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#74 エクシアを越えろ


「なんかやる気出てきたかも!」と張り切ってはみたものの、次の日から武志は風邪で学校休むし、カキヨでは週末大会はないそうだ。
公旗に遠征連れて行ってもらおうにも連絡先なんか知らないし…。

地区予選にはエントリーしたし、持っていくデッキ――いや必然的に”あれ”しかないんだけどね――も決めたんだけど、あと2週間くらい時間はあるんだよね。
来週はカキヨの大会があるとして、さて今週はどうしたものか。
一人で遠征?ないない。

「本田ー!リベンジだっ!」

教室の扉を勢い良く開けて入ってくる剣治。
あたしと談笑していたクラスメイトが「”また”来たよ?京子の追っかけ」とあたしを小突いた。

「ミキ、あんたそんなこと言ってると、こないだの土曜日見たこと喋っちゃうよ?」
「は?…京子いたの?てかもう喋ってるし!」
「えー何なに?京子何見たの!?」

あたしは意地悪い笑みを浮かべて立ち上がり、剣治から見えるように顔を出した。

「フッ…そこにいたか、本田京子。今日こそ…」
「はいはいまた今度…」

あたしの顔を見るなり「リベンジ!リベンジ!」と顔を輝かせる剣治に、あたしはいつもの台詞を言いかけて…閃いた。
そうだ。こいつがいるじゃない!

「どうした?」
「ううん。そういやリベンジも悪くないわね」

あたしは一人納得して、剣治を見た。

×××

「これがリベンジとどう関係あるんだ?」
「大アリよ。お互い勝ち進めば上であたるっしょ?リベンジはそのときにでも♪」

あたしは受付にお金を出しながら言った。
剣治は首をかしげているが、大会に参加することには異論はないようだ。

ここは伊達よりも3駅ほど県北にあるカードショップ。名前は良く見てこなかったけど…カタカナの名前だったはず。
あたしと剣治はここで開かれる大会に遠征しにきたってわけ。

「君カワイイね。何?遠征者?今からどっかお茶しに行かない?」

受付を済ませたあたしたち――というかあたし?――に赤髪の青年が声をかけててきた。
さっきまで対戦スペースでだべっていた連中の一人みたいだ。ここの身内ってわけね。

「そうですけど」

”カワイイ”なんて久しく聞かないフレーズに少しドキッとしながら答える。
と、そこで突如剣治が一歩前に出て、視界の”学ランの黒”が覆う面積が大きくなる。

「あ?なんだ、学ラン野郎」

あたししか見てなかったとかいいたげに、青年は剣治を値踏みするように見た。

「俺たちは対戦しに来たんだ。今からどこかに行くだと?お前はバカか?」

剣治はしらっと、だけど挑発的にそう言った。
男は「あァん?なんだとォコラァ!?」とかなんとか言って凄む。

「ちょっと…喧嘩は止めなって」

雰囲気が最悪になりかけたので、止めに入るあたし。
でも…聞く耳ももたなそうだ。

「そこまでだ。せっかく来てくださった遠征者に何をしてるんだ」

これまたここの身内っぽい人登場。
黒眼鏡に落ち着いた色合いの服装。さっきの凄んでる青年とはまるで正反対だ。

「矢田部さん…すんません。そっちのコがタイプだったんでつい…」
「またそれか。ちゃんと謝るんだ…もうすぐ大会が始まる」

そう言って矢田部なる人物は対戦スペースのほうに戻っていった。

「すんません」

男はあたしに軽く頭を下げた。
なんか急にいい人に見えた。

「だが…学ラン。てめーはダメだ。大会で当たったらギタギタにしてやんよ」
「フッ。いいだろう。うちのアストレアにかなうわけはないだろうが」
「あァん!?」

…前言撤回。
二人がまた陰険なムードになったところで対戦表が発表された。
あたしの1回戦の相手は…さっきの矢田部なる人物だ。

あたしは指定された席につく。
向かい側には既に矢田部が座っていた。

「矢田部清五郎だ。本田…京子ちゃんでいいのかな?」
「はい」

矢田部は紳士的な態度でさっきのことを詫び、先攻後攻のじゃんけんを申し出た。
じゃんけんの結果、あたしが先攻だ。

「配備フェイズ、白基本Gを配備。ターン終了です」
「白か…。白は最近強いからね、用心しなくては」

1回戦開始の合図と共に、あたしゲームを始める。
矢田部は軽く頷いてターンを開始した。

「配備フェイズ、青基本Gをプレイ」

あたしは許可を出す。
出た、青デッキ。アストナージや7小隊ジムを有する現環境で1、2を争うほどの強勢力。
もう1色は何かしらね…?

