「#53」(2010/04/14 (水) 14:41:57) の最新版変更点
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*#53 戦いは終わり…?
「まぁこんなもんかね」
ブースタードラフトの全試合を終え、あたしたちは8人分のレアカードを分配し終える。
21弾で足りてなかった白のカード、アスラン・ザラがGETできたから良しとしますか♪
「そういやさ、詩織何色使うか決まった?」
あたしは、ドラフトでGETした白以外のカードをトントンとならしながら詩織に聞く。
「うん。赤使うことにする♪」
「赤?」
松岡が教えるんだったら黒かな?とボンヤリと頭の中でイメージしてたから、赤は予想外だ。
「何で唐突に赤なわけ?」
「うーん…相手の人に、私側のカード好き勝手破壊とか移動されるのいやなんだよね。だからかな」
あーカウンターのことかな?
なんと意欲的な御発言。見えてるもんが違うわ…。
「じゃあ、はい。これあげるわ」
「いいの?」
あたしは今しがたブードラで取った、クァバーゼ(ギリ機)を詩織にあげる。
「いいのいいの。なんとなく取ったやつだからさ」
「ちょ!だったら俺にくれよ!」
横から武志が唐突に言った。
さっきまで公旗と話してたと思ったのにいつの間に…。
「ハァ?バッカ、なんであんたにあげなきゃなんないのよ!?あたしは詩織にあげたの!」
「じゃあ、私が武志君にあげればいいんだ?」
詩織はそう言って、ギリバーゼを差し出す。
なぜそうなる!?
あたしがぽかんと口を開けて見てたところに、松岡が口を開く。
「いいんだって、武志は00ユニット使うから。ほら、持っとけよ」
「そうそう。俺も”詩織さんからは”もらえないよ」
手のひらを返したような対応の武志。
あたしからは奪えるってのかい!
「はいはいはい!丸く収まったようですね!」
「なんで機嫌悪いんだよ…あ、そうだ。京子、このデッキ試させてくれよ!」
そう言って武志は、トップにさっきのSPカードのGNアームズが見えるデッキをぶんぶんと見せる。
「いいわよ。かかってきなさい!」
×××
「じゃあGNアームズが付いたエクシア(セブンソード)を宇宙に出撃させるぜ?」
「うっ…いいわ!」
さーて、ゲームは終盤。
武志の場のGNアームズを攻略できないあたしのデッキが一方的に負けそう。
大体GNアームズが出たあと、1ターンに1体ユニットが葬られるとか、アホくさ。
「じゃあインジャのリフターを出…すとアームズで本体が破壊される、か」
「だぜ!かと言って、京子の本国ももうないみたいだけどなっ」
くっそ~。
「負けね。もう1戦いい?まだ中途半端なんだけど、作ってるデッキあるの。部屋から取ってくるわ」
「オッケ。GNアームズ強いだろ?」
「Gの供給を前提としてる以上、脆いがね」
あたしに向けられた言葉に、公旗が答える。
てか、いつから見てたんだ…この人は。
「そうですか?…あれ、煉さんは?」
あたしは部屋を見渡して言った。
さっきまで皆いたと思ったのに、あたし達の他はテーブルで話している信ちゃんと菊池さんしかいない。
「わからないな。部屋じゃないのか?」
「勇達もいないな」
武志が気付いたように言った。
いや、それは別にいいんだって。
「バッカ。”そういうもん”でしょうが」
「なにがだよ?」
合宿とかイベントとかでカップルが”蒸発”するのなんて日常茶飯事。
外でも歩いてんじゃない?
あたしは男部屋を出て、隣の女子部屋の前に立つ。
煉さんひとりがいる可能性が高いけど、なんて言って入ろうか?
「…おし」
あたしは、ちょっと気合を入れて襖を開ける…。
「って…あれ?」
部屋には煉さんと…詩織と松岡!?
「投了だな。ん?本田か?」
煉さんはデッキを片付けながら、あたしのほうを見た。
向かい側に座って同じくカードを片付けているのは、詩織だ。
「え…何?詩織勝ったの!?」
あたしはスリッパを脱ぎながら、詩織に駆け寄る。
「なんかそうみたい」
「へ~、やるじゃん!」
あたしは素直に驚く。
どんな風な対戦だったのか、見たかったな~。
「ふふ。カマかけのタイミングがつかめれば形にはなるかも、だ。それと…いい札を握ってるときに、『えっと…』って言うのはやめな?バレる」
「あ…はい。ありがとうございます」
煉さんは楽しそうに、アドバイスする。
「お前や松岡よりは、なかなか素質があるぞ?」
煉さんは不意にこっちを向いて口を開く。
あたしや松岡の対戦まともに見たことあるわけ?
