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#76 審判を下す者


赤髪野郎は「クソが」と毒ついて場のカードを片付け始める。

「なんだ、終わりか?」

俺は相手の顔を見て言ったが、相手は「スコアシートは勝手に書いとけ」と言って立ち上がった。
負けを負けと素直に認められないのか、この男は。

「フッ、タメGを並べていい気になっていたオマエが悪い」
「うるせェ、しかたねェだろ!タコ」

俺は奴の言葉を聞き流し、スコアシートを書く。
軽く見渡す限り、どうやら他の試合はまだ終わっていないらしい。

俺はそのまま椅子に座って他の対戦が終わるのを待つことにした。



「剣治勝ったの?」

少しして、本田京子が――試合が終わったのだろう――俺に声をかけてきた。
やけに機嫌がいい顔。これは勝ったのだろうか。

俺は少し分析しつつ「当然だ」と答えた。

「今日もアストレイデッキなわけ??」
「その質問には答えられないな…リベンジする際の足かせになりかねない。ちなみにアストレ”ア”だ。”イ”じゃない。」

本田京子は「はぁ」と言って苦笑した。

「第2回戦の対戦相手を発表します」

さっき俺と赤髪と仲裁したおっさんが対戦表を張り出した。
ん?こいつはプレイヤーじゃなかったのか?…いや、常連で運営というわけか。

俺はそう思いながら対戦表を見る。

「お」
「…あ」

俺と――俺の前で対戦表を見ていた――本田京子が同時に声をあげた。
なんだ。早々に来たじゃないか…リベンジのチャンスが!

「まさか本当に当たるとはね」

席に着くなり本田京子は苦笑した。

「願ったり叶ったりだ。本気で行かせてもらうぞ」
「どうぞご勝手に」

上着を脱ぎ、鉢巻を締め直す俺。
本田京子は先にデッキをシャッフルしだした。

こいつが使う白ユニットは、どれも1枚で戦局を左右できるほどのユニット…対して俺が使う黒の00ユニットはサイズは正直自慢できるものじゃない。
ならば、こちらが勝つには必然的にパワー以外の”何か”が必要なわけだ。

前回は敗北したが、今回はそうはいかない!

「「じゃんけん!」」


×××


「白基本Gを配備してターン終了よ」

本田京子はそう言って、先攻1ターン目の終了を告げる。

「俺のターン、ガチ党を張ってターン終了だ」
「あれ?基本Gじゃないんだ。アストレ”ア”的には基本Gじゃないと困るのに」

本田京子はそう言って首をかしげた。
肩にかかった黒茶の後ろ髪が揺れる。

「フッ…俺がいつまでも同じ仕様のデッキを回してると思うなよ」

俺は小さく笑って手札に目配せする。
アストレア《21》は確かに好きなユニットだ。だが、このデッキではテキストが生きない。

「ふーん…松岡にボコボコにされたからとかじゃないの?」
「っ…違うぞ。違う」
「そう♪あたしのターンね」

本田京子は場に視線を戻し、本国の上のカードを手札に加えた。
「白基本Gをプレイしてターン終了よ」と言ってこっちを見る。

「だろうな。そのデッキがそこまで早く行動を起せるわけがない」

俺はターンを開始する。
ガチ党1枚ではデッキのスタイルなど判断しようがあるまい。見せてやる…今回の色を!

「赤基本Gをプレイ」
「赤…って赤黒?」

本田京子は髪をいじっていた手を止め、少しいやそうな顔をする。
なんだ?赤黒は嫌われ者なのか?

「そうだ。黒赤00だ。…と、プトレマイオスをプレイする」
「…は?」

本田京子は俺が出したユニットを見るなり「ゴメンゴメン、なんか勘違いしてたわ」と言って笑った。
その笑顔を見て、俺はふと藤野武志がこの子のことを好きだと言っていたのを思い出した。…確かにいい笑顔だ。

「おい、あんまり笑うな。ターン終了」
「ふふっ…はいよ。じゃぁあたしのターンね」

本田京子は手札からロゴスの私兵を3枚目の白Gとしてヴァリアブル展開し、さらに手札のカードを表にした。
バックホームか…?

