「#62」(2010/04/14 (水) 14:52:36) の最新版変更点
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*#62 正義の女神現る!
「なんか面倒になる前にオレは帰るぜ?」
松岡はそう言って空き家のドアを開けた。
面倒って…。
「はいはい。詩織に愛してるって言ってやんのよ?」
「うっせー」
松岡は悪態をついて扉の向こうに消えた。
「…なんだ女か」
席についたガクランは名前と顔が一致したようで、そう言った。
女、女、女って煉さんの「小娘」よりカチンと来るんですけど。
「あのねえ、あたしは本田京子。あんたは?」
あたしはムッとした口調でそう言って、カットのためにデッキを差し出す。
「的場剣治だ。京子…ちゃんはいくつだ?」
剣治…くんはそう言ってデッキを差し出す。「女」に変わって今度は「ちゃん」付け。急すぎるでしょうが。
年下に見られてるわけ?
「17で高2終わったとこよ。てか”ちゃん”はやめてよ」
…なんか照れるから。
って理由じゃなくて、単純にナメられてる気しかしないわ。
「ふむ。同級だし、そうだな…本田京子」
「はいはい。なんだかよくわかんないけど、先攻後攻ジャンケン」
あたしは噛み合わなさを感じつつも右手を出した。
勝ったのは剣治。マリガンチェックはお互いOK。
さて、どんなデッキが来るのかしら?
「あ。京子ー」
「何よ?」
剣治の最初の一手より早く、武志があたしに声をかけた。
見ると、どうやら対戦前にデッキのカードを何枚か入れ替えようとしている。
「あんた対戦前に何やってんの?対戦相手に失礼じゃん」
あたしは金ジャケをチラ見して武志に言った。
「いえいえいえ、私はかまわないですよォ」
金ジャケは半笑いでそう答えた。
武志は急いでカードを入れ替え、あたしに残った1枚のスリーブをヒラヒラと見せた。
「…何?」
「ダブルオー貸してくれよ?」
「まぁ…貸すならいいわ」
あたしはテーブルの反対側、さっきいた場所にあるあたしのカードの束を指差した。
貸すくらいならいいけど。…返してもらうの忘れそうな気もする。
「サンキュ!」
「曲げたりしないでよ?」
「わかってるって」
武志は、青色のスリーブに入れたダブルオーをデッキに加えながら、金ジャケに向き直った。
さて…
「こっちも始めましょ?」
「そうしよう。配備フェイズまで飛んで黒基本Gを配備。ターン終了だ」
剣治は黒Gをスッと出してターンを終えた。
単色の可能性も十分あるけど、赤黒とか緑黒ってことも考えられる。
まずは様子ね。
「あたしのターン。配備フェイズ、白基本Gを配備。ターン終了よ」
あたしは使い慣れた白Gを出した。
「白…か。ユニット戦が得意な色」
「そうね♪わかりやすくて好きよ、この色」
ユニットで本国を押し切る…単純明瞭で最もストレートな方法よ。
「黒基本Gをプレイ。ターン終了だ」
「じゃあ、あたしもOZを出してターン終了」
お互いにGが2枚並んだだけ。
相手も単色低速?
「ドロー。配備フェイズ、茶基本Gを配備。”正義の女神”ガンダムアストレアを配備ッ!」
剣治は茶の基本Gを並べ、黒と紫のデュアルカードを出した。
確か、基本Gが並ぶたびにデュアルカードにコインが乗るやつ。
「何もなければターン終了だ」
「えぇ、ターンもらうわ」
あたしはドローする。
部品ドロボウがデッキにあるからといって、みすみす基本Gを並べてやることもない。
「…でもこういうときに限って基本Gしかないのよね~」
あたしは白基本Gを1枚加え、プラント最高評議会を出す。
次のターンからは入れ替えで見れるカードの枚数が爆発的に多くなる。基本Gはもう並べないわ!
