ATAGUN@Wiki
#99
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#99 あたしと剣治
「フッ…俺が先攻か」
「だね」
「だね」
互いにじゃんけんのために出した手を引っ込める。
あたしは後攻で決まり。デッキの速度的には先攻欲しかったんだけどね。
あたしは後攻で決まり。デッキの速度的には先攻欲しかったんだけどね。
「マリガンチェックは…問題ない」
「あたしもよ」
「あたしもよ」
剣治は頷いてから、手札から1枚のカードを出す。
「ガチ党を配備、ターン終了だ」
「あたしのターン」
「あたしのターン」
あたしは手札にカードを加える。
うん、順調。
うん、順調。
剣治のデッキは、アストレアとかの黒の00ユニットと、アフリカ独立開放戦線とか赤のロックを組み合わせたデッキ。国力を順調に並べないとすぐにロックが完成しちゃうから、Gは引きすぎくらいがちょうどいいわ。
「配備フェイズ、歌姫の騎士団をプレイするわ」
「まさか貯める気…ではないよな?」
「まさか貯める気…ではないよな?」
剣治は眉をひそめながら、初っ端から貯めGを置くあたしに聞く。
「モチ♪偶然手札のGがこれだっただけ」
ターン終了を告げるあたしに、剣治は「ならいい」と言ってドローする。
「赤基本Gを配備する」
「りょーかい。プトレマイオス?」
「いや、毎回引けるわけではない。まぁ、この手札ならトレミーなしでも十分”いい手札”だ」
「りょーかい。プトレマイオス?」
「いや、毎回引けるわけではない。まぁ、この手札ならトレミーなしでも十分”いい手札”だ」
余裕そうな表情の剣治。
早急にアフリカしないと、白お得意のユニット戦に持ち込むわよ?
早急にアフリカしないと、白お得意のユニット戦に持ち込むわよ?
「ターン終了だ」
「あたしのターンは…また歌姫の騎士団を置いて、ターン終了よ」
「あたしのターンは…また歌姫の騎士団を置いて、ターン終了よ」
あたしはまっすぐ剣治を見て宣言する。
初手のカードなんだけどね。
初手のカードなんだけどね。
「2枚目か」
「また貯めGか、とか思ったでしょ?アフリカ開放戦線されても、貯めない限りは1Gぶんの損害よ」
「また貯めGか、とか思ったでしょ?アフリカ開放戦線されても、貯めない限りは1Gぶんの損害よ」
あたしはニッと笑ってターンを譲る。
「ドロー…配備フェイズに入る」
剣治はドローしたカードを少し眺め、そう言った。
「複合産業企業体…コングロマリットを配備する」
「コングロ…あぁ、デュアルカードプレイすると守備隊コイン出る奴?」
「そうだ。これならトレミーがなくても、即戦力を確保できる」
「コングロ…あぁ、デュアルカードプレイすると守備隊コイン出る奴?」
「そうだ。これならトレミーがなくても、即戦力を確保できる」
剣治の余裕の正体はこれ…だけ?
「続けて、アフリカ独立解放戦線をプレイする」
「あ…持ってたの?」
「”いい手札”と言ったぜ?」
「あ…持ってたの?」
「”いい手札”と言ったぜ?」
剣治はニヤリとする。
でも黒1赤1紫1って…国力バラバラじゃん。
でも黒1赤1紫1って…国力バラバラじゃん。
「いい手札って言い切った割には、国力がそろってないみたいですけど~?」
「…どこがだ?」
「OOPのユニットは黒2と紫1が必要でしょうが」
「…どこがだ?」
「OOPのユニットは黒2と紫1が必要でしょうが」
三種類の色のGを指差して指摘するあたしに、剣治は「フム…」と口に手をあてた。
「いや、それは00Pまでの話だ。OOFのユニットは指定が黒1と紫1の合計3で配備可能なものが主流だ」
「え…そうなの?」
「え…そうなの?」
あたしは真面目に関心した。
いや、だって黒の00ユニットなんて真面目にチェックしてないし…。
そう言うと剣治に嫌われそうだから、冗談でも口に出すのはやめた。
いや、だって黒の00ユニットなんて真面目にチェックしてないし…。
そう言うと剣治に嫌われそうだから、冗談でも口に出すのはやめた。
「…と言うことだ。このカードを配備、ガンダムサダルスード(タイプF)!」
「サーチ能力だっけ?」
「ああ。このカードは出撃時に本国の上3枚を見て、任意の順番で本国の上か下に移すことができる能力だ」
「サーチ能力だっけ?」
「ああ。このカードは出撃時に本国の上3枚を見て、任意の順番で本国の上か下に移すことができる能力だ」
そして、コングロが起動して、2/1/2のユニットコインが場に出る。
なるほど。”いい手札”と言うだけあるわね…もうロックを起動できる状態が完成したわ。
なるほど。”いい手札”と言うだけあるわね…もうロックを起動できる状態が完成したわ。