「ターン終了です」
「…はい」

ジムもアストナージもナシ…か。
あたしは内心ほっとしてターンをもらう。
先攻といえど、1ターン目からバシバシ殴られっぱなしのゲームは辛いからね。

「白基本Gを配備でターン終了です」

あたしはさらっと手札からGを出し、そう告げる。
まだ白の2ターン。なにかか考えてもしょうがない。

「僕のターン。ドローして配備フェイズ、緑基本Gをプレイしますね」
「了解です。青緑…ですか」
「ええ。青赤とかかと思いました?ではさらに…」

あわわ…Oガンダムかな?
矢田部は気さくに笑って、手札を数える。

「ターン終了します」

あたしは思わずふきだす。
さらにって言うから何かと思った…。

「あたしのターン。配備フェイズ、OZをプレイします。んで、バックホームをプレイ」
「なかなかいい動きしますねー。了解です」
「でしょ?次のターンはは4国ユニット出せちゃうかも♪」

あたしはそう言って笑いながらターン終了を告げる。

「では、こちらも動かせてもらいますよ。配備フェイズ、緑基本Gをプレイして…イナクト(デモカラー)とアストナージをプレイ」

意気揚々とアストナージを青Gにセットする相手さん。
これで戦闘配備のイナクトが攻防に活躍できる状況。

「戦闘フェイズ、攻撃規定の効果でイナクトを宇宙に出撃させます」
「了解です。4点通しです」
「では、帰還させてターンを終了します」

バックホームでハンガー2ドロー。イナクトと相打ちで相手も2ドロー。
引いてる枚数と失ってるユニット枚数は五分と言いたいけど…それじゃなんか相手の思い通りになってる気がする。
あたしはそんなことを考えながらドローする。

「あ…問題解決」
「…?」
「配備フェイズ、白基本Gを配備してこのカード」

あたしは今引いたばかりのユニットを配備する。
本当に出せちゃったよ4国ユニット。

「ランチャーストライクガンダム《20》!このカードで配備エリアからイナクトを狙い撃ちです」
「なるほど…相打ち策はダメですか」

あたしは頷き、バックホームを手に取る。

「攻撃ステップ規定行きます」
「では、規定前にこのカードを」

矢田部は、意気揚々とバックホームを手に取ったあたしの眼前に1枚のカードを差し出す。

「ガンダム破壊命令?」

あたしはぽかんとして差し出されたカードを見る。

「そうです。ガンダム破壊命令、このカードは『名称:ガンダム』のユニットにエリア不問で4点のダメージを与るコマンド」
「…わかりました。出撃前にバックホームは破壊されます」

あたしはしぶしぶジャンクヤードにバックホームを移す。
4ターン目にして、未だ攻撃に移れないことにすこしイラっとしながらターン終了を宣言する。

「僕のターンですね。配備フェイズに青基本Gをプレイして、政治特権をプレイします」
「了解です」

もう00ユニットのコストを払えるGの並び。ランスト1枚で抑えられるのはイナクトが限度なんだけどなぁ…。
矢田部は政治特権を解決して緑Gを切る。

「ランチャーストライク…厄介なカードですね。青や緑のユニットでは超えられません」
「ですよね。一種の耐久3までのユニットへの出撃規制みたいなもんですし」

それでもイナクトで2ドローのために出撃します?
あたしは内心そう呼びかけ、相手のアクションを待った。

「理想に仇なすものをプレイします」
「…っ」

相手は何食わぬ顔だけど、これは厄介。
こっちの配備エリアにあるカードのテキストは起動に資源2が上乗せされる。
ランチャーストライクもそうだけど、後半のミーティアやインジャまで牽制できるカード。

「では、準備も整ったので出撃したいです。イナクトを宇宙に」
「はい…」

要はこっちが4点通すが、2資源で相手2ドローか。
ならユニットを破壊するほうを優先するに決まってるわ!!