「OK。じゃあアストレアのテキストで、こっちのデュアルユニット1枚の上に+1コインを乗せてくれ。…まあアストレアってことになるな」
「了解よ」
剣治は少し回りくどい言い方でそう言った。
他のデュアルユニットがあるんだろうか?テキストから考えると、4国力のデュアルユニットがあっても不思議じゃない。
「ターン終了」
剣治はアストレアを起してターンを開始した。
「配備フェイズ、黒基本を配備」
「はいはい、アストレアにコインね」
あたしはそっけなくアストレアを指定する。
すでに4国PS装甲ユニットサイズになったアストレア。真面目な話、部品ドロボウが来ないと将来的にパワー負けもありえるわね…あっちは普通に考えて基本Gを並べるでしょうし。
「攻撃ステップ規定の効果、アストレアを宇宙に出撃させる」
剣治はグッと右側にアストレアのカードを移動させつつ言った。
「こっちは何もナシよ。5点受けるわ」
「次のターン…白ができることと言ったら守り専門のノワールやランチャーを配備する程度。ここは攻めだ」
その通りだけど…こうやって自信満々に言われるとアレよね。
「さあね。あたしのターン!」
あたしはプラント最高評議会を使い、手札を切り替えた後ドローする。
大方予想通りにしか動かせないわね…。
「配備フェイズ、ヴァリアブル宣言」
あたしは舌を出しながら、手札のロゴスの私兵を逆向きで場に置く。
剣治は「フッ」と鼻を鳴らした。赤黒とか緑とかの特殊Gを割れるデッキを相手にしたときは、割られそうで心配なヴァリアブルだけど…今回はある意味大活躍ね。
「中東国の支援を使うわ」
「あぁ。見たカード…当然資源もコントロール済みか」
「そんなとこ。カードを2枚手札に加えて、ランチャーストライクガンダム《20》」
守り専門とか言われちゃってるけど…あと数ターンしたら攻めユニットに変わるんだから。
あたしは場を見渡しターン終了を宣言した。
「ドローして配備フェイズだ。情報の把握を使う」
新弾の黒のドローカードだ。あたしに情報を把握させてくれるカードね♪
さぁて選びますか。
「黒基本Gと茶基本Gを表にする。さぁ選べ」
意地悪い笑みを浮かべて選ぼうとしてたあたしの前に出された2枚のカード。両方基本Gだし。
あたしの反応を見て、逆に剣治は意地悪く笑った。
むぅ。
「茶基本Gを廃棄で。もしかしてGしか来てないんじゃないの?」
「…そんなことはない」
「一瞬止まったわね?あらら~♪図星?」
2ドローした剣治はさらに止まる。
ラッキー?いくらアストレアを大きくしようが、1機は1機よ。
「…黒基本Gを配備」
「アストレアにコイン」
剣治は少し考えてからまたアストレアを出撃させた。
今度は6点。
「これも受けるわ」
「ターン終了だ」
あたしは本国を1枚ずつ捨て山に送る。
だいぶダメージを受けた。ハイマットが来たとしてもぎりぎりかな。
「あたしのターンね。最高評議会を起動、ドローするわ」
あたしは手札を入れ替える。
…来ない。
「配備フェイズ、特殊G・歌姫の騎士団を配備。そして…」
「…フリーダムか?」
「そう、フリーダムガンダム」
身構えた剣治をよそに、あたしは少し声のトーンを落として言った。
フリーダムはフリーダムでも、ハイマットではなくエクステンションブースター2の普通のフリーダム。
「フッ…危なかったぜ。そいつなら何とかなる」
「そう?このユニットは6以下の格闘値のユニットなら問答無用で切れるのよ?」
「ならばこっちは基本Gを貼るだけだぜ」
剣治は落ち着いていった。
まあそうなるわね。でもランチャーストライクがあるからしばらくは相打ち状態で膠着。あとは切り札クラスが来れば…。
「俺のターンを始めるぜ!ドロー…よし」
ドローするなり、剣治は声を上げた。
ユニットが来た…?
「ガンダムアブルホールをプレイ」
「アブ…なんですって?」
そういやそんなユニットいたっけね。
確か高機動と部隊を守るテキスト持ちの。
「捨て山が2枚…宝物没収をプレイ。捨て山から2ドローだ」
「了解よ」
アブルホールは少し厄介ね。
ランチャーストライクで打ち落とせないし、フリーダムはアストレアとにらみ合い…何か欲しいところね。
「黒基本Gをプレイ。さぁどちらにする?」
剣治はそう言って自分のユニットを指す。
今引いたのか、それともあたしのミスを誘ってるのか…アブルホールに乗せるわけないわよ。
「アストレアで」
「フッ…だよな。アブルホールは対処できないからな」
「そう…でもないわよ?」
あたしはグッと手札を握る。
アブルホールは配備エリアにいるときに焼くか、交戦で圧倒するのが撃破の条件。
幸いあたしのデッキでそれは案外容易そう。膠着したら1枚1枚のユニットパワーで確実に場を巻き返してやるわ!
