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#97 詩織のヘチマ


「民意の獲得を使います。本国の上のカード2枚を見て…赤基本Gを手札に」

私はそう宣言して、手札に赤の国力カードを加える。
対戦相手の未来さんは「フン…さかしいサーチカードだなッ」と言って鼻を鳴らした。

「手札に加えた赤基本Gをさっそく出して、ギラ・ドーガ《7》をプレイします」
「…ん?」

未来さんは私のギラ・ドーガを見て眉をひそめる。
ギラ・ドーガになにか問題でもあるのかな…?

「主力ユニットですよ、ギラ・ドーガ。私のターンを終了して、ギラ・ドーガのドローもらいます」
「ハッ、主力ねぇ」

未来さんは「アタシのターンだよッ!」と言って、勢い良く本国の上のカードを引く。
前のターンまでに未来さんが場に並べたのは、青基本G2枚と緑のコイン貯蓄国力『対ガンダム調査隊』の3枚。
早ければ次のターンで紫のユニットが出てくるかな?

「新弾の緑特殊基本G、特別隊員をプレイッ!これで…」
「国力が2ずつですね」

あたしは小さく息を吸い込み、そう口にした。

「詩織ちゃんだっけ?可愛いね、ギラ・ドーガもアンタも」
「は、はぁ」

唐突にそう言って笑う未来さんに私は苦笑する。
「食べちゃいたいよォッ!この…ガンダムヴァーチェでねッ!」

2資源を払い、起きた状態で出てくる紫のユニットカード。
京ちゃんの使う白ユニット並みに大きく、そして効果は勇君の使う黒みたいに破壊的なカード。

「戦闘フェイズ、ヴァーチェを宇宙に!」
「…はい」

未来さんはノリノリでガンダムヴァーチェを出撃させる。

「食べさせませんよ、きっと美味しくないですし。防御ステップ、撤退命令をプレイします」
「ッ…チィ!ヴァーチェは手札に帰るよ。次のターン、覚えてろよ」

捨て台詞を吐きながらターンを終える未来さんに、私は「リロールフェイズ」と宣言してギラ・ドーガを起した。
配備フェイズに民意を使って、本国の上2枚はこれ…か。
よし、多分大丈夫。

「Gカードはありませんでした。手札から赤特殊国力、黒の部隊をプレイします」
「さー4G目だ…ノーティラス?Rジャジャ?」
「まず、密約をプレイします。私が2ドローで」