「防御ステップ、構わずランチャーストライクは資源2でイナクトを破壊します」
「了解です、破壊されたので2ドロー入ります」

うーん…これでまたイナクトとか言われると困るのよね。
資源死するまえにハイマット置かないと。

「ターン終了です」
「あたしのターン!中東国の支援で2ドロー」
「了解です」

あたしはカード2枚を手札に加え、5枚目の白Gを配備する。
ここからこっちの攻撃が始まるわ!

「フリーダム(ハイマット)をプレイ!攻撃に入りたいです」
「了解。ここからゴリゴリですねっ?」
「YES!ハイマットを宇宙に!」

あたしはハイマットを出撃させる。
青緑は青赤と違って来訪者がないのが救い。このまま今までの借りを返させてもらうわ。

「6点通しです。まずいですね…ここまで順調に回られるとこっちもいっぱいいっぱいですよ…」
「6点回復しますね」

参ったという顔の相手に、あたしはニッコリ微笑む。
あたしのデッキは攻撃に転じれば00ユニットでも圧倒する自信はあるんだから。

「帰還してターン終了です」
「僕のターンはドロー前、このカードからスタートです。急ごしらえ!」

少し語尾があがる矢田部。
こっちの行け行けムードを察してかな?

「さらに規定ドロー…まずいです。”守り”のカードしかありません」
「守り…ですか」

相手は残念そうにそれだけ言ってターンを終えた。
手札はMAXの6枚。全部守りのカードなわけ…?

「あたしのターン。配備はなしで、攻撃に入りたいです」
「了解です」

この雰囲気はガンダムエクシア《19》かな?たぶん。

「引き続きハイマットを宇宙に!」
「防御ステップ、ハイマットのエリアに…」
「エクシアですね?」
「はい、エクシアです」

相手はエクシア――優勝者に配られるSP70のほうのエクシアだ!――をハイマット側に出し、資源1を払い格闘*の修正をハイマットに与える。
でもこっちだってダテに5国のPSXユニットじゃないんだ。勝てはしないけど、エクシアごときに負けもしないわ!

「何もなければこのまま帰りたいですけど…?」
「ええ…こちらもそのほうが」

お互いユニットを戻す。
あたしはターン終了を宣言し、矢田部はドローする。
…手札全部守りカードとか宣言しといてエクシア1枚とか渋りすぎじゃない?

「攻撃ステップ行きたいですが」
「了解です」
「エクシアを宇宙に」

またアストナージのリロールテキストで攻防一体か…。
なるほどハイマット1枚で突破は難しい。だとすると、本国があんまり減るもの好ましくないわね…。

「ランチャーストライクを防御に出撃させます」
「では防御ステップ規定後、とりあえずエクシアはテキストを起動します。ランチャーの格闘を*に」
「はい…このまま討ち取られます」

あたしはランチャーストライクをジャンクに送る。
相手はターン終了を宣言した。

「ドロー…配備フェイズ、ハッキングをプレイします」
「了解。ここで来るのはウイングゼロかキャラですかね」
「そんなとこです」

あたしは3枚…基本G、基本G、レイの中から即決でレイを手札に移す。
これで単騎でエクシアを突破できる。2枚目のエクシアがあっても余裕!

「攻撃ステップ、ハイマットを宇宙に!」
「了解です、規定後…」

アストナージでリロールまでは解る。
その後はどう来る?この回復のビッグチャンスを素通しはないはずだ。なにせ、手札が全部守りのカードなんだからね。

「エクシアをエクシア(セブンソード)に換装します」
「…!?」
「そしてエクシアを再介入、アストナージでバルチャーを付加したセブンソードを防御に出撃」

なにが”アストナージでリロールまでは解る”よ自分。
口に出してなくてよかった…。

「ダメージ判定ステップに行きたいですが?」
「いえいえ、防御ステップ規定後。セブンソードにツインバスターライフルをプレイ!」

あたしは流れるように手札からコマンドを出す。
ユニット1枚に5ダメージ。それだけ。でも強力!

「了解です、セブンソードが落ちて…交戦でエクシアが落ちますね」

矢田部は少し残念そうにエクシアをジャンクヤードに送った
よし!
あたしはグッと拳を握ってターンを終了する。


つづく


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txt:Y256

初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:09.05.15
更新日:10.04.14