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#59
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#59 勝負の決め手
「では、お待ちかね。内部分裂だ」
「…させませんよ、作戦の看破《BB1》!」
「…させませんよ、作戦の看破《BB1》!」
あたしは表情を変えず、手札からカウンターカードを出す。
内部調査と中東でどうにか手繰り寄せたカウンターだ。ここを通すわけには行かない。
内部調査と中東でどうにか手繰り寄せたカウンターだ。ここを通すわけには行かない。
「やっぱり?まぁそうでなくては面白くない。今のが通ったらつまらなすぎて逆に私が投了してたかもね」
煉さんはおかしそうに言った。この妙な女言葉はふざけてるときに使う口調。
この余裕は?いや、これがこの人。
この余裕は?いや、これがこの人。
「えぇ、もちろん。あたしはさっきも言いましたけど、あたしは”倒す気満々”ですから♪」
「ふん。アムロの効果で本国から…このユニットだ、ゼク・アイン(1種兵装)《19》!さらに、その後ろに2種兵装を出撃させる」
「っ…」
「ふん。アムロの効果で本国から…このユニットだ、ゼク・アイン(1種兵装)《19》!さらに、その後ろに2種兵装を出撃させる」
「っ…」
アムロがセットされたことで「キャラクターがセットされている」って条件とサイズがあるゼク。
こんな序盤に、しかもあんなバニラユニットとエクシアを相打ちさせるなんて御免だわ。
こんな序盤に、しかもあんなバニラユニットとエクシアを相打ちさせるなんて御免だわ。
「9点受けます」
「ターン終了だ」
「ターン終了だ」
2枚のユニットを帰還させ、煉さんはターンを終了した。
煉さんのユニットは4枚。すべてニューディサイズのやつ。黒コマンド1枚通るだけで8点の回復量か…なかなか厄介ね。
煉さんのユニットは4枚。すべてニューディサイズのやつ。黒コマンド1枚通るだけで8点の回復量か…なかなか厄介ね。
「ドロー。配備フェイズ、密約《EB1》をプレイします。対象はあたしで」
「了解」
「白基本Gを配備してターン終了です」
「了解」
「白基本Gを配備してターン終了です」
あたしは手札にカード2枚を加え、ターンを終了する。
ナメてたけど、あのゼクたち相手にエクシアであすら迂闊に飛び込めない…くそっ。
ナメてたけど、あのゼクたち相手にエクシアであすら迂闊に飛び込めない…くそっ。
「ドロー、配備フェイズ開始でシャクティドロー。ふむ…攻撃ステップに入るぞ?」
「はい。どうぞ」
「はい。どうぞ」
あたしは身構える。アムロの効果でこれ以上ゼクが追加されると、巻き返しが利かなくなる可能性もある…!
「アムロの効果を起動…本国にユニットはないな。攻撃に出撃させるぞ」
煉さんは別段ガッカリという風でもなく、ユニットを出撃させる。
宇宙エリアに第1種+アムロ、ジョッシュ、第2種の順だ。もはやエクシアが介入したとしても、ジョッシュ機の効果もあって、ダメージ軽減にしかならない。
宇宙エリアに第1種+アムロ、ジョッシュ、第2種の順だ。もはやエクシアが介入したとしても、ジョッシュ機の効果もあって、ダメージ軽減にしかならない。
「6+1+3…10点通しですっ」
「…な?言っただろ?食われるって」
「…な?言っただろ?食われるって」
あたしの語尾が上がったのに煉さんは笑う。
「まだわかりませんよ、そういうのは勝ったときにしてください♪」
「了解♪」
「了解♪」
あたしはそうは言ったけど、この攻撃を通した時点で対抗策がないのは明白。
さて、どうしたものか…。
さて、どうしたものか…。
「ドロー。配備フェイズ、サラサ再臨をプレイ!」
ターンを終了した煉さん。あたしは赤基本Gを出して今引いたばかりのサラサ再臨をプレイした。
…よし。
…よし。
「ターン終了です」
「あら、いいの引けなかったのかしら?それとも…」
「あら、いいの引けなかったのかしら?それとも…」
煉さんはそう言いながらドローする。
「配備フェイズ開始でシャクティドロー。2種兵装を対替コストで廃棄し、ゼクツヴァイ《20》をプレイする」
大きい…ノワールのようなテキストを持つ大型高機動ユニットだ。
でも、あのテキストの弱点はノワールと同じ。高国力のカードをハンドから切らなければいけないところ。
でも、あのテキストの弱点はノワールと同じ。高国力のカードをハンドから切らなければいけないところ。
「さらに、トッシュ機の効果でファスト機を展開させる」
「はい」
「はい」
うーん…あの展開力。
「宇宙エリアに第1種+アムロ、ジョッシュを出撃させるぞ」
「はい」
「はい」
アムロの効果をまたしてもミスった煉さんは、そう言ってユニットを出撃させる。
その攻撃はもう受けないわ!