「じゃあ、本当にあたしのほうが弱いかどうか試してみます?」
カチンと来たあたしはデッキを取りに来たのも忘れて、対戦を申し出る。
「…くだらん。まあいいさ、来な」
煉さんは、今片付けたのとは違うデッキを出す。
「お前にはこっちのほうが”面白い”」
「…?」
あたしは武志に負けたばかりの白中を出す。
作り途中の新しいデッキでもいいけど、せっかく煉さんと対戦できるんだ。万全を。
じゃんけんで、あたしが先攻。
白基本Gを出してターン終了を宣言した。
さて…何が来る?
「配備フェイズ、白のジェネをだして、まずはこのカード…」
「白…?」
あたしは煉さんがはじめに出したカードに目を疑った。
白黒の絵柄でわかりづらいけど、白の基本Gだ!
”こっちのほうが面白い”ってミラーマッチのこと?
ミラーマッチだと、プレイヤーの差がモロに出る。
…どうする?
いや、落ち着けあたし。まだミラーって決まったわけじゃない。白系の混色かも。
「いいか?」
「はい…」
「ジェネ1枚でそんなに驚くなよ?ザクウォーリア(アスラン機)をプレイ。さらに、ミゲル・アイマン《BB3》をセット、テキストが起動し、リロールする」
煉さんは手札から次々にカードを出し、気付いたときにはすでに攻撃に移る段階だ。
「白…ウィニー?」
「そうだ。白は元々万能な色なんだぞ?低速デッキ以外もな」
…んな無茶な。
ともかく、こっちはまだ1Gしか置けていないから、ザクの4点は受けるしか。
「ターン終了だ」
あたしのターンは白基本Gを出すだけで終わる。
煉さんは予想通りという顔をして、ターンを開始した。
「配備フェイズ。ジェネを追加して、ダガー《16》とサポートユニットのグゥルをプレイする」
そして前のターンと同じく、ザクを出撃させる煉さん。
ウィニーは最初が肝心。こっちが動き出す前に、本国を薄くするのが目的なら…。
「ドロー。配備フェイズ、白基本Gとプラント最高評議会をだしてターン終了です」
「いや、帰還ステップにブレイズザクウォーリアをプレイさせてもらう」
煉さんはターンを開始し、1枚のコマンドを出す。
「救難信号。このカードで私の捨て山の上5枚からキャラを抜き出して手札に移す…この1枚だけだな」
ラスティー・マッケンジーを手札に移した煉さんは、そのまま配備フェイズにカードの追加もなく、あたしの本国を8点も削る。
でも、”たったの”8点だ。あたしの手札と場の最高評議会を駆使すれば、巻き返しは十分ありえる!
「帰還してターン終了だ」
「最高評議会を使った後にドロー、そして配備フェイズ、中東国の支援をプレイ」
あたしは最高評議会で資源、ドローもコントロールし、意中のカードを手札に収める。
白基本Gを出して、このカード!
「ダメージ判定ステップ、マルチロックオン!煉さんの全てのユニットに3ダメージを与えます!」
「ほう…」
これで全滅。
本国はちょっと多めに削られたけど、なんとか大丈夫。
「ターン終了です」
「ドロー、白ジェネとリーオーアーリータイプを出してターン終了だ」
ほら、もうあんなユニットしか残ってない。
ウィニーは勢いが命。それさえ削いでしまえばこんなもんよ。
もしかして煉さん、ネタデッキ使ってあたしをからかってるの??
「配備フェイズ、白基本Gを出してフリーダム(ハイマットモード)をプレイ。宇宙に出撃します」
「6点通しだ」
あたしは本国を6点回復してターンを終了する。
まずはマルチロックオンの資源を回収っと。
「本田…今、”ウィニーは勢いを殺せば余裕だわ♪”とか思ったろ?…ところが」
煉さんは意地の悪い笑みを見せて、手札からカードを出した。
つづく
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txt:Y256
初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:
更新日:10.04.14
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*#53 戦いは終わり…?
