ATAGUN@Wiki
RY1
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RY1 遊びに行こう
土曜の午後、大会が終わって参加者たちが帰り始めたカキヨの空き家。
あたしは広げていたデッキのカードをしまい、腕を伸ばした。
あたしは広げていたデッキのカードをしまい、腕を伸ばした。
「京子、明日暇?ここ行かないか?」
武志がプリントアウトされた、どこかのショップの地図を出した。
「えー”また”遠征?」
「いいじゃんかよ。テストも終わったことだし、パーっと遠出でも」
「いいじゃんかよ。テストも終わったことだし、パーっと遠出でも」
うーん…交通費がバカにならないから、あんまり乗り気じゃないんだよね…。
そう思いつつも武志の持ってきた紙を見る。
げ…!
そう思いつつも武志の持ってきた紙を見る。
げ…!
「ねぇ?ここ遠すぎない?」
「そうか?午前中に出れば余裕だろ?」
「そうか?午前中に出れば余裕だろ?」
うなるあたしに、武志はなんとか誘おうと口を動かす。
これってまさか二人で行くってこと?なんかデートみたいじゃんね。
今までは意識しなかったけど、あんなこと言われたら意識しちゃうよ…。
「友達」ってきっぱり言ったから、あたしの中では吹っ切れた気だったんだけどなぁ。
これってまさか二人で行くってこと?なんかデートみたいじゃんね。
今までは意識しなかったけど、あんなこと言われたら意識しちゃうよ…。
「友達」ってきっぱり言ったから、あたしの中では吹っ切れた気だったんだけどなぁ。
「別に行ってもいいけど…二人ってこと?」
「まぁ、今のところは…」
「まぁ、今のところは…」
その時、視界の端にあいつが映った。
とりあえず誘ってみる…か?
とりあえず誘ってみる…か?
「ミキオーあんた明日暇?武志と遠征するんだけど行かないー?」
あたしはちょっと大きめの声で、フリプレしているあたしの”弟子”栗田幹夫を呼んだ。
エロガキだけど、いないよりはましか…。
エロガキだけど、いないよりはましか…。
「すいません、姐さん。明日は用事が」
「はぁー?師匠の言うこときけないっての!?」
「はぁー?師匠の言うこときけないっての!?」
無茶苦茶。
これで二人確定…まぁしょうがないか。
武志はそんなん気にしてないよね。
これで二人確定…まぁしょうがないか。
武志はそんなん気にしてないよね。
「こんな遠くまで電車って、金かかりすぎじゃない?そうまでして行きたいの??」
「あー!…電車代考えてなかった」
「あー!…電車代考えてなかった」
いつもこんなんだ!!
突拍子もないこと言い出して、あたしや松岡を引っ張るくせして、その後の計画がまったくありゃしない…。
はい、とりあえずこの計画は企画倒れね。
突拍子もないこと言い出して、あたしや松岡を引っ張るくせして、その後の計画がまったくありゃしない…。
はい、とりあえずこの計画は企画倒れね。
「では、私が車で送るというのはどうかな?」
不意に声がする。公旗の声が。
あたしと武志は顔を見合わせて声のほうを向く。
あたしと武志は顔を見合わせて声のほうを向く。
「「公旗さん?」」
ということで…次の日。カキヨの前で待ち合わせて、公旗の黒光りするセダンの後部座席に収まっているあたし。
助手席に座った藤野は公旗と喋っている。
助手席に座った藤野は公旗と喋っている。
「まじ助かりました。公旗さん」
「いや、私も今日は暇だったんだ。いい暇つぶしになるさ」
「いや、私も今日は暇だったんだ。いい暇つぶしになるさ」
そう言って、ハンドルを握る公旗は少し笑った。
車は高速道路のインターに入る。
外の景色見てなかったからわからなかったけど、もしかして高速使うの!?
車は高速道路のインターに入る。
外の景色見てなかったからわからなかったけど、もしかして高速使うの!?
「ちょ…」
「どうした?お嬢さん」
「どうした?お嬢さん」
あたしが何か言おうとしている間にも、車はETCで高速に入る。
あーもういいや。めんどくさいこと考えるのやーめた。
公旗が連れてってくれるって言うんだから、四の五の言ってもしょうがない。
あーもういいや。めんどくさいこと考えるのやーめた。
公旗が連れてってくれるって言うんだから、四の五の言ってもしょうがない。
「いや、遠いんだなと思って」
「そうでもないさ」
「そうでもないさ」
公旗って金持ちなのかな?
そんなことを考えながら、あたしはシートに身を沈めた。
昨日寝るの遅かったからかなぁ…なんか眠たい。
そんなことを考えながら、あたしはシートに身を沈めた。
昨日寝るの遅かったからかなぁ…なんか眠たい。
×××
「ハイマットモードをプレイするわ!」
「逆襲のシャアでカウンター」
「逆襲のシャアでカウンター」
あたしはスカートの端を握り締めた。
赤のカウンターは白の天敵…どうすればいい?
赤のカウンターは白の天敵…どうすればいい?
「い…今のは囮よ!本当のキーカードはこれ!デスティニーガンダム!!」
「宇宙を統べる者、このカードでカウンターだ!」
「宇宙を統べる者、このカードでカウンターだ!」
「あー!!」
そこであたしは目覚めた。
あたしは不覚にも声を出してしまった口を塞ぐ。夢か…
あたしは不覚にも声を出してしまった口を塞ぐ。夢か…
「どうした?」
武志と公旗があたしの顔を見た。
「な、なんでもない!夢!」
後味最悪の悪い夢だなぁ…。
あたしは目をこすりながら、外を見る。もう高速を降りて、普通の道路を走ってるみたいだ。
…そろそろ着くのかな?
あたしは目をこすりながら、外を見る。もう高速を降りて、普通の道路を走ってるみたいだ。
…そろそろ着くのかな?
「京子、これ」
武志がニッと笑って、あたしに携帯画面を見せる。
そこには後部座席で、よだれをたらしながら寝ているあたしの写メが…。
やられた!
そこには後部座席で、よだれをたらしながら寝ているあたしの写メが…。
やられた!
「なに撮ってんのよ!盗撮!変態!消しなさいよ!」
あたしは手を伸ばす。
武志はそれを避けながら「だが、断る」とかほざきやがった!
武志はそれを避けながら「だが、断る」とかほざきやがった!
「バカー!」
あたしはつっかえるシートベルトをはずして、前の座席の武志に手を出す。
「おい京子、危ないからシートベルト!」
「だったら消しなさいよー!」
「おい、少年少女!事故るからやめてくれ」
「だったら消しなさいよー!」
「おい、少年少女!事故るからやめてくれ」
公旗が少し困ったように言った。
そんなこんなで、やっと目的地に車が到着する。
白塗りの建物、専門店っていうぐらいだからきっと中も広いんだろう。
白塗りの建物、専門店っていうぐらいだからきっと中も広いんだろう。
「さ、行こうか」
公旗が車の鍵を閉めながら促した。
あたしは目的地、ショップの前に立ち、見上げる。
あたしは目的地、ショップの前に立ち、見上げる。
「キリマンジャロ…」
武志がつぶやいた。
このカードショップの名前だ。
このカードショップの名前だ。
「行くわよ?」
「おう」
「おう」
あたしは扉に手をかける。
カランカランという鈴の音と共に、扉が開く。
カランカランという鈴の音と共に、扉が開く。
「いらっしゃい」
つづく
txt:Y256
初出:あたしのガンダムウォー
掲載日:08.07.07
更新日:10.04.14
掲載日:08.07.07
更新日:10.04.14