「白は大型ユニットでの制圧が得意…ならば見せてやろう。攻撃ステップ規定前!」
「…?」
「異なる時を刻む物語!4以上の合計国力を持つユニットを持ち主の手札に戻す!」
剣治のユニットは全部3国…対してあたしのユニットは4国と5国!…しまった。
「…わかったわ」
「ユニットは大きければいいというもんじゃないぜ」
剣治はエラそうに言った。
じゃあそのコインいっぱい乗ったアストレアはなんだっての。
剣治はさらに手札のカードと睨めっこ。まだ何かあるわけ?
「さらに、X=6で報道された戦争!巻き返す暇は与えはしない。手札リセットだ」
「な…」
ユニット2枚が戻り、枚数が6枚にもなった手札を確認してたあたしは固まる。
「フッ…まぁこんなものか」
<一方、武志は…>
「相変わらずチマチマ展開しかできないのかねェ、剣治君はァ」
「うちの京子もいつも通り大雑把で」
俺は京子を横目で見ながら言った。
”うちの”とか言える立場じゃないけどよ。
「そう言えば自己紹介がまだだったねェ。私は金田持継。名前の通り金持ちさァ」
「藤野武志です」
メガネのフレームを上げつつ言う金田さんに、俺は適当に相槌をうちつつ名乗った。
名前の通りってスゲーな。カードとかもたくさん持ってんのかな?
「そうか、武志君。金持ちキャラって性格アレな奴が多いけど…ホラ、見ての通り僕は”マトモ”だから安心してくれ」
「…」
マトモ…ねえ。
まあいっか。さ、対戦しようぜ!
「じゃあ先攻後攻はジャンケンで!」
「そうだねェ」
俺は左手を出した。
つづく
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txt:Y256
初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:
更新日:10.04.14
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*#62 正義の女神現る!
「なんか面倒になる前にオレは帰るぜ?」
松岡はそう言って空き家のドアを開けた。
面倒って…。
「はいはい。詩織に愛してるって言ってやんのよ?」
「うっせー」
松岡は悪態をついて扉の向こうに消えた。
「…なんだ女か」
席についたガクランは名前と顔が一致したようで、そう言った。
女、女、女って煉さんの「小娘」よりカチンと来るんですけど。
「あのねえ、あたしは本田京子。あんたは?」
あたしはムッとした口調でそう言って、カットのためにデッキを差し出す。
「的場剣治だ。京子…ちゃんはいくつだ?」
剣治…くんはそう言ってデッキを差し出す。「女」に変わって今度は「ちゃん」付け。急すぎるでしょうが。
年下に見られてるわけ?
「17で高2終わったとこよ。てか”ちゃん”はやめてよ」
…なんか照れるから。
って理由じゃなくて、単純にナメられてる気しかしないわ。
「ふむ。同級だし、そうだな…本田京子」
「はいはい。なんだかよくわかんないけど、先攻後攻ジャンケン」
あたしは噛み合わなさを感じつつも右手を出した。
勝ったのは剣治。マリガンチェックはお互いOK。
さて、どんなデッキが来るのかしら?