「まぁこんなもんかね」
ブースタードラフトの全試合を終え、あたしたちは8人分のレアカードを分配し終える。
21弾で足りてなかった白のカード、アスラン・ザラがGETできたから良しとしますか♪
「そういやさ、詩織何色使うか決まった?」
あたしは、ドラフトでGETした白以外のカードをトントンとならしながら詩織に聞く。
「うん。赤使うことにする♪」
「赤?」
松岡が教えるんだったら黒かな?とボンヤリと頭の中でイメージしてたから、赤は予想外だ。
「何で唐突に赤なわけ?」
「うーん…相手の人に、私側のカード好き勝手破壊とか移動されるのいやなんだよね。だからかな」
あーカウンターのことかな?
なんと意欲的な御発言。見えてるもんが違うわ…。
「じゃあ、はい。これあげるわ」
「いいの?」
あたしは今しがたブードラで取った、クァバーゼ(ギリ機)を詩織にあげる。
「いいのいいの。なんとなく取ったやつだからさ」
「ちょ!だったら俺にくれよ!」
横から武志が唐突に言った。
さっきまで公旗と話してたと思ったのにいつの間に…。
「ハァ?バッカ、なんであんたにあげなきゃなんないのよ!?あたしは詩織にあげたの!」
「じゃあ、私が武志君にあげればいいんだ?」
詩織はそう言って、ギリバーゼを差し出す。
なぜそうなる!?
あたしがぽかんと口を開けて見てたところに、松岡が口を開く。
「いいんだって、武志は00ユニット使うから。ほら、持っとけよ」
「そうそう。俺も”詩織さんからは”もらえないよ」
手のひらを返したような対応の武志。
あたしからは奪えるってのかい!
「はいはいはい!丸く収まったようですね!」
「なんで機嫌悪いんだよ…あ、そうだ。京子、このデッキ試させてくれよ!」
そう言って武志は、トップにさっきのSPカードのGNアームズが見えるデッキをぶんぶんと見せる。
「いいわよ。かかってきなさい!」
×××
「じゃあGNアームズが付いたエクシア(セブンソード)を宇宙に出撃させるぜ?」
「うっ…いいわ!」
さーて、ゲームは終盤。
武志の場のGNアームズを攻略できないあたしのデッキが一方的に負けそう。
大体GNアームズが出たあと、1ターンに1体ユニットが葬られるとか、アホくさ。
「じゃあインジャのリフターを出…すとアームズで本体が破壊される、か」
「だぜ!かと言って、京子の本国ももうないみたいだけどなっ」
くっそ~。
「負けね。もう1戦いい?まだ中途半端なんだけど、作ってるデッキあるの。部屋から取ってくるわ」
「オッケ。GNアームズ強いだろ?」
「Gの供給を前提としてる以上、脆いがね」
あたしに向けられた言葉に、公旗が答える。
てか、いつから見てたんだ…この人は。
「そうですか?…あれ、煉さんは?」
あたしは部屋を見渡して言った。
さっきまで皆いたと思ったのに、あたし達の他はテーブルで話している信ちゃんと菊池さんしかいない。
「わからないな。部屋じゃないのか?」
「勇達もいないな」
武志が気付いたように言った。
いや、それは別にいいんだって。
「バッカ。”そういうもん”でしょうが」
「なにがだよ?」
合宿とかイベントとかでカップルが”蒸発”するのなんて日常茶飯事。
外でも歩いてんじゃない?
あたしは男部屋を出て、隣の女子部屋の前に立つ。
煉さんひとりがいる可能性が高いけど、なんて言って入ろうか?
「…おし」
あたしは、ちょっと気合を入れて襖を開ける…。
「って…あれ?」
部屋には煉さんと…詩織と松岡!?
「投了だな。ん?本田か?」
煉さんはデッキを片付けながら、あたしのほうを見た。
向かい側に座って同じくカードを片付けているのは、詩織だ。
「え…何?詩織勝ったの!?」
あたしはスリッパを脱ぎながら、詩織に駆け寄る。
「なんかそうみたい」
「へ~、やるじゃん!」
あたしは素直に驚く。
どんな風な対戦だったのか、見たかったな~。
「ふふ。カマかけのタイミングがつかめれば形にはなるかも、だ。それと…いい札を握ってるときに、『えっと…』って言うのはやめな?バレる」
「あ…はい。ありがとうございます」
煉さんは楽しそうに、アドバイスする。
「お前や松岡よりは、なかなか素質があるぞ?」
煉さんは不意にこっちを向いて口を開く。
あたしや松岡の対戦まともに見たことあるわけ?