その攻撃はもう受けないわ!
「防御ステップ、ガンダムエクシアを介入させます」
「了解だ」
「了解だ」
あたしは手札からエクシアを宇宙エリアにリロールで出す。
煉さんはあたしの出方を伺っているだろう。トッシュが配備エリアで待機したままなのも、戦闘エリアでのこっちのアクションを恐れてのこと。
煉さんはあたしの出方を伺っているだろう。トッシュが配備エリアで待機したままなのも、戦闘エリアでのこっちのアクションを恐れてのこと。
「とりあえず、ガンダムエクシアの効果で、交戦中のキャラクターがセットされていないユニット全ての格闘を*に」
「了解だ。さぁ何が来る?これだけでは倒せないぞ?」
「了解だ。さぁ何が来る?これだけでは倒せないぞ?」
煉さんはアムロがセットされたゼクを指して言う。
「えぇ、ここで介入したんだから策はあります。防御ステップ、さらに勝利の陶酔を第1種兵装に!」
「バウンスか。まあ仕方がないな。1種兵装は本国の上に戻る」
「バウンスか。まあ仕方がないな。1種兵装は本国の上に戻る」
煉さんはそう言ってユニットを本国の上に戻す。
本当は過去との邂逅があればロールさせて全滅→邂逅回収の黄金パターンが出来上がるんだけど、まぁこれでも事実上この部隊は全滅。
本当は過去との邂逅があればロールさせて全滅→邂逅回収の黄金パターンが出来上がるんだけど、まぁこれでも事実上この部隊は全滅。
「こっちは以上です。このまま交戦に入りたいんですけど…?」
あたしは手札と場を交互に見ながらそう言った。
黒の破壊コマンドはほとんどがダメージ判定ステップ。まだエクシアの一方的勝利と決まったわけじゃない…。
黒の破壊コマンドはほとんどがダメージ判定ステップ。まだエクシアの一方的勝利と決まったわけじゃない…。
「あぁ、かまわんぞ。こっちが一方的に破壊だな」
「あ、はい」
「あ、はい」
シャクティで追加ドローしてたけど、結局は黒単のドロー力はこんなもの?
あたしの心配しすぎだったみたいね。
あたしの心配しすぎだったみたいね。
「ターン終了だ」
あたしはそう言われて、自分のターンを開始する。
内部調査はあたしに的確なカードを与えてくれる。うん、赤と混色してよかった!
内部調査はあたしに的確なカードを与えてくれる。うん、赤と混色してよかった!
「ドロー。配備フェイズにフリーダム(ハイマット)をプレイして、攻撃ステップに行きたいです」
「どうぞどうぞ」
「どうぞどうぞ」
煉さんは普通に返す。でも、内心はゼクツヴァイだけじゃ不安なはずだ。
あたしはそう思いながらエクシアを宇宙に、ハイマットを地上に出撃させる。
あたしはそう思いながらエクシアを宇宙に、ハイマットを地上に出撃させる。
「防御ステップ」
煉さんの場には(攻撃を受けると相手に奪われる)シャクティがあり、本国のトップはアムロかゼク…たぶんアムロ。こいつらをいっぺんに葬れる最大級の攻撃だ!
