫌がってるじゃないか。レイプだ!」
ピエールの愛馬は必死の抵抗を見せるが、勢いづいたそこいらの馬の
力にはかなわず、悲しげに頭を垂れた。
が、やがてたてがみを乱して、荒い鼻息を漏らし始めた。
「もう嫌がってはいないぞ。さすが恋愛の国、フランスの馬だ」
「ぶ、無礼な・・・許さん!」
ピエールは顔面蒼白になり、ぶるぶると拳を奮わせて肖に飛びかかった。
「おっと」
肖はピエールの渾身の蹴りをひょい、と避け、馬たちに歩み寄った。
「貴様・・・」
芝生に尻餅をついたまま、ピエールは怒りを籠めて肖を睨み付けた。
832 名前: 肖×ピエール 3 投稿日: 02/04/09 22:14 ID:cE/ncOZh
事を終えた後も馬たちは寄り添ったまま、首筋を擦りつけ合っている。
「仲良き事は美しきかな。では俺達もしよう」
「なぜそうなる!お前は頭がいかれているんだ、この華僑め」
「俺は華僑ではない!故郷、中国を捨てる気はないのだ」
肖の手首がくるりと返り、手元でなにやら煌めいた。
ピエールは自分の手足に突きたった物を見て、愕然とする。
「針・・・!」
「興奮を抑えるツボを突いた。情熱的すぎるぞ、ピエール」
「情熱ってお前・・・あっ、ああー!」
人目につかない藪に引きずり込まれ、ピエールはもがいた。
「さすがフランス人。声がでかい」
「お前、今自分が誰相手に何しようとしてるかわかってるのかっ」
「フランスが誇るフィールドの芸術家であり美獣、エル・シド・ピエールに
異文化交流を申し込むところだ」
「そんな交流したくないっ。離せえええええ!」
ピエールは優雅なウェーブを描く髪を芝生に乱しながら、身悶えた。
が、首筋にキス、乳首に左手、肉茎と秘部に右手の愛撫を駆使され、
つい甘やかな声を漏らしてしまう。
「はぅっ・・・んっ・・・離せ」
「ここで離したら、結構苦しいぞ?」
「くっ・・・貴様・・・っ、ううっ」
着衣の上からの愛撫に焦れた肉体は、ピエールの意図と裏腹にうねり出す。
833 名前: 肖×ピエール 4 投稿日: 02/04/09 22:15 ID:cE/ncOZh
下肢を剥かれ、シャツをめくり上げられたしどけない姿で、ピエールは観念した。
「好きに、するがいい」
「うむ。さすが愛の化身・・・感度は抜群だな」
言葉で嬲られるのに慣れていないピエールは、ぎゅっと目を閉じて頭を打ち振った。
ひくつく窄まりに指を差し入れられた時、その異物感に焦る。
「ちょ、ちょっと待て・・・待て、あっ・・・うぅ」
肖の指は臆する事なく、ピエールの内部を穿っていく。
--こいつ、何者なんだ?
意識の外側から痺れていくような快感を貪りながら、ピエールはいつしか
自分から迎え入れるように両脚を広げていた。
肉の楔が打ち込まれた時、ピエールはプライドも矜持もかなぐり捨てて、
肖の背中を抱きしめた。
「そう腰を使いすぎるな・・・試合に障るぞ」
「今が・・・よければ・・・いい」
相手が何者であるかなど、もはやどうでもよかった。
この瞬間慈しみ合い、快楽を共有している相手と弾けたい。
美獣は切ない叫び声をあげて、肖の腕の中で果てた。
「情熱を抑えるツボ・・・効かなかったみたいだな」
肖はがっくりと肩を落としつつ、静かに放った。
834 名前: 肖×ピエール 5 投稿日: 02/04/09 22:16 ID:cE/ncOZh
スタジアムに着いたのはほぼ定刻であった。
妙に爽やかな馬面をした愛馬を繋ぎ、ピエールは夢心地のまま戦場へ向かう。
肖は気を遣ったのか、いつのまにか姿を消していた。
フィールドに降り立ったピエールに、女性ファンが薔薇を捧げる。
その香りを楽しんだ後、ピエールは意識を戦士のそれへ切り替える。
相手が誰であっても、容赦なく、美しく戦うために。
「肖・・・見ているがいい。俺の闘いの様式美を」
ホイッスルが鳴った。
ピエールの華麗な芸術の序曲を飾るにふさわしい、済んだ音だった。
「いかん。またエッフェル塔の前に出てしまった」
パリ市内をぐるぐる回り、肖は完全にへばっていた。
「お前は・・・元気だな」
そこいらの馬、は、目を血走らせて疾走し続ける。パトカーも追いつけない。
「俺の医学もまだまだだ。暴れ馬を拵えて、治せないとは」
裸馬に振り落とされないようにしがみつく肖に、鍼だの指圧だの繰り出す余裕はない。
勿論、スタジアムで死闘を繰り広げるピエールの事など完全に忘れ去っていた。
まだ、中国青年蹴球団に入団するまでは遠い、十五歳の日の事であった。
最終更新:2009年05月02日 10:50