「じゃあ、本当にあたしのほうが弱いかどうか試してみます?」
カチンと来たあたしはデッキを取りに来たのも忘れて、対戦を申し出る。
「…くだらん。まあいいさ、来な」
煉さんは、今片付けたのとは違うデッキを出す。
「お前にはこっちのほうが”面白い”」
「…?」
あたしは武志に負けたばかりの白中を出す。
作り途中の新しいデッキでもいいけど、せっかく煉さんと対戦できるんだ。万全を。
じゃんけんで、あたしが先攻。
白基本Gを出してターン終了を宣言した。
さて…何が来る?
「配備フェイズ、白のジェネをだして、まずはこのカード…」
「白…?」
あたしは煉さんがはじめに出したカードに目を疑った。
白黒の絵柄でわかりづらいけど、白の基本Gだ!
”こっちのほうが面白い”ってミラーマッチのこと?
ミラーマッチだと、プレイヤーの差がモロに出る。
…どうする?
いや、落ち着けあたし。まだミラーって決まったわけじゃない。白系の混色かも。
「いいか?」
「はい…」
「ジェネ1枚でそんなに驚くなよ?ザクウォーリア(アスラン機)をプレイ。さらに、ミゲル・アイマン《BB3》をセット、テキストが起動し、リロールする」
煉さんは手札から次々にカードを出し、気付いたときにはすでに攻撃に移る段階だ。
「白…ウィニー?」
「そうだ。白は元々万能な色なんだぞ?低速デッキ以外もな」
…んな無茶な。
ともかく、こっちはまだ1Gしか置けていないから、ザクの4点は受けるしか。
「ターン終了だ」
あたしのターンは白基本Gを出すだけで終わる。
煉さんは予想通りという顔をして、ターンを開始した。
「配備フェイズ。ジェネを追加して、ダガー《16》とサポートユニットのグゥルをプレイする」
そして前のターンと同じく、ザクを出撃させる煉さん。
ウィニーは最初が肝心。こっちが動き出す前に、本国を薄くするのが目的なら…。
「ドロー。配備フェイズ、白基本Gとプラント最高評議会をだしてターン終了です」
「いや、帰還ステップにブレイズザクウォーリアをプレイさせてもらう」
煉さんはターンを開始し、1枚のコマンドを出す。
「救難信号。このカードで私の捨て山の上5枚からキャラを抜き出して手札に移す…この1枚だけだな」
ラスティー・マッケンジーを手札に移した煉さんは、そのまま配備フェイズにカードの追加もなく、あたしの本国を8点も削る。
でも、”たったの”8点だ。あたしの手札と場の最高評議会を駆使すれば、巻き返しは十分ありえる!
「帰還してターン終了だ」
「最高評議会を使った後にドロー、そして配備フェイズ、中東国の支援をプレイ」
あたしは最高評議会で資源、ドローもコントロールし、意中のカードを手札に収める。
白基本Gを出して、このカード!
「ダメージ判定ステップ、マルチロックオン!煉さんの全てのユニットに3ダメージを与えます!」
「ほう…」
これで全滅。
本国はちょっと多めに削られたけど、なんとか大丈夫。
「ターン終了です」
「ドロー、白ジェネとリーオーアーリータイプを出してターン終了だ」
ほら、もうあんなユニットしか残ってない。
ウィニーは勢いが命。それさえ削いでしまえばこんなもんよ。
もしかして煉さん、ネタデッキ使ってあたしをからかってるの??
「配備フェイズ、白基本Gを出してフリーダム(ハイマットモード)をプレイ。宇宙に出撃します」
「6点通しだ」
あたしは本国を6点回復してターンを終了する。
まずはマルチロックオンの資源を回収っと。
「本田…今、”ウィニーは勢いを殺せば余裕だわ♪”とか思ったろ?…ところが」
煉さんは意地の悪い笑みを見せて、手札からカードを出した。
つづく
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txt:Y256
初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:08.11.05
更新日:10.04.14
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