「あたしの気持ち」(2010/01/15 (金) 23:41:30) の最新版変更点
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「で?勝っちゃったわけ?」
ちあきはあたしの机で、ノート上の手を休めずにそう言った。
「…うん。だってあいつの1積みデッキ、ヘボすぎなんだもん!」
あたしは、ベッドに横になりながら言った。
ここはあたしの部屋。テストまで一週間をきった今日は、ちあきと勉強…。
「それ、空気読まなさすぎじゃない?だって藤野は、勝ってあんたと付き合いたいって言ったわけでしょ?それって立派な告白じゃん」
「やっぱそうなるよねぇ…」
あたしはため息をついた。
伊賀に勝って決勝に進んだあたしの相手は藤野。んで、あいつはなぜかそのタイミングで「俺が勝って優勝できたら…俺と付き合わないか?」とか言い出したわけ。
「あいつは詩織のことが好きなんだと思ってたのに」
「また何故?」
ちあきはそこであたしのほうを見た。
「そりゃ…なんかわかんないけど、そう思ったの!」
「ふーん。あんたはどうなのよ?」
あたしは…正直、そんなこと考えたことなかった。松岡も藤野も”友達”だと思ってた。
でも、藤野…あんたはちがかったんだね。鈍感でゴメン。
「そりゃ…対戦中は考えたわよ?藤野と付き合ったらどうなるのかなぁ…って」
「で?」
「考えてたら、もう勝ち決定ってとこまで藤野の本国が減ってたわけ」
あたしは参ったという風に手を挙げた。
「本国?…まあいいや。本当はそこで負けるべきだったんじゃないの?」
「えー…嫌よ。わざと負けたらなんか恥ずかしいじゃん。それにね、あたしあいつのこと友達としか思ってないし」
「なら最初からそう言いなさいよ。そういう中途半端だからロクに彼氏もできないのよ?京子は」
真理かも…。
付き合い長いだけあって、痛いところ付いてくるなぁ…。
「きっとあたしにはそういうのまだ早いんだよ!」
言い返したあたしに、ちあきは笑った。
何が可笑しい!!
「いやね。”そういうの”ってどういうのよ?」
「もー!ちあきのバカー!」
「お、赤くなってる②」
あたしはベッドの上で足をバタバタさせた。
「てか、恋バナもいいけどさぁ…そろそろあんた勉強しなよ。次も数学で赤取ったら、母さん怒るよ!」
「だれが母さんじゃー!!」
あたしは枕を投げた。
確かにそろそろ数学を勉強しないとまずい…。
×××
「はい、答案を集めます」
担当の先生が、終業のベルと同時に言った。
終わった…赤は脱したかな。
「どうだったよ?いっちー」
「全然余裕。本田は?」
いっちーは天然パーマ気味の髪を触りながら、あたしに聞き返した。
「微妙…」
「はは…じゃ」
そう言っていっちーは教室を出た。
今日の分のテストは終わったから、あたしも帰ろうかな。
あたしは荷物をまとめて教室を出る。
「あ、京ちゃん」
出たとこで詩織たちに遭遇…。
無論、”たち”ってのは隣の松岡だけど。
「あーお揃いでー。どうも」
あたしは棒読み返事を返す。
「どうしたの?」
「どうせ数学だろ」
松岡が詩織に言った。
お前らもテスト期間ぐらい、いちゃつくのやめろ!
「詩織はいいけどさぁ、松岡テスト大丈夫なの?」
「余裕だぜ。詩織んちで勉強してるからな」
意外としっかりしてんね…詩織はいい奥さんになるわ。
…何?早すぎ?
「じゃあね。末永くお幸せに~」
あたしは手を振って階段を下りる。詩織が「京ちゃん、大げさだって」と言った。
駐輪場で自転車に乗って、学校の前の坂を下る。今日は立ち乗りしたい気分だけど、ハーパン履いてないことを思い出してやめた。
空は晴れ、日差しが眩しい。
「京子ー」
帰り道、ローソンの前であたしを呼ぶ声がした。見ると、ローソンの前で買い食いしてる藤野が手を振っていた。
そういや、大会の後すぐテスト期間に入っちゃって、まともに話してなかったなぁ。
あたしは自転車を降りてローソンの駐車場に入る。
「何ー?ずいぶん余裕そうじゃない?」
「日本史が終われば、あとは俺の天下だぜ!」
藤野は袋から焼き鳥を出し、どうやらあたしにくれるらしく差し出している。
「ふーん、何が天下よ。あ、どうも♪」
「京子…」
自転車を停め、あたしは藤野から串をもらう。
ってこの藤野の口調は、あの”告白”のときと同じ雰囲気。
…しまった!餌で釣られた!!
「俺、負けたけどさぁ、付き合わ…」
「うーん、無理!」
あたしの即答。決めた!あたしにはこういうのは向いてない!
だってドキドキするし、口が回らなくなるんだよ?
