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*#21 あたしと詩織
衣替えして1週間、なんだかんだ毎日暑い日が続いてます。
日々はあっという間に過ぎて行き、そろそろ中間試験の影もちらついてきた…この感じが一番嫌。
「京ちゃん、今日は調子いいみたいだね」
詩織が道具をしまいながら言った。アーチェリーの調子?いつもとたいして変わらないへぼさだったと思うけど…
「そう?」
「うん。なんか機嫌いいでしょ、今日」
機嫌かい!まあ、今日は昨日より暑くないから機嫌は悪くないけど。
「そんなことないよぉ~今日だって十分暑いし~」
あたしは制服の胸元をバタバタさせた。うちの夏服は通気性はいいほうだと思う。
「どうする?今日どっかよってく?」
あたしは、手でスカートを払いながら言った。
片付けは終了っと。
「あ、私おごるよ?こないだのぶん」
「マジ?じゃあ遠慮なく行かせてもらおうかな♪」
寄るって言っても、近くにあるのはマックくらいのもんで…。
「あーあ。近くにデパートでもできないかなぁ…」
店の席に着きながら、あたしはぼやいた。商店街的にはそういうのは困るんだろうけど、あたしたち”若者”にとってはやっぱそういうのがないと厳しいでしょ。
それに、いちいち電車で町まで出なきゃいけないのも面倒だからね。
「山のほうの生協は?あそこ大きくなかった?」
「だっけ?でも少し遠いじゃん。車ないと無理じゃない?」
詩織は「それもそうだね」と言ってストローに口をつける。
詩織はいいよねー美人で。あたしもされたいわ、告白。そこ、告白されないのは性格のせいとか言わない!
あたしは詩織の横顔を見ながら、そんなことを考えた。
「京ちゃん…相談なんだけどね」
「何?」
詩織の相談。
勉強も部活もあたしよりできる彼女が、あたしに相談することと言えば…なんだろ?
確かこないだは、どのコンビニのおにぎりが一番おいしいか、とかだったなぁ…。バカにしてるわけじゃないんだろうけど、なんかこう…抜けてる?
「私ね、この前から付き合ってる人がいるんだけど…」
そこであたしはシェイクを噴いた。盛大に。
「は?は?何?マジで? どこのどいつよ、こんな美人のはぁとを射止めたのは?」
「ううん。…私から告白したんだ」
うわー。なんだこの急展開ー!最近別に変わったことなかったのに、いきなり付き合ってただなんて!
あたしは、おしぼりでテーブルを拭きながら詩織を小突く。
「やるじゃん詩織!で?相談っては??」
この手の話なら大好きだからね。詩織ごちそうさまでーす。
「付き合ったら、やっぱりデートとか沢山する?」
「まぁ、するんじゃない?」
デートについてかな?経験ないあたしの話が参考になるかどうか…。
「先月の30日に告白して、OKもらったんだけど、その日デートしたきりで、その後は1回もデートとかしてないんだ…」
「ふむ、同じ学校の奴?」
「うん」
詩織は頷いた。つまり、学校で会ったりメールはするけど、デートは初回の1回きりってわけ?
「それで相手の気持ちが気になるわけですね?古田君」
「京ちゃんしゃべりかた変だよ…。気持ちが気になる…のかなぁ」
うわーわかんねー。まず、付き合ってもいいと思ったからオッケーしたわけじゃん?
うーん。こんなことならちあきも呼ぶんだったわね…。
「だから京ちゃんから聞いてみて欲しいんだ、勇君に」
「別にいいけど…?ど!?ちょっと待って詩織!今なんて言った?」
一瞬気付かなかったけど、詩織の彼の名前…!!
あたしは詩織の肩をつかんで顔を見た。
「い…勇、松岡 勇くんだけど…?」
あちゃー。ショックで殺す気かと。なんで詩織の彼氏が松岡なわけ!?
あたしと詩織は1年生のときクラスが同じで、松岡もそのクラスにいたっけな。詩織の話じゃ、その時から好きだったらしい。
ようやく理解した。藤野と『カキヨ』に行ったあの日、詩織は用事で松岡は助っ人…そういう”ワケ”だったんだ。京子先生としたことが、まったく気付かなかったわ…。
「う、うん。訊いてみる。…てか詩織、」
「何?京ちゃん」
「松岡のどこがいいわけ??」
率直に質問をぶつける。すると詩織は照れながら「えっと…」と言った。
あーおあついことで。
そのあと、詩織は松岡のいいところを、あたしは駄目なところを挙げあった。
詩織は随分いろんなことを知ってて、あたしが挙げた駄目な点が、揚げ足取りみたいになっちゃってる感じだったけどね…。
「やばい!もうこんな時間!?親父きっと家でお腹すかせてる…!」
「ごめんね、京ちゃん。こんな遅くまで…」
こちらこそゴメン…ほとんど何も進展しなくて。
あたしは「いいよいいよ」と言って詩織と別れた。
×××
結局、次の日に松岡に問いただそうと思ったけど、木曜、金曜とあいつは続けて休んだ。風邪らしい。
松岡と詩織のことは、まだ藤野には言ってない。(松岡自身が言ったなら話は別だけど…)
だって藤野は詩織が好きで、詩織は松岡とできてるとかややこしすぎるじゃん。喧嘩とかにはならないだろうけど。
「本田、ここやってみろ」
ボーとしてたあたしを数学の坂本が指差してきた。
クソ!わかるか、そんな問題!
あたしは、隣の席のいっちーのノートを借りて前に出る。
松岡…詩織の気持ちもちゃんと考えなさいよ!バカ!
