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前回までの『ミキオ』―

「一つ忘れてるぜ。お前の本国は資源でガリガリだッ!!」

ビシリと本国を指さすミキオ。
羽鳥はぽかんとして彼を見る。

「つまり、一撃…この一撃をオレのゴッドガンダムハイパーモードが決めるぜ!!」


第3話 その子は突然に


「配備フェイズに入って…」

確かに緑のユニットはMFに比べて耐久が低いが、ハンガーのアリーで耐久を底上げすることによって素のハリケーンでは落とされる心配はない。
そうなるとやはり、ミキオの言うゴッドガンダムでのフィニッシュがありえねーよな。
自前リロールを持ったアルゴならともかく、ドモンセットでは保身にばかり長けていて突破能力は低い印象なんだ。
こう考えたかは定かでないが、羽鳥はミキオが言ったことに考えをめぐらせるように黙る。

「レイン・ミカムラをドモン・カッシュにセットするぜ!」
「セット…キャラ?」

男性GFのキャラクターをリロールすることができるキャラクター。
自身はGFを持っていないが、セットキャラとしてリングに同行できる仕様だ。

「これでゴットガンダム(ハイパーモード)は、テキスト使用後にリロールしてお前の本国に致命傷を与えることができるッ!!」
「な…なんだそりゃー! 投・了!!」

羽鳥は手札を伏せて勢いよく宣言した。

「…でもよー。レイン・ミカムラなんか使いづらくないか?」

羽鳥は、場に出たままになっているゴットガンダムを指差す。

「いいじゃねーか。新しいカードを効果的に見せるためには古いカードもまた、ってやつだよ」
「なんだそれ?」

二人がそんな会話をしていると、不意に扉が「ガタン」という音を立てて開いた。

「「何奴!?」」
「ふふふ…甘いわよ、ミキオ!」

扉の枠で切り取られた外の景色に、女の子のシルエットが浮かぶ。
学生服に赤いマフラー。肩で切りそろえた黒茶色の髪の毛の彼女は、どこか意地の悪そうな笑い方で対戦スペースに乗り込んできた。

「あ…姐さん!?」

ミキオは意外そうに目を見開いた。
姐さんと呼ばれた女の子は、少し心外そうな顔をしながらもミキオと羽鳥がいるテーブルの横を過ぎ、二番目のテーブルに鞄を置いた。

「姐さん、今日はガッコ早かったんすね」
「部活も引退してるんだし、こんなもんっしょ」

姐さんはマフラーを外してテーブルに置く。
彼女はミキオより3つ年上で、ミキオたちの通う府釜中学の隣にある府釜高校に通っていた。
ミキオと姐さんが知り合ったのは一年ちょっと前で、いろいろとあって今ではミキオの師匠的な立ち位置にある。

「ふぅん。…あ、そうだ姐さん。おっぱい触らせてくださいよ~」

ミキオは短く相づちをうったあと、思い出したように言った。

「ハァ?会話になってないっての。エロガキ」
「ケチだねぇ」

二人の問答を見ながら羽鳥はため息をつく。
同学年の仲間といるときは大人びて見えるミキオも、彼女の前だと急にガキに見える。
などと考えて、ミキオが「年上の女性がタイプだ」とか言っていたのを思い出した。姐さんには彼氏がいたはずだが。

「減るもんじゃないだろ~?」
「おぃ、ミキオちゃん。姐さんは放っておいて、俺様と二回戦だ!」

羽鳥が姐さんに一瞥くれてから、ミキオのデッキを指さした。
よほど新作デッキが敗れたのが悔しかったのだろう。

「いいぜ、何度でも下してやらぁ」

ミキオもその勝負を受ける気はあるらしいが、「でも…」と続ける。
デッキをシャッフルし始めようとしていた羽鳥が「なんだよ?」と聞き返す。

「その前に、姐さん。俺はあんたにガンダムウォーを申し込むッ!!」




初出:mixi (12月11日、12月14日掲載分)