「即答すぎだろ!」
「だってあんたは”友達”なの!それ以上でも以下でもないわ♪」
藤野はがっかりはしてなかった。藤野がこういうやつで良かった。
険悪になるのだけは嫌だからね。
「さ、じゃあ今日は武志の家で勉強しようかな~」
「…は?」
あたしが下の名前で呼んだのを気付いたらしい。
ちょっとした出来心で試してみたけど、悪くないかも。
あたしは自転車を押して道路に戻る。
「早くしないとおいてくよ?」
武志はあたしの後に続いて自転車を押した。
おわり
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【作者から(あとがき)】
Season1のエピローグ的な話。
「綺麗に終わった」と感想を寄せていただいたSeason1のラストにオチをつけた形になりますが…なんというかこう、ブチ壊しです。
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「で?勝っちゃったわけ?」
ちあきはあたしの机で、ノート上の手を休めずにそう言った。
「…うん。だってあいつの1積みデッキ、ヘボすぎなんだもん!」
あたしは、ベッドに横になりながら言った。
ここはあたしの部屋。テストまで一週間をきった今日は、ちあきと勉強…。
「それ、空気読まなさすぎじゃない?だって藤野は、勝ってあんたと付き合いたいって言ったわけでしょ?それって立派な告白じゃん」
「やっぱそうなるよねぇ…」
あたしはため息をついた。
伊賀に勝って決勝に進んだあたしの相手は藤野。んで、あいつはなぜかそのタイミングで「俺が勝って優勝できたら…俺と付き合わないか?」とか言い出したわけ。
「あいつは詩織のことが好きなんだと思ってたのに」
「また何故?」
ちあきはそこであたしのほうを見た。
「そりゃ…なんかわかんないけど、そう思ったの!」
「ふーん。あんたはどうなのよ?」
あたしは…正直、そんなこと考えたことなかった。松岡も藤野も”友達”だと思ってた。
でも、藤野…あんたはちがかったんだね。鈍感でゴメン。
「そりゃ…対戦中は考えたわよ?藤野と付き合ったらどうなるのかなぁ…って」
「で?」
「考えてたら、もう勝ち決定ってとこまで藤野の本国が減ってたわけ」
あたしは参ったという風に手を挙げた。
「本国?…まあいいや。本当はそこで負けるべきだったんじゃないの?」
「えー…嫌よ。わざと負けたらなんか恥ずかしいじゃん。それにね、あたしあいつのこと友達としか思ってないし」
「なら最初からそう言いなさいよ。そういう中途半端だからロクに彼氏もできないのよ?京子は」
真理かも…。
付き合い長いだけあって、痛いところ付いてくるなぁ…。
「きっとあたしにはそういうのまだ早いんだよ!」
言い返したあたしに、ちあきは笑った。
何が可笑しい!!
「いやね。”そういうの”ってどういうのよ?」
「もー!ちあきのバカー!」
「お、赤くなってる②」
あたしはベッドの上で足をバタバタさせた。
「てか、恋バナもいいけどさぁ…そろそろあんた勉強しなよ。次も数学で赤取ったら、母さん怒るよ!」
「だれが母さんじゃー!!」
あたしは枕を投げた。
確かにそろそろ数学を勉強しないとまずい…。
×××
「はい、答案を集めます」
担当の先生が、終業のベルと同時に言った。
終わった…赤は脱したかな。
「どうだったよ?いっちー」
「全然余裕。本田は?」
いっちーは天然パーマ気味の髪を触りながら、あたしに聞き返した。
「微妙…」
「はは…じゃ」
そう言っていっちーは教室を出た。
今日の分のテストは終わったから、あたしも帰ろうかな。
あたしは荷物をまとめて教室を出る。
「あ、京ちゃん」
出たとこで詩織たちに遭遇…。
無論、”たち”ってのは隣の松岡だけど。
「あーお揃いでー。どうも」
あたしは棒読み返事を返す。
「どうしたの?」
「どうせ数学だろ」
松岡が詩織に言った。
お前らもテスト期間ぐらい、いちゃつくのやめろ!
「詩織はいいけどさぁ、松岡テスト大丈夫なの?」
「余裕だぜ。詩織んちで勉強してるからな」
意外としっかりしてんね…詩織はいい奥さんになるわ。
…何?早すぎ?
「じゃあね。末永くお幸せに~」
あたしは手を振って階段を下りる。詩織が「京ちゃん、大げさだって」と言った。
駐輪場で自転車に乗って、学校の前の坂を下る。今日は立ち乗りしたい気分だけど、ハーパン履いてないことを思い出してやめた。
空は晴れ、日差しが眩しい。
「京子ー」
帰り道、ローソンの前であたしを呼ぶ声がした。見ると、ローソンの前で買い食いしてる藤野が手を振っていた。
そういや、大会の後すぐテスト期間に入っちゃって、まともに話してなかったなぁ。
あたしは自転車を降りてローソンの駐車場に入る。
「何ー?ずいぶん余裕そうじゃない?」
「日本史が終われば、あとは俺の天下だぜ!」
藤野は袋から焼き鳥を出し、どうやらあたしにくれるらしく差し出している。
「ふーん、何が天下よ。あ、どうも♪」
「京子…」
自転車を停め、あたしは藤野から串をもらう。
ってこの藤野の口調は、あの”告白”のときと同じ雰囲気。
…しまった!餌で釣られた!!
「俺、負けたけどさぁ、付き合わ…」
「うーん、無理!」
あたしの即答。決めた!あたしにはこういうのは向いてない!
だってドキドキするし、口が回らなくなるんだよ?
「即答すぎだろ!」
「だってあんたは”友達”なの!それ以上でも以下でもないわ♪」
藤野はがっかりはしてなかった。藤野がこういうやつで良かった。
険悪になるのだけは嫌だからね。
「さ、じゃあ今日は武志の家で勉強しようかな~」
「…は?」
あたしが下の名前で呼んだのを気付いたらしい。
ちょっとした出来心で試してみたけど、悪くないかも。
あたしは自転車を押して道路に戻る。
「早くしないとおいてくよ?」
武志はあたしの後に続いて自転車を押した。
おわり
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>作者から
Season1のエピローグ的な話。
「綺麗に終わった」と感想を寄せていただいたSeason1のラストにオチをつけた形になり…なんというかこう、ブチ壊しですよね(汗
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