「M53」(2010/07/27 (火) 11:36:48) の最新版変更点
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緑の優秀な速攻ユニットに加え、スローネヴァラヌスとエリク・ブランケを揃えることで3ターン目から大ダメージを出したタンサン。
青と茶、2色のGカードの他はユニコーンガンダム&バナージ以外のカードを展開できていない対戦相手に、タンサンは最後の一撃を加えるべくユニットを出撃させた。
「ボウス、先に動いたほうが勝つってモンじゃない。攻撃ステップ規定後、一時休戦をプレイする」
*第47(56)話 致命的な組み合わせ
「重要機密の察知でそのプレイは無効だ」
1国力の対コマンドカウンターがタンサンの手札から放たれる。
一時休戦は古いコマンドであるが、本国ひとつをいかなるダメージからも守る強力な効果だ。
その効果を持ってこのターンを生き延びようとしていたのだろう?とタンサンは相手の顔色を覗う。
「おれっちのデッキはジンクスを主体に合計国力3以下のユニットだけで組まれているから、このカードのプレイ制限を無視していつでも使える」
「オーケーだ。そいつぁ…仕方がねよなぁ」
相手はそれきり考えるように黙り込んだ。
またかと、タンサンはため息をつくも、その期に乗じて状況を把握する。
地球エリアには、エリク・ブランケがセットされたスローネヴァラヌスを先頭にシャア専用ザクII&ザクII(ガルマ・ザビ機)にドップ(ガルマ・ザビ機)が出撃。
宇宙エリアには、ジンクスIII(ルイス機)が1枚のみで出撃している。
攻撃面においては万全と言っていい。青と茶の勢力から想像されるカードは、先ほどの一時休戦に代表されるような”守り”のカードだけだ。
「攻撃ステップ中、ガンダムF91(ハリソン機)を地球エリアに出す」
相手はアゴ髭をさすりながら、そのカードをスローネヴァラヌスの前に付き合わせる。ARレアの箔が押されたヴァラヌスの向かいに放られたそのカードもまた、10thレアの箔が押されていた。
「お、箔付きじゃん!」と言いつつも、タンサンは常時のタイミングである一時休戦をわざわざ攻撃ステップに使ったのはカウンターを読んでの保険か?と勘ぐる。
または考えなど無く、気まぐれに攻撃ステップに使ったのかもしれないが…どちらにせよあまり良い気分ではない。
「防御ステップ、エリクの効果でそっちの本国に11ダメージを」
「これは通し…ダメージ判定は?」
相手は本国のカードを移しながら聞く。
ダメージ量的には相当な痛手のはずだが、一時休戦をカウンターされた時のような長考はない。ハリソン機を出した時点でここまでは予想は出来ていたのだ。
ハリソン機は6国力の戦闘力に加え速攻持ちの大型ユニット。エリクのヴァラヌス1枚だけでは勝てない。
「規定前にルイス機の効果を使用。ヴァラヌスはロールして、破壊されない」
「よし、手札にヴァラヌスの弾は無かったな」
相手はそう言うと本国を手に取り、ルイスジンクスからの戦闘ダメージだけを解決した。
「出撃の仕方が甘かったかぁ~」
ターンを終了するタンサン。
ジンクスIIIをヴァラヌスの部隊として出撃させていれば、手札に戻して弾にすることも出来たのに、と少々後悔する。
だが、結果的は双方にユニットの消耗は無く、相手の本国だけが14ものダメージを受けた。上々だ。
ハハッと笑って相手はハリソンを本国の上に戻す。
「ドロー規定前にACEのテキストを使用」
相手はそう宣言しながらも、自分の本国を目算して何かを考えているようだ。
「規定ドロー…よし、まだ分はあるな。政治特権をプレイ」
「了解」
「カットインで急ごしらえもだ」
手札は3枚になり、急ごしらえは2ドローで解決される。続いて政治特権の2ドロー。
見る見る薄くなる本国にタンサンはチラリと視線を移した。
正直な話、エリクが決まれば15枚も1枚もそう差はないはずだ。相手もそれを理解しているから、最後のあがきでドローを加速させているのか。
タンサンがそんなことを考える間に、相手は手札のカードを1枚ジャンクやードに移した。
「ディスカードはユニコーンガンダム」
「合計国力5のユニコーンガンダムは間に合わない、か」
タンサンは独り言のようにそう言い、相手も別段返答はしなかった。
