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#62 正義の女神現る!


「なんか面倒になる前にオレは帰るぜ?」

松岡はそう言って空き家のドアを開けた。
面倒って…。

「はいはい。詩織に愛してるって言ってやんのよ?」
「うっせー」

松岡は悪態をついて扉の向こうに消えた。

「…なんだ女か」

席についたガクランは名前と顔が一致したようで、そう言った。
女、女、女って煉さんの「小娘」よりカチンと来るんですけど。

「あのねえ、あたしは本田京子。あんたは?」

あたしはムッとした口調でそう言って、カットのためにデッキを差し出す。

「的場剣治だ。京子…ちゃんはいくつだ?」

剣治…くんはそう言ってデッキを差し出す。「女」に変わって今度は「ちゃん」付け。急すぎるでしょうが。
年下に見られてるわけ?

「17で高2終わったとこよ。てか”ちゃん”はやめてよ」

…なんか照れるから。
って理由じゃなくて、単純にナメられてる気しかしないわ。

「ふむ。同級だし、そうだな…本田京子」
「はいはい。なんだかよくわかんないけど、先攻後攻ジャンケン」

あたしは噛み合わなさを感じつつも右手を出した。
勝ったのは剣治。マリガンチェックはお互いOK。
さて、どんなデッキが来るのかしら?

「あ。京子ー」
「何よ?」

剣治の最初の一手より早く、武志があたしに声をかけた。
見ると、どうやら対戦前にデッキのカードを何枚か入れ替えようとしている。

「あんた対戦前に何やってんの?対戦相手に失礼じゃん」

あたしは金ジャケをチラ見して武志に言った。

「いえいえいえ、私はかまわないですよォ」

金ジャケは半笑いでそう答えた。
武志は急いでカードを入れ替え、あたしに残った1枚のスリーブをヒラヒラと見せた。

「…何?」
「ダブルオー貸してくれよ?」
「まぁ…貸すならいいわ」

あたしはテーブルの反対側、さっきいた場所にあるあたしのカードの束を指差した。
貸すくらいならいいけど。…返してもらうの忘れそうな気もする。

「サンキュ!」
「曲げたりしないでよ?」
「わかってるって」

武志は、青色のスリーブに入れたダブルオーをデッキに加えながら、金ジャケに向き直った。
さて…

「こっちも始めましょ?」
「そうしよう。配備フェイズまで飛んで黒基本Gを配備。ターン終了だ」

剣治は黒Gをスッと出してターンを終えた。
単色の可能性も十分あるけど、赤黒とか緑黒ってことも考えられる。

まずは様子ね。

「あたしのターン。配備フェイズ、白基本Gを配備。ターン終了よ」

あたしは使い慣れた白Gを出した。

「白…か。ユニット戦が得意な色」
「そうね♪わかりやすくて好きよ、この色」

ユニットで本国を押し切る…単純明瞭で最もストレートな方法よ。

「黒基本Gをプレイ。ターン終了だ」
「じゃあ、あたしもOZを出してターン終了」

お互いにGが2枚並んだだけ。
相手も単色低速?

「ドロー。配備フェイズ、茶基本Gを配備。”正義の女神”ガンダムアストレアを配備ッ!」

剣治は茶の基本Gを並べ、黒と紫のデュアルカードを出した。
確か、基本Gが並ぶたびにデュアルカードにコインが乗るやつ。

「何もなければターン終了だ」
「えぇ、ターンもらうわ」

あたしはドローする。
部品ドロボウがデッキにあるからといって、みすみす基本Gを並べてやることもない。

「…でもこういうときに限って基本Gしかないのよね~」

あたしは白基本Gを1枚加え、プラント最高評議会を出す。
次のターンからは入れ替えで見れるカードの枚数が爆発的に多くなる。基本Gはもう並べないわ!

「OK。じゃあアストレアのテキストで、こっちのデュアルユニット1枚の上に+1コインを乗せてくれ。…まあアストレアってことになるな」
「了解よ」

剣治は少し回りくどい言い方でそう言った。
他のデュアルユニットがあるんだろうか?テキストから考えると、4国力のデュアルユニットがあっても不思議じゃない。

「ターン終了」

剣治はアストレアを起してターンを開始した。

「配備フェイズ、黒基本を配備」
「はいはい、アストレアにコインね」

あたしはそっけなくアストレアを指定する。
すでに4国PS装甲ユニットサイズになったアストレア。真面目な話、部品ドロボウが来ないと将来的にパワー負けもありえるわね…あっちは普通に考えて基本Gを並べるでしょうし。

「攻撃ステップ規定の効果、アストレアを宇宙に出撃させる」

剣治はグッと右側にアストレアのカードを移動させつつ言った。

「こっちは何もナシよ。5点受けるわ」
「次のターン…白ができることと言ったら守り専門のノワールやランチャーを配備する程度。ここは攻めだ」

その通りだけど…こうやって自信満々に言われるとアレよね。

「さあね。あたしのターン!」

あたしはプラント最高評議会を使い、手札を切り替えた後ドローする。
大方予想通りにしか動かせないわね…。

「配備フェイズ、ヴァリアブル宣言」

あたしは舌を出しながら、手札のロゴスの私兵を逆向きで場に置く。
剣治は「フッ」と鼻を鳴らした。赤黒とか緑とかの特殊Gを割れるデッキを相手にしたときは、割られそうで心配なヴァリアブルだけど…今回はある意味大活躍ね。

