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#61 彼方からの来訪?


春っていいよね。
なんていうの?新学期に対するワクワク感。

それとも単純に春休みだからかもね。
まぁともかく好き。

そんなことを考えながらボーっとしていたあたしを、「ガタン」という音が覚ます。
強風で空き家のドアが鳴ったらしい。

「京子?」
「なに?」

武志はちょっと真剣な顔であたしに語りかけた。

「ダブルオーくれよ~」
「またその話~?だーかーらー、直親様のダブルオーは出ないんだってば!」

あたしはテーブルに置いてある、ブースターからさっき出たばかりのダブルオーガンダムを引き寄せながら言った。
このイラストは好きなんだ。疾走感があるからね。


あたしのガンダムウォー Season3



「ドロー。配備フェイズ、密約《20》をプレイ。黒の部隊(22弾特殊赤国力)の効果で内部調査を本国の下に送って2個目のコインを乗せるぜ」

武志は新しい特殊Gの上のサイコロの目を”2”にする。
これで赤3、青3国力が発生だ。
なるほど…新しいGはG事故もだけど、色事故の防止にもなるわけね。今度試そ♪

「GNドライヴを配備!攻撃ステップに入っていいか?」
「いいわよ」

武志はケースからコインを出してそう言った。
あいつの場には、国力の他に、ガンダムヴァーチェとツインドライヴ、内部調査がある。
対してあたしの場にはフリーダム(ハイマット)が1枚だけ。ツインドライヴのコインが乗ってるヴァーチェにさっきからサイズ負けしてるわ。

「ヴァーチェを地球エリアに出撃させるぜ!」
「でかっ…受けるわ」

あたしは本国に手をかけた。
さっきまではお互いユニットが牽制しあってたおかげで攻撃には出てこなかったけど、GNドライヴのおかげか…手札に何か握れたのかしらね。この急な攻めは。

「いいのか?本国かなり薄いぜ?」
「いいの!」

あたしは本国を1枚ずつ捨て山に送り、ターンをもらう。
ドローしたカードは中東国の支援。さて、反撃開始といければ良いけど!

「配備フェイズ、中東国をプレイで2ドロー。よしよし、フリーダムガンダム(ミーティア装備)をプレイ!」
「巻き返しの定番だな。だがドライヴが2枚とも起きてる俺の場に不足は無いぜ!」
「へへん♪あたしのこのジャンクが見えないの?10枚以上はあるわよ~」

あたしはミーティアを場に出しながら舌を出す。
えーと…ヴァーチェを撃破してもカットGNドライヴでヴァーチェの上のコインをユニット化される。
ここでコインを破壊できればいいけど、そこできっとジャンクは切れる。このハンドも切れることは切れるけど、武志はそれでも太陽炉コイン1枚を残せる。

「とりあえずは、このターンGNドライヴの無限機構は機能しない。攻撃ステップ行くわ!」
「あぁいいぜ」

あたしは宇宙にミーティア、地球にハイマットを出撃させた。3枚目の来訪者の危険はあるけど、正直ここで攻撃が通らないとかなりやばい。
武志はおもむろにGNドライヴをロールする。
ここでコイン発生?

「14点は受ける訳には行かないぜ…トランザムッ!」
「は?」

武志は、ノーマルのヴァーチェを換装で新弾のガンダムヴァーチェ(GNバズーカバーストモード)に置き換えた。

「さらに、ツインドライヴで俺が得ている太陽炉コインをGNヴァーチェに!」
「またフリーダムを圧倒できるサイズね…」

…撃つしかない。
ここは全力でアレを撃破して回復するしか活路は無いわ!

「宇宙はGNコイン、地球はGNヴァーチェで防御!」
「えぇ。出撃後、ミーティアの効果でヴァーチェを」
「カットは無いぜ。好きにどうぞ~」

あたしは遠慮なくジャンクのカードを8枚除外してヴァーチェを破壊する。
ミーティア側はしかたない。ここは6点の回復でガマンね。

「ターン終了よ」
「おっけー。ドロー」

ヴァーチェが来るのはほぼ確実。
そうなればユニット枚数で圧倒してるこっちが次のターンの回復でほぼ勝ち。
こっちの帰還にキュリオスとか出てきたら10以上打点を出されて怪しくなったかもだけどね。

なんにせよ、太陽炉コインを一掃できたおかげで勝ちだ!

「ガンダムヴァーチェをプレイ。攻撃ステップに入るぜ」
「いいわその戦力で出撃?無謀無謀ゥ」
「なーに勝ち誇ってんだよ京子。俺はこのカードをプレイするぜ、太陽炉だ!」

武志は手札からコマンドを出す。
太陽炉コインを2個得るだけのコマンド!でもこの状況じゃ…!