手札に加わったのは、もちろんさっき見た2枚。

「戦闘フェイズに行きたいです」
「ハンッ。ユニットはなしかい」

「ギラ・ドーガが攻撃に出ます」

私はそう言いながらギラ・ドーガを何センチか前にスライドさせる。
振り向きながら出撃するそのイラストは、まるで『戦いになんて行きたくないよー』と言ってるみたいだ。

「3点など受けるよ」
「3点でも十分ですよ、私は」

生意気言ってるみたいに聞こえるかもしれないけど、本当の話だよ?
だって相手の妨害を受けなければ、3点ずつだって確実に勝ちに近づいてるもん。

「ターン終了です」

未来さんはターンを開始する。

「政治特権をプレイ後、ヴァーチェを再びプレイィ!」

未来さんは2ドロー後に手札から国力を廃棄して、再びガンダムヴァーチェをプレイした。
よかった…私の思ったとおり、またこのユニット。

「プリベント…付いてますよね?ガンダムヴァーチェ」
「あったり前でしょ?昨今はプリベントが溢れてるからねッ!」
「はい。カットインお願いします」

私は毅然と手札のカードを表にする。

「ラプラスの箱…このカードでガンダムヴァーチェを無効にしたいです」
「…対プリベントカウンターかッ!」

新製品の発売キャンペーンで配布されたカウンターカード。
私はクジ運が悪いから、これは勇君が当ててくれたやつなんだけどね。

それにしても、カウンターに耐性をつけるためのプリベントなのに、それを逆手にカウンターされちゃうなんて、なんか変な話だよね。

「ターン終了だ」

未来さんはそう言って、手札をテーブルに置いた。
他のユニットはなし。

「私のターンですね。ドローして…」

私は配備フェイズ開始宣言と、民意の獲得からの赤Gプレイ、そしてフェイズの終了をとんとん拍子で宣言した。

「このままターンを終了したいです」
「いいわッ!アタシのターンッ!リロールに急ごしらえをプレイッ」

ドローして、場にすばやくGを並べる未来さん。
わざわざここまで国力をたくさん並べるんだから、大きい国力のカードがある…?

「…5枚も赤G並べて涼しい顔とは、あんた赤中だね。待ちのギラ・ドーガもマジ怪しいッ!」

ケタケタ笑う未来さん。

私はそこで確信した。
きっとこの人普通のときと対戦中とでは別人格なんだ!
前に本で読んだよ、多重人格。

「でも、赤中ごときのユニットなど、この…ガデッサ(リヴァイブ機)の敵じゃあないねッ!」

ベチンと音を立てて手札から出るユニット。
金色に反射する箔が押された綺麗なカードだ。

「テキスト確認させてもらってもいいですか?」
「ああいいよ。しっかり見なッ!」
「…なるほど」

私は小さく頷いて、差し出されたガデッサのカードを返す。
ダメージ効果と移動効果が付いた色々できそうなユニットだ。

「戦闘フェイズ、ガデッサを宇宙に出撃させるッ!」
「はい、了解です」

このままだとギラ・ドーガは出撃する前に破壊されちゃう…出撃もできないなんて予想外。

「攻撃ステップ規定後、サラサ再臨をプレイします」
「ハッ!ガデッサを見て慌てて対応策探しかいッ」

「あー可愛いねー」と言って笑う未来さんに苦笑しながら、私は本国の上のカードを5枚見る。
雲散霧消…?ダメ。このターンテキスト消しても、次でやられちゃう。
勝利の陶酔…?ううん、これもダメ。交戦させてくれない。
いつもなら、このくらい見れれば対応できるカードが見つかるはずなんだけど…あ、これなら大丈夫かな?

「はい。では防御ステップどうぞ」
「ハッ!…ギラ・ドーガの耐久はたったの2点!このガデッサなら容易なことッ!」

ガデッサのテキストを宣言する未来さん。
陶酔を警戒するなら規定前は当然だよね。

「カットインお願いします」
「お願いされるよッ!」
「量産型クァバーゼ(ギリ機)をプレイ。3ダメージを受ける前に、ギラ・ドーガを3大きくします」

少し顔をしかめる未来さん。
多分これで相打ちには…取れるね。

未来さんの声が大きかったのか、京ちゃんが小走りで見に来た。
もう1回戦終わったんだ?さすが京ちゃん、強いね。

「防御ステップ規定に行きたいです」
「しかたないねぇ…この子は」

私はギラ・ドーガとクァバーゼを、両方ともガデッサのいるエリアに出撃させる。
どっちかがテキストで違う戦闘エリアに飛ばされても、片方がガデッサと相打ちになるハズだから、結局は飛ばさないで2枚とガデッサで相打ちかな?

「旧世代機どもが、このガデッサの相手を勤まるはずが…ないッ!陶酔がなければダメージ判定ステップに入るッ!」
「どうぞ」

あのユニットを倒すのにカードをずいぶん使っちゃった…強いね、ガデッサ。

「修羅を生きる漢ッ!!このカードで、ガデッサはさらに速攻を得ることにするよッ!」
「あ…」

てっきり2対1で相打ちになるとばかり思ってた私は、小さく落胆の声を出す。
これでダメージを受けているギラ・ドーガもクァバーゼも、速攻のタイミングで討ち取られちゃう。