いくらトッシュ機が優秀でデッキの中核だとしても、11点の大ダメージをここでブロックせずにいられるかしら?
いくらトッシュ機が優秀でデッキの中核だとしても、11点の大ダメージをここでブロックせずにいられるかしら?
「いいわ、そのまま11点受ける。シャクティはお前に嫁がせる」
「あ、はい。OKです」
「あ、はい。OKです」
あたしはハイマットの効果で本国を11点回復し、白基本Gにシャクティをもらう。
トッシュ機はそこまで重要なんだ…。いや、逆に言えば、あれを落とせば終わり。展開も回復もさせない!
トッシュ機はそこまで重要なんだ…。いや、逆に言えば、あれを落とせば終わり。展開も回復もさせない!
「ターン終了したいです」
あたしは暗殺《20》を警戒する口調で宣言するが、煉さんはこれも流す。
「ドロー。配備フェイズ、ゼク・アイン(第3種兵装)をプレイする」
「はい」
「はい」
まだ増える。あのデッキ、ユニットしかいないんじゃない??
「攻撃ステップ、ゼクツヴァイを宇宙に出撃させるぞ」
「えぇ、防御ステップ!」
「えぇ、防御ステップ!」
攻防一体!このデッキのメインギミック!
「キラ《DB5》の効果でこのカードとハイマットを宇宙に!」
「フフッ…来たな、本命。ダメージ判定ステップに入りたいが?」
「…どうぞ」
「フフッ…来たな、本命。ダメージ判定ステップに入りたいが?」
「…どうぞ」
あたしは手札を見る。
サイズ勝負なら負けないけど、ツヴァイの効果で手札から5国以上のカードを捨てるとまずいわね。
サイズ勝負なら負けないけど、ツヴァイの効果で手札から5国以上のカードを捨てるとまずいわね。
「黒い覇道。これでキラを破壊だ」
煉さんは静かにそう言ってコマンドを出す。
なるほど…最低限のコマンドで相打ち、か。
なるほど…最低限のコマンドで相打ち、か。
「OKです。じゃあ…このまま相打ちで!」
あたしは強気に切り出す。
ハイマットの損失は痛いけど、あいても最大級のユニットが落ちるし、こっちには内部調査とシャクティがある。
ハイマットの損失は痛いけど、あいても最大級のユニットが落ちるし、こっちには内部調査とシャクティがある。
「あぁ、かまわん。トッシュのチーム効果で合計6は回復させてもらうぞ?」
「はい」
「はい」
あたしたちはお互いにユニットをジャンクに送る。
これで煉さんのユニットはトッシュ機、ファスト機、3種兵装。対してあたしはエクシア1枚。
これで煉さんのユニットはトッシュ機、ファスト機、3種兵装。対してあたしはエクシア1枚。
…いける!
「ターン終了だ」
「はい。あたしのターン、ドロー。配備フェイズ開始でシャクティドロー」
「はい。あたしのターン、ドロー。配備フェイズ開始でシャクティドロー」
内部調査でコントロールし、シャクティで多く引く。
煉さんは残りの手札と今引きで、このアドを覆せるかしら?
煉さんは残りの手札と今引きで、このアドを覆せるかしら?