「中東国の支援を使うわ」
「あぁ。見たカード…当然資源もコントロール済みか」
「そんなとこ。カードを2枚手札に加えて、ランチャーストライクガンダム《20》」

守り専門とか言われちゃってるけど…あと数ターンしたら攻めユニットに変わるんだから。
あたしは場を見渡しターン終了を宣言した。

「ドローして配備フェイズだ。情報の把握を使う」

新弾の黒のドローカードだ。あたしに情報を把握させてくれるカードね♪
さぁて選びますか。

「黒基本Gと茶基本Gを表にする。さぁ選べ」

意地悪い笑みを浮かべて選ぼうとしてたあたしの前に出された2枚のカード。両方基本Gだし。
あたしの反応を見て、逆に剣治は意地悪く笑った。
むぅ。

「茶基本Gを廃棄で。もしかしてGしか来てないんじゃないの?」
「…そんなことはない」
「一瞬止まったわね?あらら~♪図星?」

2ドローした剣治はさらに止まる。
ラッキー?いくらアストレアを大きくしようが、1機は1機よ。

「…黒基本Gを配備」
「アストレアにコイン」

剣治は少し考えてからまたアストレアを出撃させた。
今度は6点。

「これも受けるわ」
「ターン終了だ」

あたしは本国を1枚ずつ捨て山に送る。
だいぶダメージを受けた。ハイマットが来たとしてもぎりぎりかな。

「あたしのターンね。最高評議会を起動、ドローするわ」

あたしは手札を入れ替える。
…来ない。

「配備フェイズ、特殊G・歌姫の騎士団を配備。そして…」
「…フリーダムか?」
「そう、フリーダムガンダム」

身構えた剣治をよそに、あたしは少し声のトーンを落として言った。
フリーダムはフリーダムでも、ハイマットではなくエクステンションブースター2の普通のフリーダム。

「フッ…危なかったぜ。そいつなら何とかなる」
「そう?このユニットは6以下の格闘値のユニットなら問答無用で切れるのよ?」
「ならばこっちは基本Gを貼るだけだぜ」

剣治は落ち着いていった。
まあそうなるわね。でもランチャーストライクがあるからしばらくは相打ち状態で膠着。あとは切り札クラスが来れば…。

「俺のターンを始めるぜ!ドロー…よし」

ドローするなり、剣治は声を上げた。
ユニットが来た…?

「ガンダムアブルホールをプレイ」
「アブ…なんですって?」

そういやそんなユニットいたっけね。
確か高機動と部隊を守るテキスト持ちの。

「捨て山が2枚…宝物没収をプレイ。捨て山から2ドローだ」
「了解よ」

アブルホールは少し厄介ね。
ランチャーストライクで打ち落とせないし、フリーダムはアストレアとにらみ合い…何か欲しいところね。

「黒基本Gをプレイ。さぁどちらにする?」

剣治はそう言って自分のユニットを指す。
今引いたのか、それともあたしのミスを誘ってるのか…アブルホールに乗せるわけないわよ。

「アストレアで」
「フッ…だよな。アブルホールは対処できないからな」
「そう…でもないわよ?」

あたしはグッと手札を握る。
アブルホールは配備エリアにいるときに焼くか、交戦で圧倒するのが撃破の条件。
幸いあたしのデッキでそれは案外容易そう。膠着したら1枚1枚のユニットパワーで確実に場を巻き返してやるわ!

「白は大型ユニットでの制圧が得意…ならば見せてやろう。攻撃ステップ規定前!」
「…?」
「異なる時を刻む物語!4以上の合計国力を持つユニットを持ち主の手札に戻す!」

剣治のユニットは全部3国…対してあたしのユニットは4国と5国!…しまった。

「…わかったわ」
「ユニットは大きければいいというもんじゃないぜ」

剣治はエラそうに言った。
じゃあそのコインいっぱい乗ったアストレアはなんだっての。
剣治はさらに手札のカードと睨めっこ。まだ何かあるわけ?

「さらに、X=6で報道された戦争!巻き返す暇は与えはしない。手札リセットだ」
「な…」

ユニット2枚が戻り、枚数が6枚にもなった手札を確認してたあたしは固まる。

「フッ…まぁこんなものか」


<一方、武志は…>


「相変わらずチマチマ展開しかできないのかねェ、剣治君はァ」
「うちの京子もいつも通り大雑把で」

俺は京子を横目で見ながら言った。
”うちの”とか言える立場じゃないけどよ。

「そう言えば自己紹介がまだだったねェ。私は金田持継。名前の通り金持ちさァ」
「藤野武志です」

メガネのフレームを上げつつ言う金田さんに、俺は適当に相槌をうちつつ名乗った。
名前の通りってスゲーな。カードとかもたくさん持ってんのかな?

「そうか、武志君。金持ちキャラって性格アレな奴が多いけど…ホラ、見ての通り僕は”マトモ”だから安心してくれ」
「…」

マトモ…ねえ。
まあいっか。さ、対戦しようぜ!

「じゃあ先攻後攻はジャンケンで!」
「そうだねェ」

俺は左手を出した。


つづく


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txt:Y256

初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:09.03.12
更新日:10.04.14