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#83 ガイジンのコンボ


戦場の鈴音でハンガーに移ったカードは、隠された翻意とイリア・パゾム《1》。
あたしはその時になって初めて気付いた。あたしが戦ってるのは赤黒00なんかじゃない!
これは…

「外人さんの…自爆ジオ!?」

あたしは頭を抱えてそうつぶやいた。
いや外人とかそういうの関係なく、こういう大きい大会はコンボなんてそうそう出てこないっていう先入観がどこかにあったのかも。

「オイ?今”ガイジン”言ッタナ?」
「…あ、すみません」

あたしは反射的に謝る。
けど、相手さんは聞いてすらいない…。

「ドイツモコイツモ、見ルナリ”ガイジン、ガイジン”言イヤガッテ!」

相手さんは「クソ!クソ!」と言ってテーブルをドンドンと叩いた。
近くの席で対戦していた参加者たちが一斉にあたしたちのほうを見る。
「ガイジン」って禁句だったみたい…。

「ちょ…落ち着いてください」
「フン、イイデショウ。…1コスト、隠サレタ翻意ヲシマシテ、ターン終了デス」

敬語みたいな片言日本語だけど、口調はキレてる。
あー…めんどくさいなあ。

「あ、ノワールを空ブロックさせて、そちらのターン終了時に手札に戻ります」

相手さんが黙って許可を出したから、あたしはノワールを手札に戻してターンを始める。
PS装甲でデュオが戻ることを忘れてたのかしら?隠された翻意を出すなんて。

「ドロー」

まず翻意を破壊しなきゃ話にならないわね…。

「ストライクノワールを再びプレイします」
「了解デス」
「と、デュオも乗せたいです…?」

あたしはノワールを出した直後に、質問口調でデュオを表にした。
さっきは通ったけど、今度はどう?
おそらくPS装甲で戻るのを忘れてたんじゃなくて…。

「作戦ノ看破ニテカウンターシマス」
「はい」

まあそんなところでしょうね。
あたしはハンガーのロゴスの私兵を出し、次の策を考えた。
自爆ジオとの対戦経験は無いけど、どういうデッキかは知ってるつもり。

リロールフェイズに「踏みにじられた思い」で相手のハンドを空にして「ジ・オ《BB2》」を出し、それを「イリア・パゾム《1》」で破壊してテキストを起動、本国を0にするコンボだ。
多少違うギミックを搭載してようが、キーカードは3枚。そのいずれかを阻止すれば、本国に攻撃を通せなくても最終的には勝てる。

「戦闘フェイズ、ダメージを与えられなくても出撃自体にメリットがあるから出撃ね…」

あたしは独り言のようにそう言って、バックホームを戦闘エリアに出撃させ、相手も何も無いことを確認して帰還させた。
ハンガーに送られたカードは…残念。ウイングゼロだ。

「ターン終了です」
「ドローシマス」

相手さんは翻意の維持コストを払って、”ドローする”。
リロールフェイズに踏みにじられた思いはない…つまりこのターンのコンボはない!

「配備フェイズ、黒基本Gヲ配備」
「…6G目ですよね?」
「ハイ、見レバワカルデスヨネ?」

あたしは相手のその返しにイラっとしらながらも、嫌味ったらしく「カットインで」と言った。
今できる対抗策はこれくらい。

「戦場の異分子をプレイしたいです」
「What?」
「このカードは、そちらの手札を見てユニット1枚をそちらの配備エリアにリロール状態で出すコマンドです」

そしてそのユニットはターン終了時にゲームから取り除かれる!
テキストを一通り読んだ相手さんはあたしの顔を見て英語で何かひとしきり怒鳴った――たぶん「ふざけんなバーカ」みたいなこと言ってたんだと思うけど――後、手札を全部見せた。

その反応どおり、手札にはジオと踏みにじられた思いがあった。
ギリギリセーフ…!きっとどっちかをこのターン引いたのね。何もしなきゃ次のターンで死んでたわ…。

「じゃあジオ出してください。出撃しても大丈夫ですよ?」
「シマスト思イマスカ?」

思いませーん。
あたしは首を振って、相手さんがターンを終了するのを待った。ジオを取り除くのを。

でも逆に、相手は未だリーチ状態。あと1枚揃っただけで負けだ。
踏みにじられた思いを1:1で無力化できる切り開く力あたりがどうしても欲しい。

「ターン終了デス。ジオハリムーブシマス」

あたしはホッと一息ついて、ターンを開始する。
ドローは部品ドロボウ。これは自爆ジオ相手に”手札にあるんじゃ”意味がない。

「ハンガーからフリーダムハイマットをプレイ。戦闘フェイズに入りたいです」
「了解」

さっきと同様に、バックホームを出撃させるだけの作業だけどね。
ハンガーに移ったのは…ブロックワード。

「っし。ツイてる!」

ここに来てコンボ殺しのこのカード!
次のターンで勝負を決めに来る可能性はきわめて低い。つまりこのカードを出す時間はあるわね?

「ターン終了」
「絶対自爆サセマス。ゼッタイ」

そう言いながら相手さんは翻意の資源を払う。本国は結構な薄さ。
次のターンには翻意の資源は6になるけど。耐えられるかしら?それに、耐えたとしてもトップドローは過去に内部調査で送ったカード。望みは無いわ。

「配備フェイズ、司令部ノ移送プレイ」
「あーなるほど」

そういえば、さっき手札見た時にあったっけね。そんなん。
ジオと踏みにじられた思いに気を取られて忘れてたわ。

「ターン終了デス」
「あたしのターン」

ハンガーにいったブロックワードに関して、相手さんはさっきからノーコメントだ。
でも、チラチラ見てるのバレバレよ。このカードがエンドカードだってどっちもわかってる。
手札にきちんとカウンター握れた?

「配備フェイズ、ハイマットにレイ《18》をセット、続いてハンガーのブロックワードをプレイするわ」
「了解デス」

意外とあっさり。

ゲームは終わった。

見かけ続いてるけど、レイでブロックワードを守れる現状、相手はジオと毒牙2枚を引かなきゃ勝てない。
2ターンで翻意は6+8=14もの”打点”を出す。その間にそのカードたちを引くのは到底無理じゃないかしら?
黒い覇道みたいな古典破壊カードがあればブロックワードを1枚で落とせたでしょうけど。

「ターン終了です」

Gをハンガーに送ったバックホームを帰還させつつ、あたしはそう告げる。
相手さんは内部調査を使っては首をかしげ、6資源で翻意を維持した。


つづく


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初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:09.07.02
更新日:10.04.14