「ターン終了です」
あたしはあっさりそう言った。
むやみにここで攻撃しても、全軍防御でエクシアを失うだけだ。こうなったら、 ドローサーチ力で差をつけて一気に叩く。
むやみにここで攻撃しても、全軍防御でエクシアを失うだけだ。こうなったら、 ドローサーチ力で差をつけて一気に叩く。
「ふぅん、無闇に攻撃しなかったな。偉い偉い」
煉さんは鼻で笑いドローし、イオージマを配備する。
そんな低コストユニットが今更…?今引いた奴か。この局面じゃ回復量の上昇くらいしかメリットはないわね。
そんな低コストユニットが今更…?今引いた奴か。この局面じゃ回復量の上昇くらいしかメリットはないわね。
「ターン終了だ」
「煉さんだって動けてないじゃないですか」
「煉さんだって動けてないじゃないですか」
あたしはむっとして言う。
いや、補給待ちか。
いや、補給待ちか。
「動く?いや、私が次に攻撃するときは”勝つとき”だ」
「そうっすか」
「そうっすか」
あたしは肩をすくめ、内部調査をコントロールする。
…どうやらその”次”は永久にこないわね。
…どうやらその”次”は永久にこないわね。
「シャクティドロー、配備フェイズにハイマットをプレイして、刹那をセット!」
「ほう、これでファストでのサイズ押しが無効ね」
「ほう、これでファストでのサイズ押しが無効ね」
一見余裕そうだけど、さっきより確実に口数が少ない。
この攻撃を受け流す余裕なんてないからだ。その根拠に…。
この攻撃を受け流す余裕なんてないからだ。その根拠に…。
「煉さんの残り本国、何枚ですか?」
「1、2、3…7枚だ。あら、案外少ないのね。本田は?」
「12枚です」
「1、2、3…7枚だ。あら、案外少ないのね。本田は?」
「12枚です」
回復できてこの量だから結構やられたほうではあるわね。
「宇宙にハイマット、地球にエクシアを出撃させます」
「では、しかたがない。宇宙は3種兵装、地球はファスト機で防御だ」
「とりあえずエクシアのテキストを起動します」
「では、しかたがない。宇宙は3種兵装、地球はファスト機で防御だ」
「とりあえずエクシアのテキストを起動します」
こっちは何もしなくても殲滅できる戦力だ。
あとは煉さんのアクション次第。
あとは煉さんのアクション次第。
「ダメージ判定ステップ、狂乱の女戦士をハイマットに撃ちたいな」
「手札3枚を切れば無効…?」
「そうだ?捨てるか?」
「手札3枚を切れば無効…?」
「そうだ?捨てるか?」
煉さんはニッと笑って言う。
この表情、次があるといってる?
この表情、次があるといってる?
「…でも断るわ!宇宙を統べる者!」
「っ…」
「っ…」
煉さんは小さく舌打ちする。
今まで見せなかった余裕のなさだ。これで手札を削って次のターンの”保障”が欲しかった。
そういうこと?
今まで見せなかった余裕のなさだ。これで手札を削って次のターンの”保障”が欲しかった。
そういうこと?
「じゃあこのまま交戦で破壊したいです」
「あぁ」
「あぁ」
お互いにゼク・アイン(第2種兵装)のテキストで手札を捨てる。双方Gだ、余剰G。
あたしはターン終了を宣言し、煉さんはドローする。
あたしはターン終了を宣言し、煉さんはドローする。
「配備フェイズ、ジョッシュ・オフショーをトッシュ機にセット」
「はい」
「はい」
!
ジョッシュでジャンクからユニット…おそらくツヴァイを釣って攻撃に出せる即効性…!!
このタイミングで?
ジョッシュでジャンクからユニット…おそらくツヴァイを釣って攻撃に出せる即効性…!!
このタイミングで?
「嘘~っ」
「では、攻撃ステップ規定前にジョッシュのテキストを機動、地上エリアにゼク・ツヴァイを出し、このキャラを移す!」
「では、攻撃ステップ規定前にジョッシュのテキストを機動、地上エリアにゼク・ツヴァイを出し、このキャラを移す!」
あたしの小さな悲鳴を無視し、煉さんは宇宙に”それ”を出す。格闘8の大型ユニット。
そして、トッシュ機とイオージマも宇宙エリアに出撃する…その攻撃力は11。あたしを倒すには十分だ。
そして、トッシュ機とイオージマも宇宙エリアに出撃する…その攻撃力は11。あたしを倒すには十分だ。
「言っただろ?”次に攻撃するときは勝つときだ”と」
煉さんはニッと笑った。
つづく
txt:Y256
初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:08.12.17
更新日:10.04.14
掲載日:08.12.17
更新日:10.04.14