「M30」(2010/05/13 (木) 15:04:01) の最新版変更点
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「クシャトリヤがテキストを無効に出来る対象は1枚…数で押すぜ!数でッ!」
ミキオはターンを開始し、2枚のユニットを起こした。
クシャトリヤがローズのテキストを封じたところで、ドラゴンを倒せば相打ち。
逆に、ドラゴンのテキストを消せば、今度は「待ってました!」とばかりにローズのテキストが火を噴く。
「攻撃ステップ、真・流星ドラゴンがリングッ!ハリケーンローズが地球だーッ!」
ユニットを出撃させるミキオ。
真理はすっと手を出し「私のここでの判断は、これ以外ありません」と手札を出した。
*第24(30)話 雌伏の駆者
「リングでの付与効果をどうぞ。こちらの手札1枚を無作為に廃棄してください」
真理は手札のカードを選ばせるように裏向きで差し出す。
一番端のカードを選ぶミキオ。落ちたカードは、作戦の看破《21》だった。
「ドラゴンが4、ローズが8で…12ダメージを本国に受けます」
「ターンエンド」と合図するミキオに、彼女は頷いてカードを引く。
手始めにプレイしたカードは、サラサ再臨。
前のターンは勢いだけで攻撃を通せたが、5枚も見れば”なにか”を引っ張られる可能性が高いな。
とカードをサーチしている真理を見ながら考えるミキオ。
「ビギナ・ギナII(木星決戦仕様)を配備」
ミキオは「やっぱりな」と了解する。
『数で押せ作戦』は、相手も数をそろえると一気に失速するのが難点だ。
「さらに、ビギナ・ギナIIにスベロア・ジンネマンをセット」
「なんだ、それ?」
スベロア・ジンネマンは赤のキャラクターで、プレイされて場に出た場合、捨て山の上のカード5枚からキャラクター1枚を抜き出し、+1/+1/+1コイン1枚を乗せた状態で自軍ユニットにセットできるカード。
真理は、今度は捨て山の上のカードを5枚見る。
「マリーダ・クルスを捨て山からクシャトリヤにセット」
「コイン1枚を載せた状態だから格闘8、耐久8かよ…」
サイ・サイシーの上にあと1コイン乗せれば再び射程内に入れることは可能だが、クシャトリヤの無効化テキストと範囲兵器がある手前、もはや意味はない。
真理はクシャトリヤのサイコミュを書き換え、出撃を宣言した。この8ダメージは通すしかない。
「帰還して、ターン終了です」
「オレのターン、ドロー!」
ミキオはカードを手札に加えて小さく舌打ちした後、場を見渡す。
ご丁寧に防御用に残されたビギナ・ギナIIが彼に切っ先を向けている。
ダメージ効果とバウンステキストで、『2つの戦闘エリアを塞ぐ力』を備えたユニット。
付け込む隙があるとすれば、細かい攻めしかない。
「攻撃規定、リングに真・流星ドラゴンを」
「ハンデスをどうぞ。4点通します」
真理はミキオの思考を読むように防御規定を放棄する。
ハンデスでカリスマがジャンクヤードに落ちた。
「はは…危ねー…」
迂闊にカードをプレイすれば、カウンターついでにマリーダ・クルスでカードが破壊されるところだった。
観戦していた姉さんは、運気はミキオについているのかね。とお茶を飲みながら思った。
真理は6国力目となるGカードを出し、戦闘フェイズを宣言する。
「クシャトリヤを宇宙に」
「8点通しだぜ」
ターン終了が合図され、ミキオにターンがまわる。
「ウント・ドランクを配備して、即座にリロール。攻撃まで行きたい!」
「どうぞ…」
「リングにハリケーンローズ、宇宙に真・流星ドラゴン、そして地球にウント・ドランクだ!」
真理は考える間もなく許可する。
3面攻撃を安直だと嘲る様子はないが、ミキオの行動に少し警戒している様で、間を置いた後にビギナ・ギナIIのカードを手に取った。
「防御ステップ規定、ビギナ・ギナIIをリングの防御に」
「いくぜ。ハリケーンローズが効果を使用!ビギナ・ギナIIに7ダメージだ」
先制はミキオ。
高すぎる火力ゆえ、この効果が使われるのは『ゲームが動く場面』がほとんど。
ギラ・ズールはリングハンデス阻止のためだけに撃たれに来たが、今度は間違いなく『ゲームが動く場面』だ。
「カットインで4資源。ビギナ・ギナIIは交戦中のローズガンダムに4ダメージを与えます」
「じゃあお互いに破壊で」
「廃棄カットインで…バウンステキストを使用。ビギナ・ギナII自身を廃棄し、地球のウント・ドランクを本国の上へ」
真理は地球エリアに出撃していたウント・ドランクを差す。
ミキオは「だよな」と小さく言い放ち、目線をウント・ドランクから離すと彼女本国へと向けた。
「バウンステキストを使用した時点で、そっちの残り本国は?」
「9枚ですね。そちらは」
「こっちも…9枚だ」
お互いに残り本国が9ということは、ドローも含めると先に8点入れたほうが勝利…!