しかし、相手はユニコーンガンダムだから捨てたのではなかった。手札に揃ったそのカードの組み合わせ以外は、何であっても捨てていたのだから。
「茶Gを配備して、A.W.のカードを配備だ」
「…ん?」
A.W.は全てのプレイヤーがコマンドとオペレーション、「(自動)」以外のテキストのプレイに加えてユニットの出撃まで行う事ができなくなる強力なロックオペレーション。
その能力ゆえ、デッキに1枚しか入れることが出来ないカードとして制限されている代物だった。
そして、このオペレーションカードが出た瞬間、タンサンは悟った。
相手が待っていたのは、残りの本国でアクセスできる可能性を考えていたのは、このカード。
そして、手札に見え隠れしているのは”あの蒼いユニット”―ガンダムF90(ハリソン機)。
「これでタマをガッチリ掴んだ」
「AW…ハリソン」
ガンダムF90(ハリソン機)は戦闘エリアに出る効果で攻撃が出来るが、タンサン側は防御への出撃はできない。
つまり、同じように自動の効果で防御できない限り5ダメージを無条件で本国に受けることになるのだ。
1回のダメージ量こそ5であるが、これがA.W.の持続期間である4ターン目まで繰り返されれば、そのダメージ量は単純計算で20。
「攻撃ステップに入ってもいいか?」
「いや」
相手は太い腕にハリソンと思しきカード1枚を握りそう宣言するが、タンサンは手でそれを制する。
青と茶の”守り”のイメージの中では珍しい、圧倒的な”攻め”の形。それを前にしたタンサンは、彼自身が意外に思うほど冷静だった。
盤面を良く見る力はミキオやナツキよりもある彼だったが、良く見えるがゆえにその先も見えてしまうことが多い。
「おれっちのデッキではA.W.をカウンターできなかった時点で、”その組み合わせ”を絶対に攻略できない」
自動の効果で戦闘エリアに出るユニットも、プレイ時の自動効果でA.W.を破壊できるカードも、彼のデッキには無いのだ。
そして、規定のドローを含めて25点もの損失に耐えうるだけの本国も。
「投了っす」
つづく
緑の優秀な速攻ユニットに加え、スローネヴァラヌスとエリク・ブランケを揃えることで3ターン目から大ダメージを出したタンサン。
青と茶、2色のGカードの他はユニコーンガンダム&バナージ以外のカードを展開できていない対戦相手に、タンサンは最後の一撃を加えるべくユニットを出撃させた。
「ボウス、先に動いたほうが勝つってモンじゃない。攻撃ステップ規定後、一時休戦をプレイする」
*第47(56)話 致命的な組み合わせ
「重要機密の察知でそのプレイは無効だ」
1国力の対コマンドカウンターがタンサンの手札から放たれる。
一時休戦は古いコマンドであるが、本国ひとつをいかなるダメージからも守る強力な効果だ。
その効果を持ってこのターンを生き延びようとしていたのだろう?とタンサンは相手の顔色を覗う。
「おれっちのデッキはジンクスを主体に合計国力3以下のユニットだけで組まれているから、このカードのプレイ制限を無視していつでも使える」
「オーケーだ。そいつぁ…仕方がねよなぁ」
相手はそれきり考えるように黙り込んだ。
またかと、タンサンはため息をつくも、その期に乗じて状況を把握する。
地球エリアには、エリク・ブランケがセットされたスローネヴァラヌスを先頭にシャア専用ザクII&ザクII(ガルマ・ザビ機)にドップ(ガルマ・ザビ機)が出撃。
宇宙エリアには、ジンクスIII(ルイス機)が1枚のみで出撃している。
攻撃面においては万全と言っていい。青と茶の勢力から想像されるカードは、先ほどの一時休戦に代表されるような”守り”のカードだけだ。
「攻撃ステップ中、ガンダムF91(ハリソン機)を地球エリアに出す」
相手はアゴ髭をさすりながら、そのカードをスローネヴァラヌスの前に付き合わせる。ARレアの箔が押されたヴァラヌスの向かいに放られたそのカードもまた、10thレアの箔が押されていた。
「お、箔付きじゃん!」と言いつつも、タンサンは常時のタイミングである一時休戦をわざわざ攻撃ステップに使ったのはカウンターを読んでの保険か?と勘ぐる。
または考えなど無く、気まぐれに攻撃ステップに使ったのかもしれないが…どちらにせよあまり良い気分ではない。
「防御ステップ、エリクの効果でそっちの本国に11ダメージを」