「あ。京子ー」
「何よ?」
剣治の最初の一手より早く、武志があたしに声をかけた。
見ると、どうやら対戦前にデッキのカードを何枚か入れ替えようとしている。
「あんた対戦前に何やってんの?対戦相手に失礼じゃん」
あたしは金ジャケをチラ見して武志に言った。
「いえいえいえ、私はかまわないですよォ」
金ジャケは半笑いでそう答えた。
武志は急いでカードを入れ替え、あたしに残った1枚のスリーブをヒラヒラと見せた。
「…何?」
「ダブルオー貸してくれよ?」
「まぁ…貸すならいいわ」
あたしはテーブルの反対側、さっきいた場所にあるあたしのカードの束を指差した。
貸すくらいならいいけど。…返してもらうの忘れそうな気もする。
「サンキュ!」
「曲げたりしないでよ?」
「わかってるって」
武志は、青色のスリーブに入れたダブルオーをデッキに加えながら、金ジャケに向き直った。
さて…
「こっちも始めましょ?」
「そうしよう。配備フェイズまで飛んで黒基本Gを配備。ターン終了だ」
剣治は黒Gをスッと出してターンを終えた。
単色の可能性も十分あるけど、赤黒とか緑黒ってことも考えられる。
まずは様子ね。
「あたしのターン。配備フェイズ、白基本Gを配備。ターン終了よ」
あたしは使い慣れた白Gを出した。
「白…か。ユニット戦が得意な色」
「そうね♪わかりやすくて好きよ、この色」
ユニットで本国を押し切る…単純明瞭で最もストレートな方法よ。
「黒基本Gをプレイ。ターン終了だ」
「じゃあ、あたしもOZを出してターン終了」
お互いにGが2枚並んだだけ。
相手も単色低速?
「ドロー。配備フェイズ、茶基本Gを配備。”正義の女神”ガンダムアストレアを配備ッ!」
剣治は茶の基本Gを並べ、黒と紫のデュアルカードを出した。
確か、基本Gが並ぶたびにデュアルカードにコインが乗るやつ。
「何もなければターン終了だ」
「えぇ、ターンもらうわ」
あたしはドローする。
部品ドロボウがデッキにあるからといって、みすみす基本Gを並べてやることもない。
「…でもこういうときに限って基本Gしかないのよね~」
あたしは白基本Gを1枚加え、プラント最高評議会を出す。
次のターンからは入れ替えで見れるカードの枚数が爆発的に多くなる。基本Gはもう並べないわ!
「OK。じゃあアストレアのテキストで、こっちのデュアルユニット1枚の上に+1コインを乗せてくれ。…まあアストレアってことになるな」
「了解よ」
剣治は少し回りくどい言い方でそう言った。
他のデュアルユニットがあるんだろうか?テキストから考えると、4国力のデュアルユニットがあっても不思議じゃない。
「ターン終了」
剣治はアストレアを起してターンを開始した。
「配備フェイズ、黒基本を配備」
「はいはい、アストレアにコインね」
あたしはそっけなくアストレアを指定する。
すでに4国PS装甲ユニットサイズになったアストレア。真面目な話、部品ドロボウが来ないと将来的にパワー負けもありえるわね…あっちは普通に考えて基本Gを並べるでしょうし。
「攻撃ステップ規定の効果、アストレアを宇宙に出撃させる」
剣治はグッと右側にアストレアのカードを移動させつつ言った。
「こっちは何もナシよ。5点受けるわ」
「次のターン…白ができることと言ったら守り専門のノワールやランチャーを配備する程度。ここは攻めだ」
その通りだけど…こうやって自信満々に言われるとアレよね。
「さあね。あたしのターン!」
あたしはプラント最高評議会を使い、手札を切り替えた後ドローする。
大方予想通りにしか動かせないわね…。
「配備フェイズ、ヴァリアブル宣言」
あたしは舌を出しながら、手札のロゴスの私兵を逆向きで場に置く。
剣治は「フッ」と鼻を鳴らした。赤黒とか緑とかの特殊Gを割れるデッキを相手にしたときは、割られそうで心配なヴァリアブルだけど…今回はある意味大活躍ね。
「中東国の支援を使うわ」
「あぁ。見たカード…当然資源もコントロール済みか」
「そんなとこ。カードを2枚手札に加えて、ランチャーストライクガンダム《20》」
守り専門とか言われちゃってるけど…あと数ターンしたら攻めユニットに変わるんだから。
あたしは場を見渡しターン終了を宣言した。
「ドローして配備フェイズだ。情報の把握を使う」
新弾の黒のドローカードだ。あたしに情報を把握させてくれるカードね♪
さぁて選びますか。
「黒基本Gと茶基本Gを表にする。さぁ選べ」
意地悪い笑みを浮かべて選ぼうとしてたあたしの前に出された2枚のカード。両方基本Gだし。
