512 名前: 風と木の名無しさん 投稿日: 02/07/03 00:36 ID:uLTyJHme
「…終わったな、シュナイダー」
「ああ…。またこれでしばらく敵同士だな、カルツ」
幼なじみ―何と残酷な関係なんだろうとカルツは思った。
兄弟のように育ってきた二人は、決して重なり合うことはなく、
それぞれ別の道を歩んで行くしかないのか。
もし、ここで自分の思いを打ち明けたら…何かが変わる……?
カルツは思い切って口を開いた。
「シュナイダー…。話しがある」
「なんだ、カルツ?」
「お前さんのことが好きだった。Jr時代から、ずっとな」
「カルツ…!」
シュナイダーの目が見開かれ、信じられないといったような顔をしている。
もう、ただの幼なじみには戻れない。
残酷でもあったが、居心地の良かった幼なじみという安住の場所を、カルツは手放した。
「それだけだ。…元気でな」
クルリと背を向け、真新しい楊枝をくわえて歩き出す。
若林の待つハンブルグへ一時も早く戻りたかった。
(源さんには「馬鹿なことをした」って言われるだろうなぁ)
大会が終わった解放感からなのか、それとも告白した達成感からなのか、
カルツは清々しい笑顔を浮かべていた。
最終更新:2009年05月02日 10:45