黒板に当てたチョークが、力の入れすぎでバッキリ折れた。
つづく
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txt:Y256
初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:
更新日:10.04.14
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*#21 あたしと詩織
衣替えして1週間、なんだかんだ毎日暑い日が続いてます。
日々はあっという間に過ぎて行き、そろそろ中間試験の影もちらついてきた…この感じが一番嫌。
「京ちゃん、今日は調子いいみたいだね」
詩織が道具をしまいながら言った。アーチェリーの調子?いつもとたいして変わらないへぼさだったと思うけど…
「そう?」
「うん。なんか機嫌いいでしょ、今日」
機嫌かい!まあ、今日は昨日より暑くないから機嫌は悪くないけど。
「そんなことないよぉ~今日だって十分暑いし~」
あたしは制服の胸元をバタバタさせた。うちの夏服は通気性はいいほうだと思う。
「どうする?今日どっかよってく?」
あたしは、手でスカートを払いながら言った。
片付けは終了っと。
「あ、私おごるよ?こないだのぶん」
「マジ?じゃあ遠慮なく行かせてもらおうかな♪」
寄るって言っても、近くにあるのはマックくらいのもんで…。
「あーあ。近くにデパートでもできないかなぁ…」
店の席に着きながら、あたしはぼやいた。商店街的にはそういうのは困るんだろうけど、あたしたち”若者”にとってはやっぱそういうのがないと厳しいでしょ。
それに、いちいち電車で町まで出なきゃいけないのも面倒だからね。
「山のほうの生協は?あそこ大きくなかった?」
「だっけ?でも少し遠いじゃん。車ないと無理じゃない?」
詩織は「それもそうだね」と言ってストローに口をつける。
詩織はいいよねー美人で。あたしもされたいわ、告白。そこ、告白されないのは性格のせいとか言わない!
あたしは詩織の横顔を見ながら、そんなことを考えた。
「京ちゃん…相談なんだけどね」
「何?」
詩織の相談。
勉強も部活もあたしよりできる彼女が、あたしに相談することと言えば…なんだろ?
確かこないだは、どのコンビニのおにぎりが一番おいしいか、とかだったなぁ…。バカにしてるわけじゃないんだろうけど、なんかこう…抜けてる?
「私ね、この前から付き合ってる人がいるんだけど…」
そこであたしはシェイクを噴いた。盛大に。
「は?は?何?マジで? どこのどいつよ、こんな美人のはぁとを射止めたのは?」
「ううん。…私から告白したんだ」
うわー。なんだこの急展開ー!最近別に変わったことなかったのに、いきなり付き合ってただなんて!
あたしは、おしぼりでテーブルを拭きながら詩織を小突く。
「やるじゃん詩織!で?相談っては??」
この手の話なら大好きだからね。詩織ごちそうさまでーす。
「付き合ったら、やっぱりデートとか沢山する?」
「まぁ、するんじゃない?」
デートについてかな?経験ないあたしの話が参考になるかどうか…。
「先月の30日に告白して、OKもらったんだけど、その日デートしたきりで、その後は1回もデートとかしてないんだ…」
「ふむ、同じ学校の奴?」
「うん」
詩織は頷いた。つまり、学校で会ったりメールはするけど、デートは初回の1回きりってわけ?
「それで相手の気持ちが気になるわけですね?古田君」
「京ちゃんしゃべりかた変だよ…。気持ちが気になる…のかなぁ」
うわーわかんねー。まず、付き合ってもいいと思ったからオッケーしたわけじゃん?
うーん。こんなことならちあきも呼ぶんだったわね…。
「だから京ちゃんから聞いてみて欲しいんだ、勇君に」
「別にいいけど…?ど!?ちょっと待って詩織!今なんて言った?」
一瞬気付かなかったけど、詩織の彼の名前…!!
あたしは詩織の肩をつかんで顔を見た。
「い…勇、松岡 勇くんだけど…?」
あちゃー。ショックで殺す気かと。なんで詩織の彼氏が松岡なわけ!?
あたしと詩織は1年生のときクラスが同じで、松岡もそのクラスにいたっけな。詩織の話じゃ、その時から好きだったらしい。
ようやく理解した。藤野と『カキヨ』に行ったあの日、詩織は用事で松岡は助っ人…そういう”ワケ”だったんだ。京子先生としたことが、まったく気付かなかったわ…。
「う、うん。訊いてみる。…てか詩織、」
「何?京ちゃん」
「松岡のどこがいいわけ??」
率直に質問をぶつける。すると詩織は照れながら「えっと…」と言った。
あーおあついことで。
そのあと、詩織は松岡のいいところを、あたしは駄目なところを挙げあった。
詩織は随分いろんなことを知ってて、あたしが挙げた駄目な点が、揚げ足取りみたいになっちゃってる感じだったけどね…。
「やばい!もうこんな時間!?親父きっと家でお腹すかせてる…!」
「ごめんね、京ちゃん。こんな遅くまで…」
こちらこそゴメン…ほとんど何も進展しなくて。
あたしは「いいよいいよ」と言って詩織と別れた。
×××
結局、次の日に松岡に問いただそうと思ったけど、木曜、金曜とあいつは続けて休んだ。風邪らしい。
松岡と詩織のことは、まだ藤野には言ってない。(松岡自身が言ったなら話は別だけど…)
だって藤野は詩織が好きで、詩織は松岡とできてるとかややこしすぎるじゃん。喧嘩とかにはならないだろうけど。
「本田、ここやってみろ」
ボーとしてたあたしを数学の坂本が指差してきた。
クソ!わかるか、そんな問題!
あたしは、隣の席のいっちーのノートを借りて前に出る。
松岡…詩織の気持ちもちゃんと考えなさいよ!バカ!
黒板に当てたチョークが、力の入れすぎでバッキリ折れた。
つづく
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txt:Y256
初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:08.06.13
更新日:10.04.14
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