ミキオはテーブルの下で左手を握る。
このターン、このチャンスに致命傷の8点を入れるには…。
「バウンス対象は、こっちの…ウント・ドランク?」
「えぇ。地球のウント・ドランクで」
確認するように聞くミキオに、真理は頷く。
「いや…”ここ”は」
「はい」
「地球じゃないぜ…リングだッ!!サバイバルッイレブンッ!」
ミキオは目を見開き、そう言い切る。
手札から出されたのは、1枚のコマンドカード。
その効果によって、地球エリアは第2のリングエリアとなり、リング内のユニットを指定できないビギナ・ギナIIのバウンステキストは不発に終わる。
許可を出す真理に、ミキオは作戦の看破やカリスマをハンデスで落とせたのが本当によかったと内心でほっとする。
「4点と4点…8ダメージ通しだっ!」
「わかりました。残り本国は…1枚」
真理は仕方ないと言うように、1枚になった本国を見せる。
「勝負あり、ね」と空になった湯のみ茶碗を置きながら姉さんが言った。
「ふぅ、危なかったぜ」
「それはこちらの台詞です」
「え…?」
ミキオの口から思わず漏れた安堵の声に、真理はまだ声音を変えずにそう返した。
ギクリとして彼女の顔を見るミキオと姉さん。
「そちらの帰還ステップ、雌伏の時をプレイ。このカードは、”次のターンの1フェイズ”を飛ばします」
「な…なんだって?」
「つまり、私はこの1枚を…引きません」
真理が選んだのは、もちろんドローフェイズ。
自分のターンのドローフェイズをとばすことで、ドロー負けを回避したのだった。
「戦闘フェイズ、クシャトリヤを宇宙エリアに出撃!」
「やべっ…!」
唯一資源を払わせることが出来そうなユニットであるローズガンダムは、前のターンに既にジャンクヤードに移っている。
致命傷となるダメージは、8点ではなく9点だったことをミキオは思い知らされた。
「このゲームでは始めて行使しますが…本来、カードのサイコミュは4」
「ウント・ドランクが起きてもダメージは通る…」
すこし考えた後、ミキオは「負けか」と肩を落とした。
つづく
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※この物語は架空のものであり、実在の人物・団体・地名等とは一切関係ありません。
Txt:Y256 初出:mixi(5月13日掲載分)
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「クシャトリヤがテキストを無効に出来る対象は1枚…数で押すぜ!数でッ!」
ミキオはターンを開始し、2枚のユニットを起こした。
クシャトリヤがローズのテキストを封じたところで、ドラゴンを倒せば相打ち。
逆に、ドラゴンのテキストを消せば、今度は「待ってました!」とばかりにローズのテキストが火を噴く。
「攻撃ステップ、真・流星ドラゴンがリングッ!ハリケーンローズが地球だーッ!」
ユニットを出撃させるミキオ。
真理はすっと手を出し「私のここでの判断は、これ以外ありません」と手札を出した。
*第24(30)話 雌伏の駆者
「リングでの付与効果をどうぞ。こちらの手札1枚を無作為に廃棄してください」
真理は手札のカードを選ばせるように裏向きで差し出す。
一番端のカードを選ぶミキオ。落ちたカードは、作戦の看破《21》だった。
「ドラゴンが4、ローズが8で…12ダメージを本国に受けます」
「ターンエンド」と合図するミキオに、彼女は頷いてカードを引く。
手始めにプレイしたカードは、サラサ再臨。
前のターンは勢いだけで攻撃を通せたが、5枚も見れば”なにか”を引っ張られる可能性が高いな。
とカードをサーチしている真理を見ながら考えるミキオ。
「ビギナ・ギナII(木星決戦仕様)を配備」
ミキオは「やっぱりな」と了解する。
『数で押せ作戦』は、相手も数をそろえると一気に失速するのが難点だ。
「さらに、ビギナ・ギナIIにスベロア・ジンネマンをセット」
「なんだ、それ?」
スベロア・ジンネマンは赤のキャラクターで、プレイされて場に出た場合、捨て山の上のカード5枚からキャラクター1枚を抜き出し、+1/+1/+1コイン1枚を乗せた状態で自軍ユニットにセットできるカード。
真理は、今度は捨て山の上のカードを5枚見る。
「マリーダ・クルスを捨て山からクシャトリヤにセット」
「コイン1枚を載せた状態だから格闘8、耐久8かよ…」
サイ・サイシーの上にあと1コイン乗せれば再び射程内に入れることは可能だが、クシャトリヤの無効化テキストと範囲兵器がある手前、もはや意味はない。
真理はクシャトリヤのサイコミュを書き換え、出撃を宣言した。この8ダメージは通すしかない。
「帰還して、ターン終了です」
「オレのターン、ドロー!」
ミキオはカードを手札に加えて小さく舌打ちした後、場を見渡す。