あたしの反応を見て、逆に剣治は意地悪く笑った。
むぅ。
「茶基本Gを廃棄で。もしかしてGしか来てないんじゃないの?」
「…そんなことはない」
「一瞬止まったわね?あらら~♪図星?」
2ドローした剣治はさらに止まる。
ラッキー?いくらアストレアを大きくしようが、1機は1機よ。
「…黒基本Gを配備」
「アストレアにコイン」
剣治は少し考えてからまたアストレアを出撃させた。
今度は6点。
「これも受けるわ」
「ターン終了だ」
あたしは本国を1枚ずつ捨て山に送る。
だいぶダメージを受けた。ハイマットが来たとしてもぎりぎりかな。
「あたしのターンね。最高評議会を起動、ドローするわ」
あたしは手札を入れ替える。
…来ない。
「配備フェイズ、特殊G・歌姫の騎士団を配備。そして…」
「…フリーダムか?」
「そう、フリーダムガンダム」
身構えた剣治をよそに、あたしは少し声のトーンを落として言った。
フリーダムはフリーダムでも、ハイマットではなくエクステンションブースター2の普通のフリーダム。
「フッ…危なかったぜ。そいつなら何とかなる」
「そう?このユニットは6以下の格闘値のユニットなら問答無用で切れるのよ?」
「ならばこっちは基本Gを貼るだけだぜ」
剣治は落ち着いていった。
まあそうなるわね。でもランチャーストライクがあるからしばらくは相打ち状態で膠着。あとは切り札クラスが来れば…。
「俺のターンを始めるぜ!ドロー…よし」
ドローするなり、剣治は声を上げた。
ユニットが来た…?
「ガンダムアブルホールをプレイ」
「アブ…なんですって?」
そういやそんなユニットいたっけね。
確か高機動と部隊を守るテキスト持ちの。
「捨て山が2枚…宝物没収をプレイ。捨て山から2ドローだ」
「了解よ」
アブルホールは少し厄介ね。
ランチャーストライクで打ち落とせないし、フリーダムはアストレアとにらみ合い…何か欲しいところね。
「黒基本Gをプレイ。さぁどちらにする?」
剣治はそう言って自分のユニットを指す。
今引いたのか、それともあたしのミスを誘ってるのか…アブルホールに乗せるわけないわよ。
「アストレアで」
「フッ…だよな。アブルホールは対処できないからな」
「そう…でもないわよ?」
あたしはグッと手札を握る。
アブルホールは配備エリアにいるときに焼くか、交戦で圧倒するのが撃破の条件。
幸いあたしのデッキでそれは案外容易そう。膠着したら1枚1枚のユニットパワーで確実に場を巻き返してやるわ!
「白は大型ユニットでの制圧が得意…ならば見せてやろう。攻撃ステップ規定前!」
「…?」
「異なる時を刻む物語!4以上の合計国力を持つユニットを持ち主の手札に戻す!」
剣治のユニットは全部3国…対してあたしのユニットは4国と5国!…しまった。
「…わかったわ」
「ユニットは大きければいいというもんじゃないぜ」
剣治はエラそうに言った。
じゃあそのコインいっぱい乗ったアストレアはなんだっての。
剣治はさらに手札のカードと睨めっこ。まだ何かあるわけ?
「さらに、X=6で報道された戦争!巻き返す暇は与えはしない。手札リセットだ」
「な…」
ユニット2枚が戻り、枚数が6枚にもなった手札を確認してたあたしは固まる。
「フッ…まぁこんなものか」
<一方、武志は…>
「相変わらずチマチマ展開しかできないのかねェ、剣治君はァ」
「うちの京子もいつも通り大雑把で」
俺は京子を横目で見ながら言った。
”うちの”とか言える立場じゃないけどよ。
「そう言えば自己紹介がまだだったねェ。私は金田持継。名前の通り金持ちさァ」
「藤野武志です」
メガネのフレームを上げつつ言う金田さんに、俺は適当に相槌をうちつつ名乗った。
名前の通りってスゲーな。カードとかもたくさん持ってんのかな?
「そうか、武志君。金持ちキャラって性格アレな奴が多いけど…ホラ、見ての通り僕は”マトモ”だから安心してくれ」
「…」
マトモ…ねえ。
まあいっか。さ、対戦しようぜ!
「じゃあ先攻後攻はジャンケンで!」
「そうだねェ」
俺は左手を出した。
つづく
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txt:Y256
初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:09.03.12
更新日:10.04.14
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