「中東国の支援」
「了解」

本田京子は2枚カードを引き、途端に少し残念そうな顔をしてターン終了を告げた。
バックホームは来なかったようだな。

「ドロー。配備フェイズ、ガチ党を起動する」
「うん」

俺は赤の基本Gを表にしてそう宣言した。
これで黒2G赤1G…!

「まずは密約をプレイ。対象はもちろん俺だ」
「知ってる」

手札にカード2枚を加え…いい引きだ。
俺はすぐさま手札のカードを出す。

「ガンダムサダルスード!」
「また嫌なカード引っ張ってきたわね…」

ガンダムサダルスードは、戦闘ダメージを通すたびに敵軍手札をハンガーに移せる00Pユニット!
白の3ターン目にこのカードを明確に落とせる方法は存在しない!

「そしてこれが…」
「まだ何かあんの?キャラ?」

自信満々に更なるカードを手に取る俺の顔を見て、嫌がる本田京子。
ああ…これがコンセプトだッ!

「アフリカ独立解放戦線!」
「!?」

本田京子は少し目を見開いて「なるほどね」と言った。
意外に驚かないな。白はこの手のロックデッキが苦手だとばかり思っていたが…。
まあいい。

「戦闘フェイズに入ってもいいか?」
「いいわよ」
「じゃあ、プトレマイオスの効果でサダルスードをリロール、この2枚で宇宙に出撃だ」

プトレマイオスはテキストでサダルをリロールさせているから射撃1。
これでロックの開始だ!

「4点ね。通しよ」
「まずは白基本Gに解放コイン!さらに手札を1枚選んでこっちのハンガーにもらおうか」
「うーん…じゃあ、はい。フリーダムミーティアあげるわ」

サダルスードのハンデスでミーティアを送る…か。
俺は「ターン終了だ」と言い、考える。

「あたしのターン、白基本Gを配備して…初手から握ってた相性のいいカード!」

本田京子は「じゃーん!」と言ってランチャーストライクガンダムを出した。
あの余裕はそのカードから来るものか…だがあれは前回アブルホールの前に無力化したはず。覚えていないのか?コイツ。

「これで少なくともサダルスードはうかつに動けない。ハンドも安心よ」
「そういうことか…」
「そういうことよ。ターン終了」

俺は2枚目の赤基本Gを出す。
ランチャーストライクか…強力なテキストではあるんだか、どうも俺の00Pユニットはあれに相性がいい。

「このユニットをプレイするぞ。…”審判下す者”ガンダムプルトーネ!」
「プル…トーネ」

効果無効と破壊時の本国サーチを兼ね備えた第4の00Pユニット!
効果無効のテキストは、ユニットのプレイ以外ならコマンドの効果さえ消すことができる強力な効果だ。

「プトレマイオスでプルトーネをリロール、地球にサダル、宇宙にプルトーネとプトレマイオスを出撃させる!」
「っ…厄介なテキストね。少し考えさせて」
「ああ」

ロールをコストとするランチャーストライクのテキストは、同じくロールで無効化できるプルトーネがいるこの状況では無力。
となると、通常交戦でどちらかを取りに来るのが普通だろうが…本国サーチのプルトーネか、友軍へのコインのサダルかを選ぶ場面か。

「いいわ。地球…サダルスード側に出撃するわ」
「テキストは」
「使うわけないっしょ」

本田京子は口を尖らせた。
ノワールだったら危ないところだった。あのユニットはロールもせずにこっちのユニットを撃ち落としてくるからな…。

「このまま通常交戦でサダルスードだけが落ちる。が、ダメージを与えたからそっちの手札をハンガーにもらう」
「しかたないわ…ツインバスターライフルあげる」
「そしてサダルスードが場から離れ、ハンガーのカード2枚を廃棄して+1コイン2枚をプルトーネに」