ご丁寧に防御用に残されたビギナ・ギナIIが彼に切っ先を向けている。
ダメージ効果とバウンステキストで、『2つの戦闘エリアを塞ぐ力』を備えたユニット。
付け込む隙があるとすれば、細かい攻めしかない。
「攻撃規定、リングに真・流星ドラゴンを」
「ハンデスをどうぞ。4点通します」
真理はミキオの思考を読むように防御規定を放棄する。
ハンデスでカリスマがジャンクヤードに落ちた。
「はは…危ねー…」
迂闊にカードをプレイすれば、カウンターついでにマリーダ・クルスでカードが破壊されるところだった。
観戦していた姉さんは、運気はミキオについているのかね。とお茶を飲みながら思った。
真理は6国力目となるGカードを出し、戦闘フェイズを宣言する。
「クシャトリヤを宇宙に」
「8点通しだぜ」
ターン終了が合図され、ミキオにターンがまわる。
「ウント・ドランクを配備して、即座にリロール。攻撃まで行きたい!」
「どうぞ…」
「リングにハリケーンローズ、宇宙に真・流星ドラゴン、そして地球にウント・ドランクだ!」
真理は考える間もなく許可する。
3面攻撃を安直だと嘲る様子はないが、ミキオの行動に少し警戒している様で、間を置いた後にビギナ・ギナIIのカードを手に取った。
「防御ステップ規定、ビギナ・ギナIIをリングの防御に」
「いくぜ。ハリケーンローズが効果を使用!ビギナ・ギナIIに7ダメージだ」
先制はミキオ。
高すぎる火力ゆえ、この効果が使われるのは『ゲームが動く場面』がほとんど。
ギラ・ズールはリングハンデス阻止のためだけに撃たれに来たが、今度は間違いなく『ゲームが動く場面』だ。
「カットインで4資源。ビギナ・ギナIIは交戦中のローズガンダムに4ダメージを与えます」
「じゃあお互いに破壊で」
「廃棄カットインで…バウンステキストを使用。ビギナ・ギナII自身を廃棄し、地球のウント・ドランクを本国の上へ」
真理は地球エリアに出撃していたウント・ドランクを差す。
ミキオは「だよな」と小さく言い放ち、目線をウント・ドランクから離すと彼女本国へと向けた。
「バウンステキストを使用した時点で、そっちの残り本国は?」
「9枚ですね。そちらは」
「こっちも…9枚だ」
お互いに残り本国が9ということは、ドローも含めると先に8点入れたほうが勝利…!
ミキオはテーブルの下で左手を握る。
このターン、このチャンスに致命傷の8点を入れるには…。
「バウンス対象は、こっちの…ウント・ドランク?」
「えぇ。地球のウント・ドランクで」
確認するように聞くミキオに、真理は頷く。
「いや…”ここ”は」
「はい」
「地球じゃないぜ…リングだッ!!サバイバルッイレブンッ!」
ミキオは目を見開き、そう言い切る。
手札から出されたのは、1枚のコマンドカード。
その効果によって、地球エリアは第2のリングエリアとなり、リング内のユニットを指定できないビギナ・ギナIIのバウンステキストは不発に終わる。
許可を出す真理に、ミキオは作戦の看破やカリスマをハンデスで落とせたのが本当によかったと内心でほっとする。
「4点と4点…8ダメージ通しだっ!」
「わかりました。残り本国は…1枚」
真理は仕方ないと言うように、1枚になった本国を見せる。
「勝負あり、ね」と空になった湯のみ茶碗を置きながら姉さんが言った。
「ふぅ、危なかったぜ」
「それはこちらの台詞です」
「え…?」
ミキオの口から思わず漏れた安堵の声に、真理はまだ声音を変えずにそう返した。
ギクリとして彼女の顔を見るミキオと姉さん。
「そちらの帰還ステップ、雌伏の時をプレイ。このカードは、”次のターンの1フェイズ”を飛ばします」
「な…なんだって?」
「つまり、私はこの1枚を…引きません」
真理が選んだのは、もちろんドローフェイズ。
自分のターンのドローフェイズをとばすことで、ドロー負けを回避したのだった。
「戦闘フェイズ、クシャトリヤを宇宙エリアに出撃!」
「やべっ…!」
唯一資源を払わせることが出来そうなユニットであるローズガンダムは、前のターンに既にジャンクヤードに移っている。
致命傷となるダメージは、8点ではなく9点だったことをミキオは思い知らされた。
「このゲームでは始めて行使しますが…本来、カードのサイコミュは4」
「ウント・ドランクが起きてもダメージは通る…」
すこし考えた後、ミキオは「負けか」と肩を落とした。
つづく
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txt:Y256
初出:mixi(10.05.13)
掲載日:10.05.13
更新日:10.05.13
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