「これは通し…ダメージ判定は?」
相手は本国のカードを移しながら聞く。
ダメージ量的には相当な痛手のはずだが、一時休戦をカウンターされた時のような長考はない。ハリソン機を出した時点でここまでは予想は出来ていたのだ。
ハリソン機は6国力の戦闘力に加え速攻持ちの大型ユニット。エリクのヴァラヌス1枚だけでは勝てない。
「規定前にルイス機の効果を使用。ヴァラヌスはロールして、破壊されない」
「よし、手札にヴァラヌスの弾は無かったな」
相手はそう言うと本国を手に取り、ルイスジンクスからの戦闘ダメージだけを解決した。
「出撃の仕方が甘かったかぁ~」
ターンを終了するタンサン。
ジンクスIIIをヴァラヌスの部隊として出撃させていれば、手札に戻して弾にすることも出来たのに、と少々後悔する。
だが、結果的は双方にユニットの消耗は無く、相手の本国だけが14ものダメージを受けた。上々だ。
ハハッと笑って相手はハリソンを本国の上に戻す。
「ドロー規定前にACEのテキストを使用」
相手はそう宣言しながらも、自分の本国を目算して何かを考えているようだ。
「規定ドロー…よし、まだ分はあるな。政治特権をプレイ」
「了解」
「カットインで急ごしらえもだ」
手札は3枚になり、急ごしらえは2ドローで解決される。続いて政治特権の2ドロー。
見る見る薄くなる本国にタンサンはチラリと視線を移した。
正直な話、エリクが決まれば15枚も1枚もそう差はないはずだ。相手もそれを理解しているから、最後のあがきでドローを加速させているのか。
タンサンがそんなことを考える間に、相手は手札のカードを1枚ジャンクやードに移した。
「ディスカードはユニコーンガンダム」
「合計国力5のユニコーンガンダムは間に合わない、か」
タンサンは独り言のようにそう言い、相手も別段返答はしなかった。
しかし、相手はユニコーンガンダムだから捨てたのではなかった。手札に揃ったそのカードの組み合わせ以外は、何であっても捨てていたのだから。
「茶Gを配備して、A.W.のカードを配備だ」
「…ん?」
A.W.は全てのプレイヤーがコマンドとオペレーション、「(自動)」以外のテキストのプレイに加えてユニットの出撃まで行う事ができなくなる強力なロックオペレーション。
その能力ゆえ、デッキに1枚しか入れることが出来ないカードとして制限されている代物だった。
そして、このオペレーションカードが出た瞬間、タンサンは悟った。
相手が待っていたのは、残りの本国でアクセスできる可能性を考えていたのは、このカード。
そして、手札に見え隠れしているのは”あの蒼いユニット”―ガンダムF90(ハリソン機)。
「これでタマをガッチリ掴んだ」
「AW…ハリソン」
ガンダムF90(ハリソン機)は戦闘エリアに出る効果で攻撃が出来るが、タンサン側は防御への出撃はできない。
つまり、同じように自動の効果で防御できない限り5ダメージを無条件で本国に受けることになるのだ。
1回のダメージ量こそ5であるが、これがA.W.の持続期間である4ターン目まで繰り返されれば、そのダメージ量は単純計算で20。
「攻撃ステップに入ってもいいか?」
「いや」
相手は太い腕にハリソンと思しきカード1枚を握りそう宣言するが、タンサンは手でそれを制する。
青と茶の”守り”のイメージの中では珍しい、圧倒的な”攻め”の形。それを前にしたタンサンは、彼自身が意外に思うほど冷静だった。
盤面を良く見る力はミキオやナツキよりもある彼だったが、良く見えるがゆえにその先も見えてしまうことが多い。
「おれっちのデッキではA.W.をカウンターできなかった時点で、”その組み合わせ”を絶対に攻略できない」
自動の効果で戦闘エリアに出るユニットも、プレイ時の自動効果でA.W.を破壊できるカードも、彼のデッキには無いのだ。
そして、規定のドローを含めて25点もの損失に耐えうるだけの本国も。
「投了っす」
つづく
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txt:Y256
初出:mixi(10.07.27)
掲載日:10.07.27
更新日:10.07.27
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