これで4国のPS装甲や00ユニットに匹敵するサイズ。
アフリカ独立解放戦線を起動し本田京子の白Gにコインを乗せターン終了を告げた。

「正直キビシイわね…」
「そうだろ、やはり白や00などの指定が重いユニットを有するデッキはこれに弱い」

本田京子は軽く頷き、ドローする。

「げっ…G来ないし。とりあえずランチャーストライクを再びプレイするわ」

本田京子は前のターンPS装甲の効果で手札に戻っていた”もはや無力な”ランチャーストライクを再び場に出した。
5G目を切望していたところを見ると、手札にあるのはウイングゼロかハイマット。早めにロックを完全にする必要がある…か。

「ターン終了よ」
「では俺のターン…フム。ここは追加戦力で一気に解放できればいいんだが、どうしたものか。戦闘フェイズに行きたいぜ」

俺は考えるそぶりもせず、引いたばかりのコマンドを手札に加え、+2されたプルトーネとプトレマイオスを宇宙に出撃させた。
ランチャーストライクでプトレマイオスを破壊しようとしても、プルトーネで無効化後プトレマイオスでリロールが可能なこの部隊に対抗できるか?

そもそも手札は5国力ユニットとバレてるわけであるし。ここはランチャーを撃破させてもらう。

「ランチャーストライクを防御に出すわ。好きにして」
「では普通に破壊させてもらおう」

本田京子は素直にランチャーストライクをジャンクヤードに送る。
次のドローに全てを託した。というわけだ。

「ターン終了」
「あたしのターンね、ドロー!」

本田京子の声に力が入る。

「よっしゃ!2枚目の中東国の支援!」

引いたカードをそのままビシッと音を立てて場に出す彼女。
いい引きだ。それでこそリベンジする意味があるというもの!

「2ドローで、待望の白基本を配備…」
「カットインだ!」
「…!」

配備フェイズに3枚目の白Gなど揃えさせるか。

「尊き御言葉!解放コインのない白基本G1枚のテキストを無効化!」
「ちょっ…えー!?」

白2G紫2Gに何ができる?

「ターン終了よ。うん」

本田京子はガッカリした声を出す。

「ここで決める…!」

ターンを始める俺。
ドローしたこのカードは…決まった。

「配備フェイズ。さっきテキスト無効にした白Gに、今度はこのカードをセット!」
「えー止めてよ、そういうの!」

察しがいいな!

「幻のコロニー!これでその白Gも紫だ!」
「これだからロックは…一方的じゃない」

膨れっ面の本田京子。
だがこれはリベンジ!手を抜くわけにも行くまい!
俺はプルトーネとプトレマイオスで部隊を組み口を開く。。

「そして審判は下る!京子のGはヴァリアブルを除いて紫にロックされるとなッ!」

ヴァリアブルの白Gのみになれば、あとは毒牙を引くなり、白2Gに固定できたりこっちの思うままにゲームをコントロールできる。
いや、ハイマットが出せなくなる時点で終わりか?

「ふふん♪させますかっての!デュエルガンダム!」

!?
本田京子は流れるように手札からユニットを出した。
中東国で引いたカードのほう一方はそれか…ウイングゼロも出せない国力で油断した。

「防御に出て、そのプルなんたらと相打ちしたいわ」
「プルトーネだ!…しかたない」

5ダメージを受け、破壊されるお互いのユニット。
だが、俺にはプルトーネのテキストがある!

「プルトーネが破壊されて廃棄されたので、本国10枚をサーチ…」
「また同じのでも引っ張ってきたら?」

10枚見て、毒牙はないか。ならば…。

「ハンガーにガンダムアストレア(タイプF)を移す」
「いるじゃん、アストレア。赤いけど」

本田京子はハンガーに移ったアドバンスレア仕様のカードを見てそう言った。

さぁ…後半戦を始めよう。


つづく


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txt:Y256

初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:09.05.29
更新日:10.04.14