「戦闘フェイズに入りたい」
「うん。こっちは2G、妨害できないわ」
「うん。こっちは2G、妨害できないわ」
剣治は「そうだな」と言って、守備隊コインを戦闘エリアに移す。
本国に2点。そして、アフリカ独立解放戦線であたしの歌姫の騎士団が解放。
本国に2点。そして、アフリカ独立解放戦線であたしの歌姫の騎士団が解放。
「ターン終了だ」
本国からカードを引く。
まずはアフリカ独立解放戦線で無効化されないGが必要ね。
あたしは手札の白基本Gよりも先に、コマンドをつかむ。
まずはアフリカ独立解放戦線で無効化されないGが必要ね。
あたしは手札の白基本Gよりも先に、コマンドをつかむ。
「配備フェイズ、ロゴスの私兵をヴァリアブル宣言」
「了解だ」
「了解だ」
なんだかんだ言っても、最速ロックされてもこのくらいならなんとかなるのよね。
「アストレイアウトフレーム(バックホーム装備)を配備。ユニット間に合っちゃった♪ターン終了」
「バックホーム程度で気のいい奴だ。ドロー…」
「バックホーム程度で気のいい奴だ。ドロー…」
剣治は鼻で笑って手札にカードを加える。
「ガチ党で赤基本Gを本国の下に送り、戦闘フェイズに入る。サダルスードFを宇宙に、守備隊コインを地球に出撃だ」
剣治はサーチ能力を使用し、本国のカード3枚を並べ替えた後、「上で」と宣言した。
いいカードがあったわけね。なら、次のターンの攻撃は通さないと。
いいカードがあったわけね。なら、次のターンの攻撃は通さないと。
「さらに攻撃規定後、密約《1》をプレイ。俺にだ」
「すぐ引っ張る訳ね。了解よ」
「すぐ引っ張る訳ね。了解よ」
剣治は至って無表情で手札に2枚のカードを加える。
「フッ…悪いが、このカードで締めさせてもらう。野望の毒牙!対象はアフリカ独立で開放できないロゴスの私兵」
「うっわ…」
「うっわ…」
あたしは、唸りながら眉間を指でグリグリする。
このターンの攻撃で、もう2枚目の歌姫の騎士団も解放されるし、変更されない強い国力は彼方に飛んだ。
このターンの攻撃で、もう2枚目の歌姫の騎士団も解放されるし、変更されない強い国力は彼方に飛んだ。
「5点と…2枚目の歌姫に開放コインね」
「ターン終了だ」
「ターン終了だ」
剣治は、そう言って手札をまとめる。
…負けだ。さすがに成す術がないわ。
次のターンに白基本Gを引いてやっと白1、だめだね。前は1G固定にされる前にどうにか凌いだけど…マジで1G固定にされるとは。
次のターンに白基本Gを引いてやっと白1、だめだね。前は1G固定にされる前にどうにか凌いだけど…マジで1G固定にされるとは。
「あたしのターンね。ドロー…」
投了?ううん。
もう少し…もう少しだけ彼の向かい側に座らせて!
もう少し…もう少しだけ彼の向かい側に座らせて!
「…今のあたしを救う力。そうね」
「ん?」
「ん?」
引いたカードを見て小さく頷くあたしに、剣治が聞き返す。
そう。前の戦いのときには白にはなかったこのカードが、文字通りあたしを救うわ!
そう。前の戦いのときには白にはなかったこのカードが、文字通りあたしを救うわ!
「ううん、こっちの話。白基本Gをプレイして、救国の英雄!このカードでアフリカ独立解放戦線を破壊するわ!」
「新手のヴァリアブルか!?」
「新手のヴァリアブルか!?」
剣治は予想外そうにそう言いながらも、アフリカ独立解放戦線をジャンクに送った。
「だが…3国からこの戦力差は…」
「いやね~よく見て。剣治のおかげで5国力よ!」
「…!?」
「いやね~よく見て。剣治のおかげで5国力よ!」
「…!?」
あたしはコインが1枚ずつ置かれた歌姫の騎士団2枚を指差した。
歌姫の騎士団は「このカードの上にあるコインの枚数+1」の白国力を発生する変則的な国力システム。
解放コインが乗ったおかげで0+1が1+1になったのよ!
歌姫の騎士団は「このカードの上にあるコインの枚数+1」の白国力を発生する変則的な国力システム。
解放コインが乗ったおかげで0+1が1+1になったのよ!
「…そういうことか。アフリカ独立解放戦線、貯めGには諸刃の剣だな」
状況を理解した剣治は数回頷く。
これでアフリカ独立解放戦線、毒牙のぶんの遅れも取り戻したわ!
これでアフリカ独立解放戦線、毒牙のぶんの遅れも取り戻したわ!
「だね~♪フリーダム(ハイマットモード)を続けてプレイ…ここから反撃よ!!」
「フッ…それでこそ好敵手だ!」
「フッ…それでこそ好敵手だ!」
つづく
txt:Y256
初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:09.08.27
更新日:10.04.14
掲載日:09.08.27
更新日:10.04.14