「いいかい?」
「…はい。私の2枚だけが破壊ですね」

未来さんは高笑いでターンを終える。
どうしよう…私は少し悩みながらドローする。民意の獲得も使う。
ユニットはもうないから、ターンを終える私。

「息切れ?息切れ?ドローッ!ガデッサを宇宙に出撃」
「5ダメージ受けます」
「今回はずいぶんと潔いねッ!万策尽きたァ?」

未来さんはそう言いながらターンを終える。

「私のターン、ドロー」

私は手札にカードを加える。

「民意の獲得を使います…国力はありません。続いて赤基本Gを手札からプレイ」
「ん…?確かその赤Gはさっきのターン、民意で手札に加えたもの。わざわざこのターンに6枚目としてプレイするってことは…何か来たかッ?」

そう。大きいユニットが来たの。
こういうとき、勇君ならきっと「オレの切り札!」とか、京ちゃんなら「これであたしの勝ちよ!」とか言うんだろうな…。
私もなにか言ってみようかな?

少し考えた後、「サザビー?いや、インプルースコルニグス?」と疑問顔でつぶやく未来さんに、私は小さく咳払いをしてから口を開く。

「私の…ヘチマです!」

2秒の静寂。
そのあと未来さんはアヒャヒャヒャと笑い転げ、京ちゃんは「へ…ヘチマ?」とポカンと口を開けた。

「え…ヘチマに見えない?」

私は今プレイしたカード、ゾディ・アックを指差して同意を求めた。

「「見えないよ」」

二人は口をそろえて言った。
見えると思うんですけど。ヘチマに。

「ターン終了です」
「範囲兵器(6)厄介だねェ…」

未来さんはやっとのことで笑い止み、口に手をあてた。
ゾディ・アックは自軍戦闘フェイズに戦闘エリアにいれば、エリアひとつに範囲兵器を使うことができる大型ユニット。

「いや…待ちな。そっちの本国今何枚?」
「…13枚です」

私は1枚ずつ本国のカード数え、伝える。
やっぱりユニットの力の差が本国の差に出てるね…。

「終わったねッ…!こっちはユニットを追加するよ…ユニコーンガンダムッ!!」

また新しいカード。
箱のガンダムさんだ。

「対象は本国、サーチ能力発動ゥ!…箱をセットッ!」

未来さんは、少し考えてから裏向きでユニコーンガンダムに箱をつける。

「箱、オープンッ!ユーグ・クーロ、このカードをアタシのガデッサにセットッ!」

わざわざ本国全部をサーチしてキャラクター…?

「このキャラクターは、戦闘エリアにいればコマンドをカウンターすることができる。ブリッツクリークでもよかったんだけど、アンタの本国枚数を考えると、安定して打点を出せたほうがいいわよねッ」
「あ…なるほど」

私はぽんと手を叩いた。
こっちの妨害カードをカウンターして、本国に11ダメージを当てる気なんだ。

「なーに納得してんのよ、詩織」

京ちゃんが私を小突きながら言う。

「ううん。あのカードでよかったよ、箱」
「へ?」

私は「さァ!出撃ターイムッ!」と言いながらニヤリとする未来さんに向き直り、手札のカードを確認した。

「攻撃規定前お願いします。…第三の勢力、このカードで出撃前に皆寝てもらいたいです」
「ま…まずいッ!この時間稼ぎはまーずいッ!」

私にターンがまわる。
そう、ヘチマが攻撃する番。

「ドロー…凌駕をプレイします」

今引いたばかりのカードに、未来さんは許可を出す。
青が見えてるからすぐ割られちゃいそうだけど、とりあえずね。

「戦闘フェイズ、ゾディ・アックを宇宙に出撃させます」
「…また3点かい。みみっちい」
「はい。3点で十分ですよ?そして…範囲兵器6で配備エリアのユニットを全部壊したいです」

私はきっぱりと言った。


つづき


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初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:09.08.18
更新日:10.04.14