「俺が得た太陽炉コインを早速GNドライヴでユニット化、ツインドライヴでヴァーチェに」
「…あれ?」
「ヴァーチェを地球に、コインを宇宙に出撃させるぜ」

あたしは手札と場を見渡す。

「京子の手札は今2枚。さっきの攻防でジャンクはもう3枚しかない。…つまりクイックユニットを展開すると、弾が4枚しかなくなってミーティアでユニットを落とせなくなるし、クイックユニットが無い場合はコインを撃ち抜くのが限界」

あたしは武志の顔をじっと見る。
最近こいつの読みはずいぶんと鋭いような気がする。
というか単純に強くなってる感じ。

「やるじゃん♪でも…ね!」

あたしは手札からカードを出す。

「トラガイア?」
「そう、ガイアガンダム(バルトフェルド機)よ。効果で本国を見るわ!」

「今更?」と眉を上げる武志。
あたしは薄くなった本国を手に取る。

「その枚数でアークエンジェルがあるかよ!」
「へへん♪白にはハッキングというものがありましてね?あんた最近計算好きそうだったから、狂わせて上げようと思ってね」
「なんだって…?」

あたしは本国の下に送っておいたアークエンジェルを表にして手札に加える。
これでブロッカーを用意しつつ、ミーティアの弾は5。

「うーん…負けっぽいぜ。ちくしょうやられた~」
「どーだ。うはは」

あたしはVサインを出して笑った。
そこであたしのお腹がなる。

「…お腹減ったね」
「…そうだな」

あたしたちは二人でカードを片付けながら顔を見合わせた。

「終わったか?」

テーブルの端でケータイ画面を見てた松岡が言った。
今日は午前中からここ、カキヨの隣の空き家で大会があって、終わった後「フリプレしようぜ!」な流れになったわけで…。
気付けば14時。そろそろお昼ごはん食べに行こっかね。

「どっかに食べに行く?お昼」

あたしは二人の顔を見て言った。

「パス。詩織の家行くわ」

松岡は手をひらひらさせて言い、武志は「別にいいぜ」と言って立ち上がった。
あたしも立ち上がろうとしたその時、空き家の入り口がまた「ガタン」と音を立てた。
そろそろこの空き家も直すなりしたほうがいいんじゃないかしら…。強風で倒壊する前にね。

「『俺がガンダムだ』月間の割にはずいぶんな人数ですねェ~」
「…?」

聞き覚えの無い声に少し驚いて、あたしは顔を上げた。
どうやら今の「ガタン」は強風のせいではなく、扉が開いて誰かが入ってきた音らしい。

「まぁ何でもいい、早く勝負しようぜ」

入ってきたのは二人。
黒縁メガネと金色のジャケットを羽織ったの体の大きい男子と、ガクランみたいな服を着て『必勝』と書いてある鉢巻をした、あたしと同じくらいの身長の男子。
見た感じあたしらとそう変わらない年みたいだけど、何か”ヘン”だ。

「えー、何か張り切ってるみたいなんですが…」
「ん?何だ?女」

あたし側にいたガクランのほうが言った。ぶしつけに。
少しいカッコいいかもとか思ったけど、うーん…初対面の娘に「女」とは何様よね。

「あーその、大会は終わっちゃったわよ?午前中に」
「なん…だと?」

あたしの言葉に二人が固まる。
なるほど、時間間違え遠征者か。ご愁傷さまね。
参加はしたけどまたも公旗に負けたあたしが言えることではないけども。

「フッ…まぁいいさ。対戦相手はいる」

ガクランの方が肩を落としつつ言った。
なるほど、金ジャケのほうのことか。来た記念に二人でフリプレでもしてけばいいよ。

「…と、言うことで。勝負だ!地元プレイヤーたち!」
「あ゛?」

あたしの頭の中は昼ごはんのことで一杯で…その選択肢は思い浮かばなかったわ。

「なんだか知らねぇけど、オレはパスな」

松岡がしらっと言った。
切り返し早いわね…じゃあ、あたしも。

「そうね。悪いけどあたしたち、これから用…」
「いいぜ!俺と京子はこの後は別に用事ないしな」

申し訳なさげに口を開いたあたしを差し置いて、武志は了解した。あっさりと。意気揚々と。

「あーもう!何この流れ!?いっつもこうよね、あんたばっかりズケズケズケズケ決めちゃってさ!?」
「…なんか用事あったのか?」

武志は、憤るあたしをポカンと見てそう一言。
そう言われるとどうしようもないから困る。お腹へってるなんて言ったらバカ呼ばわりされそうだし。

「べ、別に。いいわよ、やるわ」

あたしはため息をついて座った。

「話は…終ったか?」
「あぁ。対戦相手はクジで決めるとかでいい?」

武志はそう言いながら、さっそく黒板にアミダくじを書き出した。
こいつこういうのは早いんだよね…。まとめ役の才能っての?


クジの結果・・・あたしとガクラン、武志と金ジャケが対戦することになった。

「…なんだ女か」

席についたガクランは名前と顔が一致したようで、そう言った。
女、女、女って煉さんの「小娘」よりカチンと来るんですけど。

「あのねえ、あたしは本田京子。あんたは?」

あたしはムッとした口調でそう言ってカットのためにデッキを差し出す。

「的場剣治だ。京子…ちゃんはいくつだ?」

剣治…くんはそう言ってデッキを差し出す。「女」に変わって今度は「ちゃん」付け。急すぎるでしょうが。
年下に見られてるわけ?

「17で高2終わったとこよ。てか”ちゃん”はやめてよ」

…なんか照れるから。
って理由じゃなくて、単純にナメられてる気しかしないわ。

「ふむ。同級だし、そうだな…京子」
「はいはい。なんだかよく分かんないけど先攻後攻ジヤンケン」

あたしは噛み合わなさを感じつつも右手を出した。


つづく




txt:Y256

初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:09.03.07
更新日:10.04.14